イーファスピッチとは、プロ野球にて投手が投げる球種のひとつである。
概要
いわば「超スローボール」。
プロ野球では速い球を投げることにより、打者のバッティングまでの時間を減らすことができる。そのため、球速が速いだけでもかなり重宝され、注目される。
しかしながら、上に行けば行くほど球速や打者の打撃技術が向上する。もちろん、ただ単に速いだけでは打ち取ることができなくなってしまう。
そこで、スローボールやチェンジアップといった変化球を使用して速球(ストレート)との緩急をつけることによって打者のタイミングをずらしてゆく。
ここまでは普通なのだが、このタマは訳が違う。
そこいらの小学生が投げる球よりも遅く、大きな山を描いてキャッチャーミットへと吸い込まれていくボールである。
日本でも小宮山悟やユウキが投げていたのだが、イーファスを一躍有名にしたのは多田野数人。
メジャーでもアレックス・ロドリゲスを打ち取るなど密かに話題にはなっていたものの、日本での初登場は2008年6月18日の対広島戦。スコット・シーボルに対してカメラから見切れるほどの山なりの投球を行う。その球速は計測こそできなかったものの、ある番組による推定では40km/h程度といわれ、陸上競技の短距離走選手の走りと同じくらい遅い投球を披露した。ちなみにシーボルはこれを打ち、ショートゴロに倒れている。
その後も様々な打者に対してこの投球を実行しているが、2014年までにこれを一軍公式戦で打ってヒットにしたのは福浦和也ただ1人である(二軍戦においては小笠原道大が2013年5月6日に打ってタイムリーヒットにしている)。多田野のNPB時代末期では2013年にアンドリュー・ジョーンズへ、2014年にマウロ・ゴメスへ投げており、そのシーズンに初めて多田野と対戦する外国人打者がイーファスピッチの餌食になっていた。
多田野は2015年よりベースボール・チャレンジ・リーグの石川ミリオンスターズに所属しているが、BCリーグでもイーファスピッチをときたま投げているそうで、そのインパクトは健在のようだ。
普通にヒットを打たれたり、非常にストライクを取りにくい(取ってくれない)、ストライクゾーンに入れば打者は簡単にバッティングに入るなどデメリットの大きい球種ではあるものの、打者のタイミングを狂わせる、意表を突く、目線を逸らせるといった効果がある。また、プロとして観客を魅了させることもできる。
なお、海外では遅い球全般がイーファスピッチと呼ばれることも有り実際にダルビッシュ有が投げたスローカーブを現地アナウンサーがイーファスピッチと呼んでいる。
イーファスピッチの起源は1940年代のメジャーリーグ、ピッツバーグ・パイレーツの投手、リップ・シーウェルが投げ始めたのが最初とされている。ちなみに、「イーファスピッチ(Eephus Pitch)」とは「大した意味はない、ただのボール」という意味である。
関連動画
ゲームでの登場例
他の投手が投げた例
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関連項目
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