ジョン・タイターとは、2036年の未来から来たタイムトラベラーである。1975年にタイムトラベル後、1998年の我々の世界へとやってきた。
2000年代前半に主にインターネット上で騒がれ、世間から忘れられかけた2009年度にSteins;Gateの元ネタとして引用され、再び注目を集める事になる。
概要
2000年、アメリカの大手オカルト掲示板に突如「2036年から来た」という書き込みがされた。
彼の名はジョン・タイター。その後約4か月に渡り、懐疑派や肯定派の雪崩のような質問に真摯に答え、「任務を完了したので帰還する」という言葉を最後に、いなくなってしまった。
こう書くと、2ちゃんねるのオカルト板にいるような「自称未来人」を想像するが、タイターが現在においても(アメリカなどで)高い人気と議論のネタにされているのは、彼のタイムトラベルに関する理論や、未来に関する予言とも言える発言、さらに実際にアップロードされたいくつかの写真が真に迫っているからである。
しかし、後述するように、タイターの世界と我々の世界はズレがあることや、もう一度タイターのようなタイムトラベラーが現れる可能性が皆無に等しいこと、などによって、検証は全く不可能といえる。
日本では予言者として扱われることが多いが、タイターは予言者ではなく単なるタイムトラベラーにすぎない。
後述する理論によれば、未来のことを当てることができなくても何ら問題はないのであり、予言の当たり外れでタイターを「本物」「偽物」と決めつけることは出来ない(しかし、それが最も簡単な真偽の判定方法のため、主にオカ板的人間によってレッテルを貼られたままである)。
タイムマシンとタイムトラベルの方法
タイターの利用したタイムマシンは、乗用車に積めるほどの小型の機械で、ようするに「マシン」ではない。
タイムトラベル装置ともいうべきもので、これを乗用車などにセットし、ワームホールを利用してタイムトラベルする。
内部では重力場が発生し、エレベーターで上昇しているような感覚を味わうという。
およそ10年の時空間を移動するのに、1時間ほどかかる。
タイムトラベルの話で必ず上がる「パラドックス」だが、タイターの説明では「異なる世界線(パラレルワールドのようなもの)の過去に移動するため、歴史が変わることはない」そうだ。
彼はこの問題について、「なぜこの時代の人々はパラドックスが起きるかどうかをそれほどまでに気にするのか理解できない」と書きこんでいる。彼自身、トレーニング中と、1998年のこの世界線に来た時の計2回「自分」に会っているという。
また、タイムトラベルした先の空間と、現在の空間は全く同じ場所であることはありえない。
なぜなら、地球も太陽系も銀河も、宇宙を猛スピードで移動しているからだ。
つまり、普通にタイムトラベルしても下手をすると宇宙空間に飛び出してしまってお釈迦ということになりかねない。
タイターのタイムマシンには、この問題を解決するための装置が積まれており、大雑把にいえば「空間座標を固定することによって、同じ場所に移動できるように」なっているらしい。
世界線のズレ
世界線(ワールドライン)とは、タイターが使用したパラレルワールドと同義であると思われる用語。
タイムトラベルの瞬間に、この世界線とは別の世界線が無数に作られ、たどり着く世界もこの世界線とは異なった世界線になってしまうという。
そのため、移動先の世界線がどの程度現在の世界線と「ズレ」ているのかを知る必要がある。
タイターのタイムマシンは、過去と未来60年間を過ぎてタイムトラベルすると、世界線のズレが大きくなりすぎてしまうため、タイムトラベルできる範囲は60年間と設定されているのだという。
また、我々の世界線にたどり着いたとき、世界線のズレは2%程度であったらしい。
(しかしこれはあくまで到着した時点でのことなので、その後ズレが大きくなっていることが考えられる)
この世界線のズレによって、どの程度世界が変わるのかについて、タイターは「考えても無駄」だとしている。
理由は明らかにしていないが、世界線が無数にあるとすれば、その中からたった一つの世界線と自分たちが住んでいた世界線を比べても何の意味もないということかもしれない。
タイターの使命
なぜタイターはタイムマシンで過去にやってきたのか。
タイターのいた世界、つまり2036年のアメリカは、核戦争やそのあと起こった第三次世界大戦によって疲弊していた。
世界的な流れであったグローバル化は完全に停滞し、科学技術のおかげで復興は進んでいるが、いまだ不完全な状態でもあるという。
その世界において、急務とされているのが2038年問題への対策である。
それには、故障してしまった古い時代のコンピュータシステムの解析と修理が必要であり、そのために、内部に特殊な翻訳装置のついているIBM5100というパソコンを入手しなければならなくなった。
(ちなみにIBM5100のこの特殊な機能については、タイターの書き込みによって初めて明らかになったことである。一部の技術者以外は知らなかった)
IBM5100を入手するため、タイターは2036年から1975年へとタイムトラベルしたのである。
尚、タイターの父はIBM5100の開発に携わった技術者であり、それが理由でタイムトラベラーとして大抜擢されたのではないか、という見方もある。(過去の父と接触をしやすい)
任務を果たした後、タイターは「個人的な理由で」1998年の「この世界線」にやってきた。
そして、家族と2年ほど過ごした後に、インターネットに書き込みを始めたのである。
2036年のアメリカ人としてのタイター
タイターの掲示板でのやりとりが記録された英語の原書では、
タイターの母親とされる人物の話した内容も書かれている。彼女の話で、ある程度普段の生活でのタイターを知ることができ、それによって現代の我々とはいくつかの点で異なることがある。
- 神への信仰心はより強い、宗教はより身近になる(中央集権的な教団は姿を消している)
- 一人で過ごす時間を重要視しない(家族と過ごす時間のほうが大切)
- 食べ物が汚染されていないかについて非常に敏感(産地が明記されているもの以外口にいれなかった)
- 嗅覚が鋭い
- 緑や黒の服を好む(森で姿を隠しやすいから、というのが理由)
- 毎週のように風邪を引くが、風邪薬の服用は頑なに拒んだ(この世界線の大気汚染の影響?)
- 2036年においては地球温暖化問題はほとんど問題視されていない
正体?
タイターの母親から委託されたというラリー・ヘーバー弁護士の可能性がある。
彼はタイターの書籍の著作権を管理している。上述の、タイターの母親に会ったことがあるのはヘーバーのみである。また、弟のジョン・リック・ヘーバーは物理や工学の知識が豊富だという。ジョンはラリーが会見するときにはそばに控えている。ラリーは元ウォルト・ディズニー社の顧問弁護士も務めていた。
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Steins;Gateでのジョン・タイター
現実のタイターが語った「世界線」「IBM5100(作中ではIBN5100という名称)」等が本作の重要なキーワードとなる。
物語の舞台である2010年7月にもジョン・タイターは登場し、インターネットの掲示板に現実のタイターが残した文章と同じような書き込みを残すが、
なぜか2000年に現れたタイターを覚えている人間は主人公の鳳凰院凶真岡部倫太郎ただ一人であった。
関連商品
関連項目
- タイムマシン
- 未来人
- タイムパラドックス
- 量子論
- JT
- ワームホール
- Steins;Gate シュタインズ・ゲート
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