仏具とは、名前通り仏教で用いられる道具である。法具・法器とも。
概要
まだ仏教がインドの宗教であった頃には、釈迦が悟りを開いた時の服装に倣い「糞便の用にもならない」布の端切れを継ぎ合わせて作った袈裟などの法衣三種(糞掃衣)、及び托鉢を受けた際に与えられた食を容れるための鉢のみが仏具とされた。
仏教がインドより寒冷な中国や日本に伝播するにつれ、寒冷気候ゆえの厚着の必要性や文化の違いにより様々な道具が仏具として用いられ、また宗派の違いにより用いる仏具やその名称も異なるようになったため、仏具の種類はかなり多くなっている。
ということで、本稿で用いられる単語も宗派によってまた別の呼び名や読み方があることに留意してほしい(例えば上述鉢は「鉄鉢(総称)」「応量器(曹洞宗)」「持鉢(臨済宗)」などといった異称があり、花瓶も浄土真宗では「花鋲(かびょう)」という語になっている。)
ニコニコ動画では蝉丸Pの演奏に用いられた仏具が有名だろう。というか仏具単体でタグ検索してもあまり動画が見つからない件…。
仏具の一覧
(多分)ご家庭にもあるもの
- 仏壇(厨子) - 以下に示す仏具を納め、仏となった故人を拝するための祭壇。多くは本山寺院の仏堂を模して豪華であり、開閉式の扉を備えるのも山門を模しているためとされている。仏壇の起源には諸説あり、神道からの影響もみられる。
- 燭台(灯明) - 蝋燭を立てるための台。暗闇を拭する智慧の光を現わすとされ、三具足の1つに数えられる。
- 花瓶(花鋲) - 生花を立てるための瓶。仏を供養するため、花を捧げて用いる。三具足の1つに数えられる。
- 香炉 - 焼香・線香を立てるための鉢。家庭では線香で用いられることが多い。三具足の1つに数えられる。
- 閼伽棚 - 仏前に水を供するための棚。インドでの来客に対して手水・足水・口水を与える行為に由来するという。
- 数珠(念珠) - 穴を開けた珠に紐を通したもの。仏(仏壇)への礼拝時に手に掛けて用いる。108珠あるのが正式な数珠。
- 鈴- りんと読む。鉄製の鉢のような物。読経や合唱の開始・終了に打ち鳴らして用いる。梵鐘のミニチュアとも。
- 団扇太鼓 - 日蓮宗・法華宗で用いられる手持ち太鼓。題目を唱える際に個々人が打ち鳴らす。
- 位牌 - 仏道に入った故人の戒名を記すための板。用途によって3種類、さらに各宗派ごとに内容が違ったりと非常にカオス。
- 経机 - どの檀家にもある(と思う)仏教経典を置くための机。多くは経典のみならず上記仏具も置かれることが多い。
- 打敷 - 仏壇などの上に敷く布。平時は用いず、法要や彼岸・お盆・正月などに際して敷かれる。
- 過去帳と見台 - 仏となった故人の戒名・俗名・成仏年月日・享年などを記す帳と、それを置く台のこと。
- 燈籠 - 主に屋外において明りを取るための燭台。意義も燭台と同じであり、後に神社でも用いられるようになった。
寺院で用いるもの、または御坊が用いるもの
- 本尊 - その寺院での本尊(釈迦や菩薩など)を現わす仏具。仏画・仏像・曼荼羅など。中には秘仏として公開しない寺院もある。
- 梵鐘 - その音を聞けば一切の苦厄から逃れられ悟りに至るとされる大型の鐘。仏事の予鈴や日々の時報などに用いられる。
- 木魚 - 読経の際に用いられ、鳴らすことで読経の調子を整える。元は魚を模していたため木魚の名がある(左記項参照)。
- 木柾 - 木魚と同様、読経の際に用いられる。木魚より高い音がする。
- 法衣 - 僧侶が着る衣類。上述の袈裟三種の通り、安陀会(作業着)・鬱多羅僧(普段着)・僧伽梨(正装)の3種がある。
- 袈裟 - 法衣の上に左肩から着るもの。左肩を隠すことでインドでは不浄とされた左手を隠す効果がある。
- 錫杖 - 上部に鳴らすための遊環を連ねた鉄製の杖。禽獣を打ち払い、また托鉢の際に家主に来客を告げるために用いる。
- 金剛杵 - 帝釈天像などが持つほか、密教で用いられる道具。煩悩を打ち払うことを武器に例えてこれがあるという。
- 鉢 - 上述のように托鉢の際に食品を受けるための器。鉢とそれを用いた食事にはどの宗派でも厳格な規定がある。
他にも仏旗やマニ車、護摩壇や比丘六物等様々な仏具があるが、これ以上書くとニコニコ大経典になる気がするので割愛する。
関連動画
仏具単体のタグでの動画数は少なく、もっぱら蝉丸Pなどの「仏具で演奏してみた」「さとり教育」カテゴリに依るところが大きい。
ということで蝉丸Pのマイリストをどうぞ(手抜き)。
関連項目
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