春古馬三冠とは (ハルコバサンカンとは) [単語記事]

春古馬三冠とは、2017年より中央競馬で春季に開催されている3つのGI競走からなる競走体系のことである。また、これらの競走を制覇することも指す。JRA(日本中央競馬会)の公式用語ではない。

概要

一般に、春古馬三冠とは以下の3競走を指す。

2017年に、それまでGIIとして開催されていた産経大阪杯がGIに昇格して大阪杯となった。同時に、大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念の3競走を同一年に勝利した競走馬に対して内国産馬であれば2億円、外国産馬であれば1億円の特別報奨金が支払われる制度も用意された。これにより同様の報奨金制度が既に存在していた秋古馬三冠と対をなす形となり、大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念の3競走は「春古馬三冠」として人口に膾炙するようになった。

ただし、秋古馬三冠ほどには路線として重要視されているとは言い難い。天皇賞(春)は長らく古馬の大目標であったが、近年の中距離重視の傾向から昔ほどには有力馬が集まらなくなってきている。宝塚記念は有馬記念と対をなす上半期のグランプリであるものの、開催時期の悪さなどもあり有力馬（特にかつて優勢を誇っていた関東馬）の出走が少なかったこともあり八大競走には数えられていない。大阪杯に至っては2017年に昇格したばかりのGIで、昇格以降はGI競走として相応の威容を整えつつあるものの、サウジカップデーやドバイワールドカップカーニバルと開催時期が近いこともあり出走馬の分散が見られる。

また、2000～2500mで開催される秋古馬三冠と比較すると春古馬三冠は2000～3200mと距離差が大きく、さらには大阪杯と天皇賞(春)の開催時期が近いため、近年のローテーションでは両方の競走には出走しづらいという問題も抱えている。

春古馬三冠が形成された2017年にキタサンブラックがいきなり王手を掛けたものの、3冠目の宝塚記念では9着に惨敗してしまった。以後は2023年現在まで、3冠達成はおろか3冠達成に王手をかけた馬すら現れていない。

以下に、春古馬三冠競走を2勝以上した競走馬を示す。数字は着順、不出走は-で示す。

年	馬名	大阪杯	天皇賞(春)	宝塚記念
2017	キタサンブラック	1	1	9
2022	タイトルホルダー	-	1	1

春古馬三冠成立以前

2016年までは古馬にとって天皇賞(春)と宝塚記念が上半期の目標レースだった。

大阪杯の前身となる産経大阪杯も存在してはいたものの天皇賞(春)へ向けて数あるステップレースの一つにすぎず、しかも有力馬は関西なら阪神大賞典、関東なら日経賞に出走することが多く、天皇賞(春)と宝塚記念の両方を狙えるような有力馬が積極的に産経大阪杯へ出走しようとすることは珍しかった。

以下に、春古馬三冠成立以前に天皇賞(春)と宝塚記念の両方に勝利した競走馬を示す。

年	馬名	主な前哨戦			天皇賞（春）	宝塚記念
年	馬名	阪神大賞典	産経大阪杯	その他	天皇賞（春）	宝塚記念
1964	ヒカルポーラ	秋開催	6	スワンS 4着	1	1
1968	ヒカルタカイ		-	オープン 2着	1	1
1971	メジロムサシ		-	目黒記念 1着	1	1
1982	モンテプリンス		-	中山記念 2着	1	1
グレード制導入
1988	タマモクロス	1	-	-	1	1
1989	イナリワン	5	-	-	1	1
1994	ビワハヤヒデ	-	-	京都記念 1着	1	1
2000	テイエムオペラオー	1	-	京都記念 1着	1	1
2003	ヒシミラクル	12	7	-	1	1
2006	ディープインパクト	1	-	-	1	1

産経大阪杯を勝って天皇賞(春)または宝塚記念に勝利した馬の一覧

大阪杯の前身である産経大阪杯を含めても同一年に産経大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念の3競走を勝利した馬は存在しない。以下に、産経大阪杯を勝利後に同年の天皇賞(春)または宝塚記念に勝利した競走馬を示す。

年	馬名	産経大阪杯	天皇賞（春）	宝塚記念
1969	ダテホーライ	1	4	1
グレード制導入
1984	カツラギエース	1	-	1
1990	スーパークリーク	1	1	-
1993	メジロマックイーン	1	2	1
1997	マーベラスサンデー	1	3	1
2007	メイショウサムソン	1	1	2
2009	ドリームジャーニー	1	3	1
2011	ヒルノダムール	1	1	-