タワーリング・インフェルノ(The Towering Inferno)とは、1974年にアメリカで公開されたパニック映画である。日本では1975年に公開。
概要
ワーナー・ブラザースと20世紀フォックスの合作にして、1970年代にブームを巻き起こしたパニック映画の金字塔。1974年度のアカデミー賞で撮影賞、編集賞、歌曲賞をトリプル受賞している。
超高層ビルで大火災が発生。ポール・ニューマン演じる設計士とスティーブ・マックイーン演じる消防士が、取り残された落成式の客を決死の避難誘導・救助する物語である。
タイトルの「タワーリング・インフェルノ」は直訳すると「そびえたつ地獄」である。
元々は、ワーナー・ブラザースが「ザ・タワー」、20世紀フォックスが「ザ・グラス・インフェルノ」とそれぞれの小説を原作に映画化する話が持ち上がっていた。奇遇にも両方とも高層ビルの火災がテーマになっていることに加え、予算は莫大なものになるため、共同で制作することに決まったという経緯がある。
また本映画の愛のテーマである「We May Never Love Like This Again」はモーリン・マクガヴァンの代表曲であり、彼女自身も劇中に出演してこの歌を披露している。
あらすじ
舞台はアメリカ・サンフランシスコ。
地上550m、138階の超高層ビル「グラスタワー」が完成、300名の来賓を招いて華々しく落成式を行っていた。しかしその頃、ビル地下室の発電機が故障、漏電する。ビル設計者のロバーツ(ポール・ニューマン)の知らない所で、電気系統工事の手抜きが原因となり、漏電は81階の物置小屋でのボヤ火災を引き起こしていた。
状況を把握したロバーツはオーナーに避難を進言するが、面子を気にするオーナーはこれを無視。その頃既に物置室は火の海と化し、煙が外に流れ出していた。これを不審に思った警備員が扉を開けた為に火は一気に燃え広がってしまう。
通報を受けた消防隊が到着し、チーフのオハラハン(スティーブ・マックイーン)はただちに消火活動を開始。消化ホースだけでは火災が抑えられない為、改めてオーナーに避難を命じる。しかし迂闊にも避難にエレベーターを使ったことで、81階で自動停止したエレベーター内に炎が吹き込んだ。そのままパーティー会場まで折り返し運転したエレベーターから火だるまになった男がパーティー会場に現れ、招待客達はパニックに陥る。
その間にも延焼は広がり、もはや地上からの放水では手の付けられない状況となっていた。熱風で勢いを増すビル風に煽られてヘリコプターでの救助も出来ず、隣接するビルから救命籠を使った救助が開始。
不運にも命を落とす犠牲者が続出する中、オハラハンは最後の手段として屋上の貯水槽を爆破、その水で消火する作戦を決行する……
日本語吹き替え版について
現在、日本語吹替版では次のようなバージョンが4種類存在する
(声優名はスティーブ・マックイーン、ポール・ニューマンの吹き替え順に明記)。
- 宮部昭夫と川合伸旺によるフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版
- 宮部昭夫と井上孝雄による日本テレビ「水曜ロードショー」版
- 内海賢二と堀勝之祐によるTBSテレビ「火曜ロードショー」版
- 小山力也とてらそままさきによるBSジャパン版
いずれも一見の価値はあるが、中でもファンの一番押しはやはりフジテレビで放送された宮部と川合のコンビであろう。
当時、マックイーンを宮部、ニューマンを川合がそれぞれ専属的に吹き替えを担当しており、その演技ぶりも評価されていることもあって、この2大スターの吹き替えの組み合わせは奇跡的なものといえよう。
さらにこのバージョンは前後編に分けて本編ノーカットで放送されていたが、フジテレビ以外の放送局では全く放送がされてなかったため、「幻の吹替版」と言われるほどの価値がある。
これ以外にノーカットの吹替音声が製作されたのは小山とてらそまのバージョンぐらいで、他は2時間~2時間半枠に収まるようにカットして制作されている。
2009年に吹替版が初めて収録されたスペシャルエディションDVDとBlu-rayには、宮部と井上のバージョンのみで、吹替音源は最長でも約45分ほどカットされている。
2017年6月7日には吹替の力から従来の宮部と井上のバージョンに加え、宮部と川合のバージョンは初収録され、ファンの長年の夢が実現することになった。
関連項目
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