世界三大映画祭とは、FIAPF(国際映画製作者連盟)の指定した国際映画祭のうち、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭の三つを主に指す。通常、三大映画祭といえばこの三つになる。また「国際」を省略し、単に「カンヌ映画祭」などのように記述することが多い。
各映画祭の特徴
ベルリン国際映画祭
ベルリンという大都市で行われるため、非常に来場者数が多い。大都市での開催は三大映画祭では唯一。128の国や地域から、19,000人以上のプロフェッショナルが集まり(4,000人ほどが報道関係者)、300,000枚ものチケットが売れる。およそ400の映画が上映され、非常に規模の大きな映画祭となっている。(2010年ベルリン国際映画祭HPより)
社会派の映画が多く集まる傾向がある。最高賞はベルリンの市章にちなんだ金熊賞。
カンヌ国際映画祭
フランスのコート・ダジュール沿いの都市・カンヌで毎年5月に開かれる国際映画祭。併設されている国際見本市マルシェ・デュ・フィルムも世界三大マーケットに数えられるほど巨大な規模である。世界中からバイヤーが集まり、企画段階のものまでビジネスの材料になる。
ファシズムに対抗しようとフランス政府からの援助を受け立ち上がった映画祭である。1930年代後半において、イタリアはムッソリーニ政権下にあり、ヴェネツィア映画祭もその政治的影響を受けていた。ヴェネツィア映画祭のスタイルを踏襲しつつも批判的立場に回りファシズムと対立する姿勢を打ち出したのである。しかし実際の第一回開催は終戦後の1946年となる。
最高賞はパルムドール。当初はグランプリだったが、'55年に創設された。
ヴェネツィア国際映画祭
ヴェネチア国際映画祭、あるいはベネチア国際映画祭、ベニス国際映画祭などとも表記される。現在は「ヴェ」の発音や「ツィ」の発音が普及したこともあり、ヴェネツィア国際映画祭と表記することが増えた。
'60年代に中断した期間はあるものの、歴史上最も古い国際映画祭として知られる。ヴェネツィア・ビエンナーレという国際美術展の映画部門として誕生した。1932年のことである。そのため、性格的に芸術性の高い作品が集まる。この映画祭に対抗して誕生したのがカンヌ映画祭なのは既に書いたとおりである。戦後は低迷した時期があったが、その時期に多くの日本映画がヴェネツィア映画祭を通じて紹介されることになった。'70年代に現在のプログラム構成につながるプログラミングを打ち出し世界の注目を浴びる。
長らく芸術映画に比重が置かれていたが、他の国際映画祭の商業化が進んだこともあり2002年からはマーケットも併設された。最高賞は金獅子賞。
関連項目
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