ベストウォーリア(Best Warrior)とは、2010年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
MCS南部杯連覇と重賞5戦連続2着の記録を持つマル外のダートマイラー。
主な勝ち鞍
2013年:ユニコーンステークス(GⅢ)
2014年:マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)、プロキオンステークス(GⅢ)
2015年:マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)、プロキオンステークス(GⅢ)
概要
父*マジェスティックウォリアー、母*フラーテイシャスミス、母父Mr. Greeleyという血統のアメリカ産馬。
父はアメリカの2歳GⅠホープフルSの勝ち馬。本国で種牡馬入り後、ベストウォーリアの活躍もあって2016年から日本で供用され、輸入初年度産駒のライトウォーリアが2024年の川崎記念を勝っている。ベストウォーリアは初年度産駒の1頭。
母もアメリカの馬で1戦0勝。これまたベストウォーリアの活躍で輸入され、2014年からノーザンファームに繋養されている。ベストウォーリアは第2仔。
母父ミスターグリーリーはアメリカのGⅢ3勝、BCスプリント2着などの実績がある。種牡馬としては成功を収め、英愛1000ギニー馬Finsceal Beoなどを送り出した。
父がBold Rulerの5×4×5、母がBold Rulerの5×4でBold Ruler5本入りというコテコテ極まりないダート血統である。
2010年3月7日、ケンタッキー州のBuck Pond Farmで誕生。2012年のOBSエイプリル2歳トレーニングセールにて、あちらの競走馬エージェントに40万ドルで落札され、日本にやってくることになった。
オーナーは馬場幸夫(本業は広島の眼科医)。翌年にはアジアエクスプレス、翌々年にはモーニンを同じくアメリカのセールにて、同じ競走馬エージェント経由で落札して所有している。
栗毛に大きな流星がトレードマークで、この大きな流星のおかげでレースでもどこにいるのか比較的わかりやすい馬であった。
最高の戦士
2歳~3歳(2012年~2013年)
ヴァーミリアンやジェンティルドンナで知られる栗東・石坂正厩舎に入厩し、2012年11月10日、福永祐一を鞍上に京都・ダート1200mの新馬戦でデビュー。石坂師も福永騎手も「1200は短くない?」と思いながら出したそうだが、5番手から断然の上がり最速で2馬身半差の快勝デビューを飾る。
しかし続く阪神・ダート1400mのポインセチア賞(500万下)は逃げて沈んで7着。明けて3歳初戦、中京・ダート1400mのはこべら賞(500万下)は北村友一が騎乗したが先行馬に届かず2着。福永に戻って中1週で向かった東京・ダート1600mの平場500万下をハナ差制して2勝目を挙げた。
これで一休み入れて5月の兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ)に向かったが、ここで立ち塞がったのは後のダート王コパノリッキー。福永をリッキーに取られたベストウォーリアは新たに岩田康誠を迎えて臨んだが、序盤引っかかって鞍上と喧嘩してしまい、逃げるコパノリッキーを追いかけたものの手応え楽々のリッキーに6馬身もぶっちぎられて2着。ベストウォーリアも3着ソロルは9馬身千切ったのだが……。
続いてユニコーンステークス(GⅢ)へ。鞍上は新たに戸崎圭太を迎え、以降は基本的に戸崎が主戦となる。前走の反省から戸崎騎手は折り合いを重視して中団から進め、直線では馬群の中からインの狭いところを鋭く突き破って抜け出し勝利。重賞初制覇を飾った。
この勝利でジャパンダートダービー(JpnⅠ)に向かい、4.7倍の3番人気に支持されたが、2000mはちょっと長かったか、終盤のペースアップについていけず、勝ったクリソライトから2秒も離された5着。
一息入れて武蔵野ステークス(GⅢ)に参戦、直線でなかなか前が開かない状況から、残り200mで進路を確保して鋭く脚を伸ばしたものの、この後JCダートを勝つベルシャザールに届かず3着まで。JCダートには向かわず、3歳はこれで終了となった。
4歳(2014年)
明けて4歳初戦は京都・ダート1400mのすばるステークス(OP)。浜中俊に乗り替わりとなったが、1番人気に支持されたベストウォーリアは、好位からスムーズにレースを進め、直線鋭く差し切ってレコード勝ち。浜中騎手も「非常に強いレースでした。重賞はもちろん、GⅠも取れる馬だと思います」とコメントする好内容で幸先の良いスタートを切る。
これで勇躍、浜中騎手とフェブラリーステークス(GⅠ)に参戦。前走強い内容で勝ったベストウォーリアはベルシャザールとホッコータルマエに次ぐ7.0倍の3番人気に支持された。ところが内枠から中団のインに構えたものの、直線で前が壁!している間にずるずる下がってしまい13着撃沈。勝ったのは昨年兵庫CSで6馬身差ぶっちぎられた相手なのになんか単勝272.1倍の最低人気とかいう評価をされていたコパノリッキーであった。
かしわ記念などの交流重賞に出るには賞金が心もとないこともあり、中央のオープン特別に向かったベストウォーリアは、戸崎圭太に戻った5月の府中マイル・オアシスステークス(OP)を1番人気に応えて完勝。6月の同条件のアハルテケステークス(OP)はトップハンデ57.5kgの分もあったか、早めの抜け出しが祟ってクビ差かわされ2着に取りこぼしたが、続く7月のプロキオンステークス(GⅢ)では中団待機から直線外に持ち出してクビ差差しきり重賞2勝目を挙げる。
これで賞金も確保したので大一番のマイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)へ。この年の南部杯はGⅠ級勝ち馬不在、中央勢6頭のうち3頭が重賞未勝利というかなり手薄なメンバーだったこともあり、1.2倍という断然人気に支持される。
レースはポアゾンブラックがスローペースで逃げるのを2番手でぴったり追走すると、持ったまま直線で捕まえ、あとは思うままに後続をちぎり捨てて4馬身差の圧勝。1頭だけ力が抜けていたという感じの、特に言うことがない完勝でGⅠ級初制覇を果たした。
これで同じ盛岡開催のJBCクラシックかJBCスプリントの優先出走権を手にしたわけだが、2000は長いし1200は短い。どっちにするのかと思われたが、陣営は2000mのJBCクラシック(JpnⅠ)を選択した。しかしやっぱり2000mは長かったか、コパノリッキーの逃げ切りに食らいつくこともできず5着。
JCダートから中京開催に衣替えしたチャンピオンズカップ(GⅠ)では見せ場なく11着に撃沈。中距離帯ではコパノリッキーやホッコータルマエに力の差を見せつけられた感じで4歳を終えた。
5歳(2015年)
明けて5歳はフェブラリーS(GⅠ)から始動。6.4倍の3番人気。得意距離で今度は1番人気のコパノリッキーにそろそろ一矢報いたいところだったが、早め先頭で押し切って連覇したリッキーにまたしても届かず3着。ぐぬぬ。
続いては久々の福永祐一を迎えてかしわ記念(JpnⅠ)。コパノリッキーが骨折で離脱し、相手は2歳以来のマイルのクリソライトや牝馬サンビスタ、このところ振るわない9歳の老兵ワンダーアキュートといった面々。この面子ならと1.9倍の断然人気に支持され、レースは2番手追走から3コーナーで先頭に立ち、直線で一度はハッピースプリントにかわされるも差し返す。ところがその間を割ってきた9歳馬ワンダーアキュートにかわされて2着。ぐぬぬぬぬ。
秋の大目標を南部杯連覇に定め、昨年同様にプロキオンS(GⅢ)へ。GⅠ級を勝ったことで59kgを背負わされる羽目になり4番人気に留まったが、内の好位で進めると逃げ粘る牝馬コーリンベリーを残り100mで捕まえてあっさり抜き去って2馬身差の完勝。59kg何するものぞと貫禄を見せつけて連覇を果たす。
というわけで連覇のかかったマイルCS南部杯(JpnⅠ)。今回もリッキーやタルマエは不在で相手はワンダーアキュートやハッピースプリントとなり、1.3倍の断然人気に支持された。
レースは逃げ馬不在で先行勢が併走状態となった結果前傾ラップのハイペース消耗戦となり、ハナ争いをする面々を外で追いかけたベストウォーリアは直線早めに抜け出す。最後はベストウォーリアも脚が止まり気味だったが、後ろもハイペースで消耗して伸びを欠き、ベストウォーリアがそのまま押し切って連覇を果たした。
この年もJBCは大井開催のためスプリントは1200、クラシックは2000。南部杯のレース後に石坂師は「1400を作ってくれ」と苦笑交じりに語ったが、今回は1200mのJBCスプリント(JpnⅠ)を選択。鞍上は川田将雅がテン乗りとなり、ダノンレジェンドに次ぐ3.1倍の2番人気に支持されたが、牝馬コーリンベリーの逃げ切りの前に3着。2着ダノンレジェンドにも2馬身離され、やっぱり本職スプリンターの一線級には及ばなかった。
6歳~8歳(2016年~2018年)
明けて6歳もフェブラリーS(GⅠ)から始動。鞍上も戸崎に戻ったが、中団から脚を伸ばすも同じ馬場オーナーのモーニンのレコード勝ちに届かず4着。かしわ記念(JpnⅠ)は復活のコパノリッキーに蹴散らされて3着。
続いて3連覇のかかるプロキオンSではなく浦和のさきたま杯(JpnⅡ)に向かったが、地方馬ソルテに逃げ切りを許して2着。
3連覇のかかったマイルCS南部杯(JpnⅠ)は過去2年いなかったコパノリッキーとホッコータルマエが殴り込んでくる中、打倒リッキーに照準を合わせてレース中もリッキーを徹底マークして進めたが、そのままリッキーに振り切られて2着。
続くJBCスプリント(JpnⅠ)は川崎開催で得意距離の1400m。これはいけるやろ、と1.9倍の断然人気に支持されたが、ダノンレジェンドにダートスプリント王の貫禄を見せつけられて2着。
明けて7歳は根岸ステークス(GⅢ)から始動、中団から直線で外から一気に前を呑み込んで抜け出したが、さらに後方大外から追い込んできたカフジテイクに差し切られて2着。
4度目の挑戦となったフェブラリーS(GⅠ)ではコパノリッキーの不振で混戦ムードの中、中団から馬群を割って内を抜け出し、外のゴールドドリームをかわした! ――と思ったが、そこから差し返しを食らって2着。
かくしてベストウォーリアは、ヴィルシーナ、アドマイヤタイシに次ぐ重賞5戦連続2着の珍記録を打ち立てることとなった。
かしわ記念(JpnⅠ)はまた復活のコパノリッキーに蹴散らされて4着。さきたま杯(JpnⅡ)は牝馬ホワイトフーガの3着に敗れると、7歳の秋以降はさすがに衰えを隠せなくなり、8歳まで現役を続行したものの、それ以降は5着が最高。2018年のMCS南部杯(JpnⅠ)では6番人気ながらついに単勝万馬券まで評価を落とし、このレース6着を最後に現役引退となった。通算36戦9勝 [9-9-5-13]。
南部杯連覇を果たしたとはいえ、勝った2年とも当時のダート界に君臨していたコパノリッキー・ホッコータルマエが不在で手薄なメンバー。実際リッキーに先着できたのはリッキーがスランプで着外に撃沈したレースだけで、向こうが好調のときは全く歯が立たなかったので、得意距離で安定した実力があったのは間違いないが、ちょっと評価の難しい馬である。スプリントに行ってもダノンレジェンドがいたのは相手が悪かったと言うしかないが……。
引退後
引退後は優駿スタリオンステーションで種牡馬入り。ダート種牡馬として人気のA.P. Indy系、サンデーもKingmamboも入っていない血統で30万円というお手頃価格だったため、中小牧場が殺到し、初年度から158頭もの牝馬を集めた。以降も100頭を超える牝馬を集めており、種付け料は2022年から50万円に増額されている。
産駒は2022年からデビュー。初年度35勝を挙げて地方ファーストシーズンリーディングサイアーに輝いた。まだ目立った大物は出ていないが、中央では2024年のUAEダービーに挑戦したジョージテソーロあたりが注目株か。
1年遅れで種牡馬入りした同馬主のモーニンが同じく格安地方向け種牡馬として大暴れし始めているが、あちらは*ヘニーヒューズ産駒なので需要が全く同じというわけではないし、同父のライトウォーリアの活躍も追い風にしていきたいところである。
血統表
*マジェスティックウォリアー 2005 鹿毛 |
A.P. Indy 1989 黒鹿毛 |
Seattle Slew | Bold Reasoning |
My Charmer | |||
Weekend Surprise | Secretariat | ||
Lassie Dear | |||
Dream Supreme 1997 黒鹿毛 |
Seeking the Gold | Mr. Prospector | |
Con Game | |||
Spinning Round | Dixieland Band | ||
Take Heart | |||
*フラーテイシャスミス 2004 栗毛 FNo.1-s |
Mr. Greeley 1992 栗毛 |
Gone West | Mr. Prospector |
Secrettame | |||
Long Legend | Reviewer | ||
Lianga | |||
Seductive Smile 1990 鹿毛 |
Silver Hawk | Roberto | |
Gris Vitesse | |||
Exit Smiling | Stage Door Johnny | ||
Chandelier |
クロス:Secretariat 4×5×5(12.50%)、Mr. Prospector 4×4(12.50%)、Buckpasser 5×5(6.25%)、Bold Ruler 5×5(6.25%)、Broadway 5×5(6.25%)
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