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グレゴリオ暦とは、今日のこの日がある理由である。
概要
世界で一番使われるスタンダードな暦。グレゴリウス暦とも呼ばれる。
共和政ローマで紀元前45年から使われていたユリウス暦を改良したのが特徴である。ユリウス暦はそれまで使われた暦に比べてかなりズレの少ない暦ではあったが、それでも欠点が存在した。100年ごとに0.8日ずつ実際の太陽周期とズレてしまうのである。
というのも、ユリウス暦は太陽暦という太陽周期を基に1年を365日と定めて、4年に1度閏年（1日多くして366日にする年）を設けるものだったが、これは実際の地球の公転周期に比べると1年あたり約11分15秒長くなってしまう計算になる。100年で0.8日ともちろん、当時の世界に生きていた人にとってはそうそう大きな問題にはならなかった。
しかし、このズレは当たり前だが時代を下れば下るほど大きくなっていく。グレゴリオ暦が採用される頃の16世紀後半には10日ものズレになってしまっていた。これは特にローマ・カトリック教会にとっては復活祭を行う日付（春分の日を基準としている為、年をくだるごとにどんどん実際とズレていくのである）に大きく関わるため見過ごせない問題となった。
このため、カトリック教会は16世紀に入ってからこの事を司教たちが集まる公会議の議題として度々あげるようになった。1545年から1563年にかけて断続的に開かれたトリエント公会議により、正式にズレが無視できなくなったので、暦法の改定を行うようにローマカトリック教会へ委託が行われた。その為、時の教皇・グレゴリウス13世は1579年に改暦委員会を発足させ、暦法の研究と改正にむけての動きを本格化させるようになった。
様々な検討の結果、教皇は大きく2つの事を決定した。第一は、400年に3回閏年を設けないこと、第二に、1582年10月に累積した10日分のズレを無くすため、10月4日木曜日の次の日を10月15日の金曜日にする事である。この改暦は1582年2月にグレゴリウス13世自身が教皇勅書として出すことで発表された。しかし、時は折しも宗教改革による激動の最中で、プロテスタントとカトリックに分かれてヨーロッパは大きく揺れていた。その為、これにその通り従った国はスペインやポルトガルなどごく一部の敬虔なカトリックの国々に過ぎなかった。
このグレゴリオ暦は128年に1日というユリウス暦のズレを、3221年に1日にまで大幅に縮小させるという画期的な発明であった。その為、徐々にプロテスタントや、他の国々にも浸透していき、今や世界中の標準としてその名を歴史に刻んでいる。
特徴
ユリウス暦との違いは、400年につき、3日分閏年をなくすこと。ただこの一点である。これは既に天文学の進展でわかっていた平均太陽年（地球が太陽の周りを一周するのにかかる日数）365.2422日を基に、ユリウス暦の前提となっていた太陽年の365.25日との差の値から、400年に3日ほど閏年を省けば差を大きくなくせるという知見に基づいたものであった。
しかし、3日分をなくすといっても適当になくすのではやはり効率がよくない。その為、利便性を重視して100で割れても、400で割れない年を平年とするというルールを採用した。ちなみにこのルールによって本来4で割り切れる閏年であるのにも関わらず、平年となる次の年は2100年である。本来ならば100年に一度はそういう年が来る計算になるのだが、2000年は400でも100でも割れてしまうため、我々はいわばそういう珍しい世紀に生きているという事でもある。だからなんだ
他の国への普及と影響
このようにグレゴリオ暦は大変利便性が高く実用的なものであったが、ローマカトリック教会が制定したものである為、他の国へ浸透するのにも時間がかかった。先に記述したスペインは異端審問ガチ勢で有名なフェリペ2世が王であったためまっさきに採用され、当時支配下におかれていたポルトガルも自ずとそれに従い、フランスやスイス、ポーランドなどの敬虔なカトリックも数年以内にこれに従った。
しかし、一方の対立軸であったプロテスタントは、主導者のルターが「暦の制定は世俗に任せるべきである」と教会の介入に否定的であったことからその導入が遅れることになった。また、教会分裂以来犬猿の仲であった東方正教会もグレゴリオ暦には強硬に反発し、その導入はプロテスタントよりも更に遅れることになった。その典型例がロシア帝国であり、かの国は1917年のロシア革命までユリウス暦（ロシア暦）を使い続けた。その為、ロシア革命を示す事件である3月革命や11月革命が、ユリウス暦に則って2月革命と10月革命の表記ゆれがでることにも繋がったのである。
関連項目
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