モスターダフ(Mostahdaf)とは、2018年産まれのアイルランド生産・イギリス調教の競走馬である。
概要
父Frankel、母Handassa、母の父Dubawiという血統。
父は言わずと知れた世界最強馬。種牡馬としても数々の活躍馬を輩出している。
母はリスデッド競走の優勝馬。母の父はマイルG1・2勝馬で、種牡馬としても多くの活躍馬を輩出している。
2018年5月4日誕生。生産者・馬主はドバイの副首長などを務めたドバイの王族であるハムダーン・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下率いるシャドウェルファーム。厩舎はEnableなど数多くの名馬を手掛けた名伯楽ジョン・ゴスデン調教師の下に預けられた。
3歳(2021年)
3月中頃にニューカッスル競馬場のオールウェザーの条件戦でロベルト・ハヴリンを背にデビューして初勝利を挙げる。続いて4月のケンプトン競馬場のポリトラックの条件戦を勝利して連勝。翌月のヘロンステークス(L)ではジム・クローリーに乗り替わりや初めての芝コースとなったが、ここも勝利して無傷の3連勝とした。
その後は勢いのままにセントジェームズパレスステークス(G1)に出走するも*ポエティックフレアの12着と惨敗してしまった。
気を取り直して9月のフォーチュンステークス(L)に出走して勝利。距離を伸ばしてたダーレーステークス(G3)では復帰初戦のG1・4勝馬Barney Royがいたが、早めの先頭からそのまま押し切ってグループ競走初制覇を果たした。
4歳(2022年)
4月下旬のゴードンリチャーズステークス(G3)で始動。ヨーロッパあるある僅か3頭立てで行われることになり、勝負所で楽に抜け出して2着に2馬身差を付ける快勝でグループ競走を連勝した。
この勝利によりロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズステークスの注目株として期待されるようになった。
しかし、翌月のブリガディアジェラードステークス(G3)ではAddeybb・Lord Glittersという2頭のG1馬が出走するなか1番人気に支持されるも4連勝中の上がり馬Bay Bridgeに楽々と交わされて5馬身差を付けられての2着に敗れた。
その後はBay Bridgeに恐れをなしたのかプリンスオブウェールズステークスは回避し、更に距離を伸ばしてロイヤルアスコット開催で行われる12ハロン戦のハードウィックステークス(G2)に2番人気で出走するもBroomeに逃げ切られて3馬身1/4差の2着。翌月のプリンセスオブウェールズステークスではYibirと並ぶ1番人気タイとなるも、連戦のせいか完封勝利を収めたYibirとは対照的に最下位に敗れた。
秋は9月のオールウェザー戦であるセプテンバーステークス(G3)に出走。ここにはチャンピオンステークス2着のDubai Honourが1番人気に支持されていたが、早めに先頭に躍り出ると後方から追い込むDubai Honourを尻目に独走状態となり、最後は流す余裕を見せて2馬身3/4差で完封してグループ競走3勝目を挙げた。
その後はセプテンバーステークス優勝馬の勝率50%の凱旋門賞(G1)に出走するも連戦・重馬場・12ハロン戦が響いたのか最下位20着と大惨敗。この時、日本からはタイトルホルダー・ステイフーリッシュ・ディープボンド・ドウデュースも出走して漏れなく返り討ちにあっていたが、4頭全部に負けていた欧州調教馬はモスターダフだけであった。
ちなみにセプテンバーステークス優勝馬の凱旋門賞勝率は50%といったが、出走事例2度でどちらも厩舎の先輩Enableのみである。そりゃモスターダフじゃ無理だわ。
5歳(2023年)
今季初戦はサウジカップデーの前座競走の一つである中距離戦ネオムターフカップ(G3)に出走。2番手追走から最終コーナーで並び掛けるとそのまま直線で後続をグングン引き離して7馬身差の圧勝。4度目のグループ競走制覇となった。
この走りはロンジンワールドベストレースホースランキングでも評価されて121ポンドという一般的なG1馬以上のレーティングをG3戦で叩き出すという破格の評価で、同日のサウジカップを優勝したパンサラッサの120ポンドを上回る数値であった。
その後はドバイワールドカップミーティングのドバイシーマクラシック(G1)に出走。逃げるイクイノックスを負かそうとするも、連戦であることや12ハロン戦であったせいか思うように伸びずにイクイノックスに突き放され、更に後続にも差し切られて4着に敗れた。
その後は6月まで休養して、昨年は断念したプリンスオブウェールズステークス(G1)に出走。6頭立てという小頭数であったが、前走タタソールズゴールドカップを逃げ切ったG1・3勝馬Luxembourg・チャンピオンステークス優勝馬Bay Bridge・一昨年の英ダービー馬Adayar・ベルモントダービー馬Classic CausewayといったG1馬が集結。レーティングは高いとはいえG1はおろかG2も勝利していないモスターダフの評価は低く5番人気という低評価であった。
レースはLuxembourgが前走と同様に逃げて、出負けたAdayarは掛かり気味になりながら3番手を確保。モスターダフは最後方となった。直線入り口でAdayarが2番手に上がりLuxembourgと一騎打ちとなると思われたが、最後方にいたモスターダフが強襲。一気に先頭を奪うと2着争いをしているLuxembourgとAdayarを尻目に独走状態となり4馬身差の圧勝。念願のG1初制覇を果たした。このレースでは強豪相手に圧勝したこともあり、ロンジンワールドベストレースホースランキングで128ポンドを獲得。イクイノックスの129ポンドに次ぐ世界2位の評価を獲得した。
エクリプスステークスは連戦が苦手ということで登録だけに留めて回避。次走は8月のインターナショナルステークスと定めた。
迎えたインターナショナルステークス(G1)では僅か4頭立てという過去最少タイでオブライエン涙目Sea the Starsが勝ったとき以来の小頭数。これは使い分けや昨年の英ダービー馬Desert Crownが故障で回避したせいもあるが、1番の要因はG1・4連勝かつ通算7連勝中のPaddingtonが出走してきたのが大きかっただろう。1番人気は当然Paddingtonが単勝オッズ1.6倍という圧倒的な支持を集めて、モスターダフは2馬人気、同厩のG1・3勝馬Nashwaが3番人気となり、唯一のG1未勝利馬だが、G2・2勝を挙げてベルモントダービーで2着に入ったThe Foxesが4番人気となった。鞍上は主戦騎手のクローリー騎手がキングジョージVI世&クイーンエリザベスステークスでの鞭の使用過多により騎乗停止となったため、世界的名手ランフランコ・デットーリを鞍上に迎えた。
レースは抜群の好発馬を決めたモスターダフが逃げる形となり、Paddington・Nashwa・The Foxesの順に隊列となった。道中Paddingtonらとの差を広げてその間隔を保ったままヨーク競馬場の長い直線を迎える。逃げ切ろうとするモスターダフを捕らえようと内からPaddingtonとNashwaが迫り、残り2ハロン地点付近でPaddingtonが外に切り替えて迫り来る。内からNashwa、外からPaddingtonという構図となったが、それでもモスターダフの脚色は衰えずそのまま粘り切って2着のNashwaに1馬身差で勝利。プリンスオブウェールズステークスに続いてインターナショナルステークスも制して欧州中距離最強馬の座に就いた。ちなみに父Frankelも同競走を制しており親子制覇となった。
この勝利でデットーリ騎手は2007年Authorized以来16年ぶり6度目のインターナショナルステークス優勝となり、5勝で並んでいたレスター・ピゴットを上回る本競走単独最多勝記録を樹立した。本当にバケモンだなこの人。
陣営によると今後は馬場が良ければアイリッシュチャンピオンステークスやイギリスのチャンピオンステークスを検討している。オールウェザーで勝っていることからブリーダーズカップ・クラシックに参戦するかという問いには、オールウェザーとダートは違うと前置きしつつもブリーダーズカップ・クラシックは勝ちたいレースと語った。
その後はブリティッシュチャンピオンズデーのチャンピオンステークス(G1)に出走するも例年通りの道悪馬場となり、ゴスデン師が歩いて確認した結果、直前に出走取消を選択して回避。ブリーダーズカップ・ターフに出走することにした。
そしてアメリカに渡って、ブリーダーズカップ・ターフ(GⅠ)に出走。ドバイシーマクラシック以来の12ハロン戦となるも、陣営は自信を見せており、JRAオッズで2番人気の支持を受けた。日本からの遠征馬シャフリヤールと並ぶような位置取りとなり、大外を捲って直線を迎えるも末脚を発揮せずにAuguste Rodinの8着に敗れた。やっぱ12ハロン戦は駄目じゃねーか。
この後はイギリスのビーチハウススタッドで種牡馬として繋養されることが予定されている。
血統表
Frankel 2008 鹿毛 |
Galileo 1998 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Urban Sea | Miswaki | ||
Allegretta | |||
Kind 2001 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
Rainbow Lake | Rainbow Quest | ||
Rockfest | |||
Handassa 2008 青鹿毛 FNo.14-f |
Dubawi 2002 鹿毛 |
Dubai Millennium | Seeking The Gold |
Colorado Dancer | |||
Zomaradah | Deploy | ||
Jawaher | |||
Starstone 2003 黒鹿毛 |
*ディクタット | *ウォーニング | |
*アルヴォラ | |||
Star | Most Welcome | ||
Marista |
クロス:Sadler's Wells 3×5(15.63%)、Northern Dancer 4×5(9.38%)、Slightly Dangerous 5×5(6.25%)、Mr. Prospector 5×5(6.25%)
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