帝国主義論とは、
本記事では上記のうち2.について記載する。
概要
レーニンは著作「帝国主義論」の中で資本主義の「金融による独占段階」である帝国主義の実態と危険性を世界に知らしめた。
レーニンは「独占」をキーワードとして、帝国主義の特徴を5つの順を追って解説している。
- 資本主義の下では、市場は発展するにつれて少数の大企業によって独占されていく。大企業は規模が大きいので生産性が高く競争力が高い。その上で中小企業を様々な手を用いて市場から排除することによって市場を意のままにしていくのである。
- その中でも最も重要な業界は銀行業、すなわち金融業である。少数の大資本家は金融を支配することによってそれら銀行から融資を受けている一般資本家を支配するのだ。大銀行は多種多様な業種に手を出して銀行独占体と産業独占体が融合したトラスト(企業合同)、カルテル(企業協定)、シンジケート(企業組合)などの巨大資本連合体を築き上げる。かくして自由競争が行われていた旧来の資本主義は消え去り、新型の独占資本主義が市場に現れる。市場を支配するのは一般資本家から金融資本家へと変わった。政治や社会は金融寡頭制を敷く金融資本家に支配され、私的独占は国家独占へと変貌した。労働者はただ彼らに貢ぐことを強要される。
- こうして蓄えられた膨大な資本は金持ちが消費することによって労働者の下に帰ってくることはない。金融資本の持つ資本は利益率の高い後進国(発展途上国、植民地)に投資されることとなるからだ。先進国は投資先を求め、植民地を海外に作り原住民を搾取する。従来の資本主義では商品の貿易が盛んなのに対して新型の金融資本主義では資本の輸出が多くなるのはこのような理由からである。
- 経済の支配はやがて政治の支配となる。結果として一国を支配していた独占資本家たちは海を超えて国際的に支配を伸ばし世界を分割した。
- 世界には最早誰も所有していない土地はなくなり、あとは分割された土地の再分割が起きるのみである。この状態が過去の歴史(ローマ帝国等の植民地)と異なる点はそれらが国家による支配だったことに対して帝国主義では私企業によって世界が分割される点にある。
その後、後発帝国主義国(ドイツ、日本など)は領土の再分割の唯一の手段、すなわち戦争を求めることとなる。これが帝国主義的戦争である。これも国家的な過去の戦争と違い、私企業の利益追求のための戦争であることが特徴だ。
関連項目
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記事冒頭でタイトル太字化し、ホブソンの著作について追記。「関連項目」に「ウラジーミル・レーニン」「書籍・文書の一覧」を追加。