宇宙戦士バルディオスとは、1980年6月30日から1981年1月25日まで31話が放送されたロボットアニメ。制作は葦プロダクション・国際映画社・第一放映(国際映画社が倒産したため、現在の権利表記は葦プロダクションのみである)。
2008年、スーパーロボット大戦Zに参戦したことで広く知られるようになり、再評価の機運が高まっている。
概要
知る人ぞ知るマイナーロボットアニメ。打ち切りバッドエンドの代表作とされ、最終回「破滅への序曲(前編)」はある種の伝説になっていた(しかも、打ち切られなければもっとバッドになっていたらしい)。スパロボ参戦により一躍脚光を浴びることになった。
主題歌はロボットアニメらしい力強さと地球の自然や両親との絆を歌い上げた名曲だが、「明日を救え!バルディオス!」という歌詞とは裏腹に、最終回は突然敵側が引き起こした大津波で35億人が死亡、どうすることも出来ずに「 完 」という、明日を救うことが出来なかった衝撃作である。ちなみに葦プロも救えなかった。
内容的には孤独なマリンと取り巻く人々のハードな物語や人間味のある冷酷さを持つ敵役など一癖ある作品だが、クライマックス直前で打ち切りになり物語が尻切れとんぼになってしまった。あまりに衝撃的な最終回であったためか、アニメファンによる問い合わせが殺到したという(後のLDやDVDでは34話まで収録されている)。
放送35周年を迎えてのBlu-ray BOX化を記念して、2015年9月13日(日)に新宿シネマートにて開催された上映&トークイベントにて、衝撃的な最終回の真相についてプロダクションリード会長の佐藤俊彦氏は以下のように語っている。
「放送の終了は作品内容や視聴率が取れなかったという理由ではないため、その意味では後悔はございません。バルディオスの玩具自体は売れていたのですが、スポンサーさんが当時非常に厳しい状況になり、放送が続けられない危機に陥りました。その際、広告代理店さんのご好意から、放送を1ヵ月間延ばして頂き、結果としてあの最終回まで続けることができたんです」とのこと。
また、「放映終了直後にはラストまでの設定を載せた豪華本も作らせて頂きましたし、作品としての手応えはありました」とも語っている。
ちなみに最終回は、全滅エンドの代表格である伝説巨神イデオンよりも5日前に放送された(こちらも打ち切りだがある程度まとまっている)。
2008年、スーパーロボット大戦Zに参戦することが発表された。大洪水がどのように「再現」されるか、または明日を救うことができるのか・・・是非とも確かめて欲しい。
ストーリー
高度な文明を持ちながら放射能汚染により荒廃したS-1星。軍司令官のガットラーはS-1星人が生き延びるためには同じ環境の惑星である地球を侵略するしかないと主張。クーデターを起こし皇帝トリノミアス三世を暗殺、侵略に反対して放射能濾過装置を開発していた科学者たちを粛正した。そして地球侵略のために全てのS-1星人を連れて要塞アルゴルの亜空間移動を開始する。
その粛正から唯一逃れた科学者代表の息子マリン・レイガンは、ガットラーを追っているとき、亜空間移動の際の時空のゆがみに巻き込まれ、地球へ流れ着く。だが、地球人からS-1星人のスパイではないか、と白い目で見られてしまう。
しかし、地球防衛組織ブルーフィクサーのクインシュタイン博士は、マリンのガットラーへの復讐心を利用してS-1星のアルデバロン軍と戦わせる事を決意。マリンの乗っていた亜空間戦闘機パルサ・バーンを改造し、ブルーフィクサーの兵器バルディプライズ、キャタレンジャーと合体して、巨大ロボット・バルディオスに変形できるようにする。
地球上でアルデバロン軍を亜空間まで追跡出来るメカはバルディオスしかない。そしてそのバルディオスを操縦できるのはマリンしかいないのである。
主題歌
劇場版・宇宙戦士バルディオス
放送終了後も完全版の放送を求めるファンからの熱心な活動があり、これに目をつけた東映セントラルフィルムが年末の劇場公開を持ちかけ、急遽1981年12月の公開が決定した(1981年は機動戦士ガンダム、あしたのジョー2、銀河鉄道999が相次いで公開される空前のアニメ映画ブームであったが、年末だけが空白となっていた)。
関連商品の発売や芸能人キャストの起用、キャストの大幅な入れ替えなどプロモーションにはかなり力が入れられた。
映画はテレビ放映版の再編集+クライマックスの新作カットという構成となったが、再編集はマリンとアフロディアとの愛憎劇を中心に構成されて戦闘シーンはほんの僅かしかなく、サブキャラの性格も改悪が目立つなどファンが望んだものとはかなり乖離した作風となってしまった。
結局この劇場版が不評に終わったこともあり、バルディオスという作品そのものが歴史に埋もれる結末となった。
余談
- 「バルディオスはガンダムに似ている」とよく言われるが、元々ガンダムを意識したデザインでは全くない。以下、メカデザインの佐藤元氏による解説。
- TV版でもっとも多く脚本を書いた首藤剛志は「ロボさえ出せば自分の書きたいドラマが書ける!」と考えこのアニメに参加。
- ほぼ同時期に打ち切られた「伝説巨神イデオン」も劇場版になっているが、こちらは二本立てで製作された(公開がバルディオスの翌年の7月であり、それだけ制作スケジュールに余裕があったのも事実)。
- 80年代の人気漫画「プラモ狂四郎」の第2話(1982年3月号)に、ヒロインの倉田みどりの乗機として登場している。
- DAICON FILMが製作した「愛國戦隊大日本」のエンディングは本作の挿入歌「立て!バルディオス」の替え歌である。
- TV版の放映最終回では極地の氷が溶け、津波が起き、地形が大きく変わってしまった……なにかの元ネタとか言うなよ!
- 物語冒頭で暗殺されごくわずかしか登場しないS-1星の皇帝トリノミアス3世。なぜかこの人物の画像が「ふたば☆ちゃんねる」で出回り、「陛下」という愛称で親しまれている。
- スパロボではTV・劇場版の両方が再現され、陛下のグラフィックも用意されているとバンナムの寺田プロデューサーが発言。
- 08年から阪神タイガースに所属していたアーロム・バルディリス選手(当初育成枠で、後に支配下登録され、09年にオリックスバファローズに移籍)が「名前がバルディオスに似てる」と時折ネタにされる。
(「育成戦士バルディリス」、「宇宙戦士バルディリス」等)
関連動画
関連生放送
BDBOX発売を記念して2015年9月10日、9月11日に一挙放送が行われる。
…といった予定だったのだが、現実の鬼怒川でシャレにならないことがあったため、後半の放送が中止された。そして、それから4か月たった2016年1月25日、1月26日に改めて前半から仕切りなおされて再度一挙放送され、明日は救えなかったが後半は救えたのであった。
関連項目
- アニメ作品一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- 葦プロ(現:プロダクション リード)
- 国際映画社
- いのまたむつみ
- 影山楙倫
- スタジオZ5
- 羽田健太郎(劇伴および主題歌作曲)
- スーパーロボット大戦Z
- 陛下(虹裏)
- アーロム・バルディリス
- 猿の惑星
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