913
901
2024/01/14(日) 10:33:34 ID: 45rGGa7okI
目当ての蝶を手に入れるために多大な時間と労力を費やして卵から育てたり
その蝶の標本が破損させられてしまった時にはなんとか修繕しようと夜遅くまで頑張った様子が見られたり
エーミールは間違いなく蝶に対する並々ならぬ強い思い入れと情熱を持っている
主人公は子供で、自分だけの基準で蝶を愛し、他人からの客観的に見た批評を受け入れられない
だから自分だけの宝物として妹たち以外には滅多に見せず、エーミールから客観的で正当な評価を受けると傷つく
対してエーミールは個人的に蝶を愛しながらも同時に客観的に見た価値も理解している
エーミールから見れば主人公は、自分が長年苦心して手に入れた標本を努力もせずに盗んで得ようとした挙句、蝶の愛好家とも思えない雑な取り扱いで修復不可能なまでに破損させ、その償いを手垢まみれの中古の玩具や高いものでもせいぜい20ペニヒ程度の標本の寄せ詰めといった他人にとってはおよそ何の価値もない代物で済ませようとする少年
これ以上ないほど軽蔑されて至極当然と言うしかない
902 ななしのよっしん
2024/02/27(火) 19:14:42 ID: 6/QLG+TvNk
俺は子供の頃から親に「悪いことをしたら謝ろう」「相手が謝ってきたら許してあげよう」って言われて育ったからエーミールの反応は本当に驚いたし酷い奴だと思ったな。
でも今改めて見直すとエーミールは完全に被害者で最低なことをしたのは主人公という…
皆は初めてこの作品読んだ時どう思ったんだろ。
903 ななしのよっしん
2024/02/27(火) 23:37:42 ID: FOQJ8ZFRVt
要約すると「故意に悪事を成しても謝れば許される」という自己本位な思考を真っ向から叩きのめすお話だから
更には成人しても未だに自己本位は変わらずエーミールの正しさすら悪徳として追憶しているから救いようがない
>>902
当時の感想「なんで逆ギレかましてんだコイツ、加害者が被害者面する物語についてクラス内で議論しましょうとか意味分からん」
現在の感想「"自らの指で潰したコレクションに友人関係をなぞらえて何とか他者からの赦しを得ようとしつつも回顧の物語においてすらて友人であったエーミールを批難し続ける救いようのない俗物"を描いた物語」
904 ななしのよっしん
2024/02/27(火) 23:39:32 ID: 5ExKVlQTmx
他人のコレクションとの比較、他人からの評価を気にしてる辺り、「わたし」が本気で蝶が好きだったかというと疑問が残るね
905 ななしのよっしん
2024/02/27(火) 23:51:11 ID: 5KSNN7ymLU
>>904
「微妙な喜びと激しい欲望との入り交じった気持ち」
という表現からも、単なる「好き」とは違うものを感じる
906 ななしのよっしん
2024/02/28(水) 01:14:28 ID: IEXYZG+nvg
>>902
子供の頃にこの話を授業で習った際クラスで感想を発表する時間があったけど大体みんな「エーミールは嫌な奴」「主人公が謝ったのに酷い」みたいな意見がメインで少なくともエーミールに同情的なのはゼロだった記憶
ちなみに当時授業を担当した先生の最終的なまとめが「時に謝る事はとても勇気がいるけど大切な事だから、もし皆さんが何か間違いや過ちを犯してしまった時は隠したりせず素直に謝れるような大人になりましょう」だった
907 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 20:54:07 ID: 8yD39VutO8
習った当時、みんながエーミールに対して良い気持ちしていなかったのが一切理解できなかったな。
ワイ将が思うにアスペが関係していると思うんや。
これを読んだアスペが居るなら、子供の時、周囲のエーミールに対する感情に共感できたかできなかったか教えてくれや。
908 ななしのよっしん
2024/03/18(月) 16:06:39 ID: B80BhxHNZe
考えるべきなのはこのお話が「大人になった『僕』が語っている」という点だと思う
子ども同士のトラブルなら小学生も共感してエーミール酷いなぁと言うだろうけど、これ語ってるのが「オッサンになってもまだエーミールについてグチグチ言ってる『僕』」という視点を得ると評価が一変すると思う
909 ななしのよっしん
2024/03/18(月) 19:23:23 ID: 9Wcuufos3u
文章を読んで自分なりに何か考える、というきっかけを与えるという意味では、国語の教科書に載せる作品としてすごくふさわしいと思う
910 ななしのよっしん
2024/04/13(土) 17:04:13 ID: PA05RdIS1l
コムラサキに対するエーミールの批評は言い方こそ辛辣で容赦のないものだったけど、
安値とはいえ金銭的価値を認めてくれた上で改善すべきポイントを具体的に指摘してくれてるんだよね
ひょっとしたらエーミールは同じ趣味を持つ「僕」に目をかけていて自分と同レベルの高みに上ってくる事を期待していたんじゃないだろうか
同好の士として期待をかけていたからこそ盗んだ標本を雑に扱って破損させた挙句、
対価として自分のコレクションを軽々しく差し出した事に対して「君の蝶にかける情熱はその程度のものだったのか」って心底失望したんじゃないだろうか
911 ななしのよっしん
2024/04/13(土) 21:44:17 ID: FOQJ8ZFRVt
>>906
それなー、クラスでも何人かそんな意見言ってたわ
自分が謝っているのだから相手は許すべきと考えてるような王様気取りのやつとは友達になれないしなりたくもない、友達だとすら思ってほしくねえだろ、と言ったら凄い勢いで罵倒された記憶ある
>>910
もちろん、それらも理由の一つとして当然あるだろうなぁ
何よりもエミールからすると同好の士であると同時に友情も築いてきた相手が唐突に裏切ってきた挙げ句、その象徴であるコレクションまで乱雑に放り出そうというのだから始末に負えない
エーミールが欲しかったのは「決して許されないことをした、本当にすまない。たとえ許されなくても何年かけてでもクジャクヤママユを蛹から孵して君に返す」という真摯な態度と言葉だったろうに
912 ななしのよっしん
2024/04/15(月) 15:17:03 ID: tG80U9vFIH
>>904
比較や評価を気にするのは恐らく主人公の家が貧しい事から来るコンプレックスが要因かもね
ただ他の友人達が流行りに飽きても変わらず一人蝶の収集を続けていたり、蝶を見るために苦手な相手の所へ訪ねていったり、あまりの蝶の美しさに魔がさして衝動的な行動を起こしてしまうくらいにはアグレッシブだから良くも悪くも彼の蝶への想いは本物だったと思う
まあだからこそ終盤の尊厳破壊展開がある意味映えてしまう訳だが・・・
913 ななしのよっしん
2024/04/24(水) 00:18:00 ID: 3f/e+gfjN7
国語の教科書の話題では少年の日の思い出がよく出てくるけど
個人的には魯迅の『故郷』の方が嫌な現実味があってキツかった
時間の経過と共に人間に訪れる不可逆的な変化というか、子供の頃はそんなこと全然気にしてなかったのに、世間の様々なものにボロボロにされた結果無駄に貧富の差を気にしてへりくだるようになったルントウの姿がきつかった
なんかこう、少年時代の面影が全くないんだよ
物語のラストでルントウの息子と主人公の甥が友人になったことが語られてて、その時の主人公の地の文がすごく印象的だったんだけど、当時の自分には表現があまりに文学的すぎて意味がよく掴めなかった
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。