曖昧さ回避
M500とは、
経緯
S&W社といえば、次元大介のM19やダーティハリーのM29など、とにかく強い弾を発射するリボルバーで有名な企業である。
しかし当時最強と言われた.44マグナム弾を使用したM29も、時代が下るにつれて他の拳銃に抜かれて「世界最強」の座を失い、アメリカの風土で育ったS&Wの銃は欧州市場には受け入れられず、それならばとポリマーフレームを作ってみたらグロックから訴えられ、すっかりS&Wは力を失ってしまった。
そこで、S&Wはもう一度かつての方向性に戻り、再び「世界最強」を名乗らんとして「.454カスール弾より強い弾薬を撃てるリボルバー」の開発を目指すこととなった。
こうして、.44マグナム弾の3倍の威力を持つとされる.500S&Wマグナム弾を使用する最強のリボルバー「M500」が完成した。
リボルバーには6発装填のものが多いが、M500は大型の弾を使用するために装弾数は5発に減らされた。フレームは超大型の「Xフレーム」を新規開発し、反動を抑えるために重量は2kg前後と、拳銃としてはべらぼうに重い。簡単に言えば、とにかくデカイのである。
性能
たしかにM500は一般に流通している拳銃としては、特注品や受注生産品を除けば現在世界最強の弾薬を使用している。
しかし実際に撃ってみると銃口でのエネルギーこそ.44マグナムの3倍であるものの、M500の銃身は.500S&Wマグナムを加速させるには短すぎたため、その後すぐに弾速が落ちてしまい結局.454カスールと大差ない威力であるらしい。所詮拳銃は拳銃だったようである。
また、弾が強力である以上当然反動も凄まじく、しかもM500はただひたすらに『最強であること』だけを目指したがゆえに射手の健康の保全は目的には入っていない。そのため、しっかり撃てば肩が外れたりすることこそないが、連続で射撃をすると手がしびれてまともに文字も書けなくなる状態が数日も続いてしまうことさえあるという。
さらに、シリンダーと本体の隙間から漏れる発射ガスも問題である。この発射ガス漏れ自体はリボルバーの宿命なのである意味仕方がないものなのだが、M500はその量が凄まじい。Wikipediaで発射時の写真を見ることができるが、見た目はもはや発砲ではなく爆発である。
で、そうなると売れ行きは芳しくなさそうなものだが、やっぱりアメリカでは「でっかくて強い」は正義だったらしく、M500は発売当初注文が殺到して生産が追い付かなくなるほどの人気を博した。
……しかし、こと日本においてはM500の名はさほど知られていない。
ニコニコ動画のタグ検索でヒットする動画はわずか10件(2011年10月1日現在)、しかも「M500」という名前は上述した通りモスバーグにも散弾銃として存在するため、実質1ケタしかない。
というのも、銃に馴染みがない日本においてはよほどファンでなければなかなか印象には残りにくい。
M500は(大きさを考えなければ)見た目は至って普通のリボルバーであり、名前もただの通し番号にしか見えない。有名な映画などで大活躍というわけでもなく、先に挙げたM19やM29のようにもいかない。
反面、その圧倒的な存在感を与えるデザイン、マグナム弾使用のオートマチック拳銃としてはほぼ唯一と言っても良いくらいの成功を収め、「砂漠の鷲」なんていう中二病カッコイイ名前を持ち、登場作品も多いデザートイーグル.50AEの印象は強く、人気も高い。
やはり、S&Wはアメリカだからこそ大活躍できる会社だったようである。
なお、長いカスタムバレルを備えたハンターモデルがパフォーマンスセンターから発売されているので、アメリカで狩猟をしたいお金持ちな人・・・いかがでしょうか?
その後
編集者が上の文を書いてから3年経ったが、この間に日本におけるM500の知名度は結構上昇したと見える。
ニコニコ動画における「M500」タグの付いた動画も1.5倍の数にまで増えた。5本しか増えてないじゃんとか言ってはならない
当初は週刊少年チャンピオンで連載されていた「ドールガン」において『ショタコン(後に親父趣味)ハードゲイの拳銃使い』という本銃に負けず劣らず強烈なキャラの愛銃という役を与えられていた事例が挙げられていた程度であったが、近年ではじわじわとアニメでの登場機会も増えている。なんだかんだで日本人もロマン砲が好きなのだ。
最近では『さばげぶっ!』主人公のド外道園川モモカの母親、園川かず江が使用したことで知られる。超ロングバレルとコンペンセイター、ピカティニーレールを備えたハンターモデルで、しかもその上にドットサイトまで乗っけるというサバゲーだからこそ許されるロマン特盛仕様。アニメ化されたことでM500の巨体が液晶の中を暴れ回り、しかも撃っているかず江自身がスレンダーなこともあってかなりのインパクトを視聴者に与えることとなった。なんでこの銃使う奴はこんなにキャラが濃いんだ……
なお、言うまでもないがこいつを対人戦闘に用いるのは理想的ではない。もちろん当たれば強いが、上に書いたように撃つ方もタダでは済まないのである。M500は開発目的からしてもロマン砲でしかない。こいつを登場させようとする物書きさんを編集者は時折見かけるが、要注意。
関連項目
- 4
- 0pt