もうとっくに寝る時間だよとは、岸本斉史による日本の漫画『NARUTO -ナルト-』に登場する台詞である。単行本61巻に収録されている583話「これは誰だ」にて、幼少期の薬師カブトにより発せられる。
概要
忍連合軍と暁との間で第四次忍界大戦が開戦する中、薬師カブトは、自分がかけた穢土転生の術を解くため居場所を追跡してきたうちは兄弟と戦闘に発展。
膠着状態が続く中、「カブト…お前を見ているとまるでかつてのオレを見ているようだ…」「だからこそお前は負ける」「己自身を認めてやることができない奴は失敗する かつてのオレのようにな」と自論を展開するイタチに対し、カブトは「ボクの何を知ってる? ボクはボクのやり方でずっと自分が何者なのかを探してきた… ずっと――」と言い、己の過去を語り始める。
カブトは第三次忍界大戦で親を失った戦争孤児だった。若干6歳の彼は、頭部を負傷し倒れている所を、孤児院を運営している薬師ノノウ、通称・マザーに治療を施され、両親や自分の名前の記憶すらない彼はそのまま孤児院に引き取られる。カブトという名前はウルシという子供に折り紙の兜を被せられた姿を見たノノウが命名した。
ノノウは視力の悪いカブトに自分が使っていた眼鏡を渡し、時計が読めることを周りの大人に証明させるなど、カブトにとって自己の確立を手助けしてくれる存在として彼を支えていく。
それからは、ウルシたち施設の仲間とともにつつましくも幸福な日々を過ごし、孤児院のために、ノノウから指導を受けた医療忍術を戦争で負傷した忍相手に使うなどしていた。
ある日、木ノ葉の暗部養成部門“根”のリーダーである志村ダンゾウが施設を訪問してくる。彼はノノウに、岩隠れの里に潜入する長期任務に就くことと、“根”の補充要員に施設の子供を一人寄越すこと、これらを断れば今後施設えの援助金を打ち切ることを通告。
この会話を盗み聞きしていたカブトは、自分からその補充要員に立候補。「オレらとの3年間を捨てるんのか! こっちへ来い!」と引き留めるウルシら孤児院のメンバーに対し、カブトは夜9時を指す時計を見て「皆 院でのルールを忘れたのか?」「もうとっくに寝る時間だよ」と告げ、施設を後にする。
“根”に加入したカブトは優れた諜報活動能力を発揮し五大国を渡り歩くスパイとして活動していく。
孤児院を出て5年。カブトは戦場で孤立してしまっていた。ヘマをしなければもうとっくに寝てる時間だったのに…もう一度マザーや皆に会いたかったなあ…と、懐中時計を眺めながら死を覚悟するも、奇襲を仕掛けて来た忍を討ち取ることに成功。
しかし、その忍は自身を育ててくれたノノウだった。彼女はまだあのとき言い渡された任務を続けていたのである。
急いでノノウに治療を施し自分はカブトだと声をかけるも、彼女はカブトを認識せず、「誰……なの…?」と言ってしまう。 心の支えだった人物のまさかの一言にカブトは呆然とし、治療をやめてその場を立ち去ってしまう。
なぜマザーはボクのことを覚えていない…? だとしたら今までのボクは何だったんだ? マザーからもらったものは…名前もマザーの子供であることも…この眼鏡でさえも…
自己が崩壊していく中、眼鏡を外したカブトは水面に映る自分の顔を見て「これは誰だ?」と呟く。
すると、自分を完全に見失ったカブトの前に大蛇丸が現れ、なぜこうなったかを話す。それによると、“根”は、スパイとして優秀すぎる能力を持ち、いろいろと知りすぎたカブトとノノウの同士討ちを画策。“根”はノノウにカブトの成長過程を逐一写真で知らせていたのだが、その写真は途中からよく似た別人とすり替えられており、長い時間をかけた洗脳で他人をカブトだと刷り込まされていたのだ。
激高して襲い掛かって来たカブトに、大蛇丸は「君は自分を説明できるだけの情報がまだ足りないだけ」「眼鏡も名も子供であることも本当の自分を示すものではなかった」「それでいいじゃない 今までのものが納得できないなら… 代わりのものを見つけて次々に足していけばいいだけのこと」。
なぜ自分を殺す為に遣わされた大蛇丸がそんなことを話すのか理解できないカブトに、彼は、これから己を消す“根”とは違い己を導き出す、どの国にも属さない音隠れの里を作ることと、今から二人して木ノ葉を抜け、新しい経歴でやり直そうと誘う。
こうして、カブトは大蛇丸の部下として暗躍し、今や第四次忍界大戦を大きく引っ掻き回す存在にまでなったのだった―― 。
回想を終え、「だから…ずっと付け足してきたんだ」「欲しいのは君の説教じゃなく君の能力と情報だよ」と語ると二人へ襲い掛かるが、イタチによってイザナギと対になるもう一つの禁術・イザナミが発動し、精神を無限ループに落とされてしまう。
繰り返されるデジャブの中で、カブトは何が失敗だったのかと過去を振り返りながら、水遁で流された眼鏡を拾い身に付け、こんなとこに閉じ込められなきゃ…今頃戦争に勝って…と、若干子供返りしたかのような思考になると、「とっくに寝てる時間だったのに…」と零す。そのとき水面に映ったのは、大蛇丸の細胞に全身を侵される前のあの頃のカブトだった。
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