ブリッシュラック(英:Bullish Luck、香:牛福精星)は、1999年生まれの競走馬である。2006年の安田記念を制するなど、香港を代表するマイラーとして活躍した。
概要
父Royal Academy、母Wild Vintage、母父Alyshebaという血統。
父*ロイヤルアカデミーはレース10日前に騎手復帰したばかりの名手レスター・ピゴットを背にブリーダーズカップ・マイルを制したほか、6ハロンのGIジュライカップでも勝っている快速馬。
母ワイルドヴィンテージはフランスで15戦1勝。大叔母にガネー賞を勝ち繁殖牝馬としてもトリプティクを出したトリリオン、半妹に1998年のマルセル・ブサック賞(仏GI)を勝ったジュヴェニアがいる。
母父アリシーバは3歳時にケンタッキーダービーとプリークネスS、4歳時にブリーダーズカップ・クラシックを勝ち、4歳時にエクリプス賞年度代表馬を受賞している。
本馬は1歳10月のタタソールズセールで5万ギニーで落札され、Al Moughazel(アルムーガゼル)という馬名でイギリスのJ・W・ペイン調教師に預けられた。
欧州時代
イギリスで2歳6月にデビューした本馬はデビュー戦で最低人気を覆して勝つと続く条件戦も勝利しデビュー2連勝を挙げるが、続くオータムS(L)では4着に敗れた。3歳初戦の条件戦ではランフランコ・デットーリ騎手が仕掛けると内にヨレてラチと先行する馬の間に突っ込む形となり、3頭立てでありながら前が塞がるという消化不良の競馬を演じ短首差の2着に敗退した。これでケチが付いたのか、その後は差したら届かず先行したら捕まるという競馬が続き、結局3歳シーズン終了までに8戦して挙げた勝ち星は最初の2つのみであった。8戦目の後、香港の馬主に香港ダービー(4歳限定戦)を見込んで20万ポンドでトレードされ、ブリッシュラックと改名されてリッキー・イゥ厩舎の管理馬となった。
2002/03シーズン
年が明けて2003年1月に香港移籍初戦となるハンデ戦に出走したが14頭中14着に敗れ、香港ダービーは断念することになった。続くレースで14頭中10番人気ながら3着に入ると次走も僅差の4着にまとめ、移籍4戦目で後に香港のトップスプリンターとなるケープオブグッドホープを破り香港初勝利を収めた。しかしその後は3戦続けて着外に敗れ、2002/03シーズンは7戦1勝であった。
2003/04シーズン
オフシーズンの間に、本馬はアンソニー・クルーズ厩舎に転厩した。クルーズ厩舎は前シーズンにデビューし時の香港最強スプリンターであったグランドディライトを破るなど未だ負けなしの快速馬・サイレントウィットネスも管理している厩舎であった。
さて、ブリッシュラックは11月のハンデ競走から始動し、同厩のラッキーオーナーズのアタマ差2着に入った。ラッキーオーナーズは1ヶ月後の香港マイルでローエングリンなどを破って勝利することになる馬である。ここでラッキーオーナーズに騎乗していた厩舎の主戦であるフェリックス・コーツィー騎手が手が空いている時は本馬に騎乗することになり、コーツィー騎手とのコンビでハンデ戦を5戦して2勝した。
香港ダービーを牝馬ながら勝ちクイーンエリザベスII世カップで2着、香港カップで3着と国際競走でも好走していたエレガントファッションなどが出走した香港金杯では7番人気だったが、そのエレガントファッションを後方から直線一気に差し切って半馬身差で勝利し、香港競馬の一線級に躍り出ることとなった。
しかし直線一気が持ち味ということは必然的に不安定な競馬も増えることになり、その後出走した重賞3戦ではいずれも後方のまま着外に敗れた。2003/04シーズンは10戦3勝だった。
2004/05シーズン
2004/05シーズンになっても後方から差し届かず3着というのが2戦続いたが、香港カップでは大外から差し脚を伸ばし、アレクサンダーゴールドランの短頭差2着に追い込んだ。年が明けてのスチュワーズカップではクリストフ・スミヨン騎手に乗り替わって後方待機策を取り、直線だけで全馬をごぼう抜きにして11ヶ月ぶりの勝利を収めた。
続く香港金杯は中団追走から伸びず5着だったが、後に2人目の主戦となるブレット・プレブル騎手と初コンビを組んだチェアマンズトロフィーでは直線最後方から差し切って勝利した。しかし、クイーンエリザベスII世カップでは差し届かず6着だった。
チャンピオンズマイルでは、デビューからの無敗を17に伸ばし、その途上で香港スプリント連覇などを挙げて香港競馬のアイドルホースの地位を占めていた同厩のサイレントウィットネスが単勝1.2倍となっていた。しかし、ジェラルド・モッセ騎手に乗り替わった本馬は内を立ち回ると直線でスルスルと抜け出してサイレントウィットネスに迫り、ゴール前で短頭差交わして勝利した。
その後サイレントウィットネスとともに来日し安田記念に出走したが、僅差とはいえアサクサデンエンの4着に敗れ、9戦3勝でシーズンを終えた。このシーズンは香港最優秀マイラーに選ばれた。
2005/06シーズン
2005/06シーズンは初戦の沙田トロフィーで追い込みきれず6着、香港国際マイルトライアルでは中団抜け出しから差され2着だったが、それでも本番の香港マイルでは1番人気に支持された。しかし、本馬を上回る末脚を外から繰り出したハットトリックの2馬身1/4差4着に敗れた。
その後、年が明けてスチュワーズカップ8着、香港金杯2着を経てドバイデューティーフリーに出走した。しかし、勝負どころで進路が塞がり*デビッドジュニアの5着に終わった。
帰国後、1年ぶりにプレブル騎手とのコンビを組んで出走したクイーンエリザベスII世カップは5着だったが、チャンピオンズマイルでは中団から抜け出して1馬身半差で勝ち、連覇を達成した。
続いて再び来日して安田記念に出走した。単勝10倍未満に本馬(3番人気・6.4倍)を含む7頭がひしめき合い、前年の勝ち馬アサクサデンエンは近走の不振が響いて10番人気止まりとなるなど大激戦の様相であったが、中団から直線一気に抜け出し、アサクサデンエン、ジョイフルウィナー、ダイワメジャーの2番手争いを2馬身半後方に見て悠々と先頭でゴールを駆け抜けた。香港調教馬の安田記念勝利は2000年のフェアリーキングプローン以来6年ぶりとなった。
今季は9戦2勝だったが、安田記念とチャンピオンズマイルの勝利が評価され香港年度代表馬・最優秀マイラー・最高人気馬に選出された。また、この年から創設されたアジアマイルチャレンジの対象競走であるMRCフューチュリティS、ドバイデューティーフリー、チャンピオンズマイル、安田記念のうち2つを勝ったことからボーナスとして100万ドルの褒賞金を得た(2011年にシリーズは休止となり、本馬以外にボーナス獲得馬は現れなかった)。
2006/07シーズン以降
2006/07シーズン開始前に、本馬は後脚に腫瘍を患い、これを手術で切除した。その影響か、これ以降の本馬は成績に安定感を欠くことになった。
2006/07シーズンは香港金杯まで5戦し、香港金杯の3着が最高であった。その後ドバイ遠征が決定したが、ここで前年出走したドバイデューティーフリーではなく、初ダートとなるドバイワールドカップに出走することとなった。出走7頭中初ダートは本馬のみということで前評判は非常に低かったが、直線ではヴァーミリアンなどを交わし、勝ったインヴァソールと2着プレミアムタップからは大きく差をつけられたものの3着に入った。しかし、この遠征中に軽度の怪我をしてしまい、3連覇がかかったチャンピオンズマイルでは8着、安田記念を回避して出走した香港チャンピオンズ&チャターカップでは7頭中最下位に敗退した。
2007/08シーズンも最初の2戦は5着と振るわなかったが、香港国際競走を回避して出走した年明け初戦のセンテナリーヴァーズでは前々年のドバイ遠征以来のコンビとなるスミヨン騎手とのタッグで差し切り、安田記念以来の勝利をマークした。
その後、香港金杯を経てドバイデューティーフリーに出走した。しかし、前評判が低かった南アフリカ調教馬のジェイペグがスローペースに落としてまんまと逃げ切り、一方の本馬は全く持ち味を活かせず後方のまま13着に終わった。帰国後のチャンピオンズマイルでは当時の香港のマイル路線でトップに立っていたグッドババ、アルマダに次ぐ3着だったが、その後出走した安田記念では見せ場なくウオッカの14着に敗れてシーズンを終えた。
2008/09シーズンの香港カップをもって引退が決定したが、シーズン最初の2戦は全く伸びずに着外に終わった。引退レースとなる香港カップでも中団から差してきたがゴール前でヨレる形になり、最後は5着に敗退した。鞍上のスミヨン騎手は騎乗停止になった上に被害馬の1頭である香港中距離路線のトップホース・ヴィヴァパタカの管理調教師の息子とレース翌日に喧嘩をして怪我をさせるなど、後味の悪いレースとなってしまった。
香港カップの3日後に改めて引退が発表され、翌年の元日に引退式を行った後、オーストラリアの功労馬繋養施設・リヴィングレジェンズファームに移動。僚馬サイレントウィットネスなどとともに同地で余生を送っている。
血統表
Bullish Luckの血統 | |||
*ロイヤルアカデミーII Royal Academy 1987鹿毛 |
Nijinsky II 1967 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Flaming Page | Bull Page | ||
Flaring Top | |||
Crimson Saint 1969 栗毛 |
Crimson Satan | Spy Song | |
Papila | |||
Bolero Rose | Bolero | ||
First Rose | |||
Wild Vintage 1990 黒鹿毛 FNo.4-n |
Alysheba 1984 鹿毛 |
Alydar | Raise a Native |
Sweet Tooth | |||
Bel Sheba | Lt. Stevens | ||
Belthazar | |||
Vintage 1979 鹿毛 |
Foolish Pleasure | What a Pleasure | |
Fool-Me-Not | |||
Prix | Vaguely Noble | ||
Margarethen | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Native Dancer 5×5(6.25%)、Menow 5×5(6.25%)
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関連項目
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