布団爆雷とは、工兵器材・爆薬の一種である。
布団爆弾と呼ばれることも多く、後述の急造爆雷との混同も見られるが、いずれも梱包爆薬と呼ばれる爆薬の仲間である。
第一次世界大戦以降、戦車が戦場で使われるようになると、破壊力の高さから対戦車兵器として使われることもあり、日本軍が対戦車兵器として使用したことの方が有名かもしれない。
概要
本来は前線で障害物の除去や施設の破壊に使用される器材であり、日本軍特有の特攻兵器ではない。
ゴムの内張が施された麻袋に、7kg~10kgの爆薬を詰め込んでから、ゴム紐などで密閉した時限爆弾であり、安全ピン付の信管が装着されていた。安全ピンを抜くと、信管が作動し10秒後に爆発するため、その間に退避する必要がある。
この爆弾は銃弾飛び交う危険な前線であっても、爆薬の調合を行いながら、設置しなければならない工兵のために開発された物で、あらかじめ成分や量を整えた爆薬を袋に包んでおくことで調合の手間を省き、迅速な設置と起爆を可能にした。
持ち運ぶときにはリュックのように背負うか、手提げ鞄のように持ち運んだ。
対戦車兵器として使う場合、日本軍は敵軍の歩兵と戦車の連携を崩して戦車を孤立させ、小型地雷でキャタピラ(足回り)を破壊して足止めをしてから、布団爆雷を使用する隊が戦車に肉薄し、エンジンルームの屋根部分に設置し爆破する。このような戦法の特性から死傷率は高く、場合によっては戦車に轢かれる可能性もあったが、爆死が前提というわけではなかった。
しかし、これは戦車と歩兵、或いは戦車同士の連携が稚拙だった頃の古い時代の戦い方であり、時代が流れ対策術が発達してくると損害だけが増えるようになっていく。
さらに第二次世界大戦の終盤ともなると敗色濃厚な日本軍は訓練の余裕がなくなり、足止めの段階を省略していきなり突撃させる戦法をとるようになり、また敵である米英軍も、歩兵と戦車の連携を強化し肉薄すら出来なくしたり、布団爆弾は装甲に密着していないとその威力が著しく下がるという欠点を突いて、車体をトゲだらけにするか金網を設けることで爆雷の密着を防ぐ対策をとったりしたため、効果が減少したという。
類似兵器
- 急造爆雷
これは木箱に爆薬を詰め込んだ対戦車兵器である。布団爆雷は戦車の天板に設置して使用するのに対し、この急造爆雷は地面と戦車の車体の隙間に差し込んで使用するため、布団爆雷よりもさらに死亡率が高く、事実上の特攻兵器だった。戦車に体当たりして兵士ごと爆破するヤツや、戦車に轢かれながら使用する爆弾といえば大体コレと思えばいい。
中には信管を作動させてから起爆するまで一秒しかないタイプどころか、信管すらないものもあり、自決がてらに手榴弾で代用しようとしたという逸話もある。
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関連項目
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