ダークロナルド(Dark Ronald)とは、1905年生まれのアイルランド産の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
競走馬としては長期休養もあってさほどの戦績は残せなかったが、種牡馬としてドイツで5年連続リーディングサイアーに輝き一大勢力を築き上げた。
概要
父Bay Ronald、母Darkie、母父Thurioという血統。
父は名種牡馬Hamptonの産駒で、競走馬としては一流とは言えなかったが、このダークロナルドと、Gainsboroughの父Bayardoを出したことでHampton系を大きく繁栄させた孝行息子。母は2戦未勝利。母父はパリ大賞などの勝ち馬だが種牡馬としては成功していない。
1905年にアイルランドの生産者エドワード・ケネディの牧場で生まれたダークロナルドは、南アフリカの大富豪エイブ・ベイリー卿の所有となり、イギリスでデビューしたが、デビュー戦を勝ち2戦目を2着としたあと、脚部不安(屈腱炎と推定されている)のため、なんと2年の長期休養に入る。
4歳になって復帰し、復帰戦は着外に敗れたものの、その後ダルハムプレート、ロイヤルハントカップ、プリンセスオブウェールズステークスを3連勝。ドンカスターカップを3着に敗れたところで脚部不安が再発して現役引退となった。通算7戦4勝[4-1-1-1]。
ちなみにラストランとなったドンカスターカップで、ケネディは2着のRoi Herodeに興味を持ち購入、そのRoi Herode産駒として産まれたのが現代でも多くの芦毛馬の血に繋がるThe Tetrarchである。
引退後、イギリスで種牡馬入りしたダークロナルドは、初年度産駒から名ステイヤーにして名種牡馬Son-in-Lawなどを輩出したが、産駒が活躍する前に売却され、ドイツに渡ることになった。ドイツでは種牡馬として大成功を収め、1918年から5年連続リーディングサイアーを獲得。1928年に23歳で死亡した。
ダークロナルド系
ダークロナルドの系統はその後、欧州を中心に繁栄した。
初年度産駒の名ステイヤーSon-in-Lawはステイヤー型種牡馬として当時の欧州競馬に適合し、一大勢力を築く名種牡馬となった。20世紀欧州競馬のスタミナの源泉とも言える存在である。
この系統では特に玄孫であるHerbagerがフランスとアメリカで成功を収め、そのスタミナを北米経由で日本にまで伝えた。日本ではHerbager産駒の*シーホークがモンテプリンス・モンテファスト兄弟、ウィナーズサークル、アイネスフウジンを輩出。それ以外ではバンブーメモリーもHerbager系である。
母系でも名繁殖牝馬Glorious Songをはじめ、サクラローレルの父Rainbow Questやタイキシャトルの父Devil's Bagが母父Herbagerである。
ただ、距離短縮の流れに伴いステイヤー系のこの系統は廃れ、現代では直系はほぼ滅亡している。
ドイツではドイツ2000ギニー馬Prunusとドイツダービー馬Heroldがこの系統を大きく繁栄させ、この系統のドイツリーディング獲得回数は40回以上らしいというから凄い。
日本では、1959年の年度代表馬ウイルデイールとその産駒の菊花賞馬ダテテンリュウがPrunus系、1995年のジャパンカップを制したドイツ馬LandoがHerold系と言えばわかりやすいだろう。
Prunus系はOleanderが9度のドイツリーディングに輝くなど1950年代は繁栄していたが、1980年代で滅んでしまった。一方、Herold系はドイツ伝統の内国産ラインとして現代まで繋がっている。
Herold→Alchmist→Birkhahn→Literat→Surumu→Acatenango→Lando→Scalo→Laccarioというサイアーラインは、9代のうちLiteratとScaloを除く7頭がドイツダービー馬というドイツ競馬の至宝のようなラインである。2019年のドイツダービー馬Laccarioが種牡馬入りしているので、まだまだ繋がっていくかもしれない。
さらにこの系統は母系に入って現代の欧州競馬にも非常に大きな影響を及ぼしているが、それについてはBirkhahnの記事を参照されたい。
血統表
Bay Ronald 1893 鹿毛 |
Hampton 1872 鹿毛 |
Lord Clifden | Newminster |
The Slave | |||
Lady Langden | Kettledrum | ||
Haricot | |||
Black Duchess 1886 黒鹿毛 |
Galliard | Galopin | |
Mavis | |||
Black Corrie | Sterling | ||
Wild Dayrell Mare | |||
Darkie 1889 青毛 FNo.9-b |
Thurio 1875 黒鹿毛 |
Cremorne | Parmesan |
Rigolboche | |||
Verona | Orlando | ||
Iodine | |||
Insignia 1882 鹿毛 |
Blair Athol | Stockwell | |
Blink Bonny | |||
Decoration | Knight of the Garter | ||
Toison d'Or |
クロス:Rataplan=Stockwell 5×5×4(12.50%)、Queen Mary 5×5(6.25%)、Melbourne 5×5(6.25%)、Touchstone 5×5(6.25%)
関連リンク
関連項目
Dark Ronald 1905
|Son-in-Law 1911
||Bosworth 1926
|||Plassy 1932
||||Vandale 1943
|||||Herbager 1956
||||||Grey Dawn 1962
|||||||*モーニングフローリック 1975
||||||||バンブーメモリー 1985
|||||||*ピュウターグレイ 1979
||||||||カミノフシラビ 1986
||||||*シーホーク 1963
|||||||モンテプリンス 1977
|||||||ウィナーズサークル 1986
|||||||アイネスフウジン 1987
||||||||ファストフレンド 1994
|Herold 1917
||Alchimist 1930
|||Birkhahn 1945
||||Literat 1965
|||||Surumu 1974
||||||Acatenango 1982
|||||||Lando 1990
||||||||Scalo 2007
|||||||||Laccario 2016
- 2
- 0pt