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帝国とは、
ラテン語のインペリウム（Inperium）、英語のエンパイア（Empire）、ドイツ語のライヒ（reich）やカイザーライヒ（keizerreich）に相当するのは (2) の用法である。 大抵悪い。 とはいえ、これらを日本語訳する場合には前者の用例が意識されることも多く、英語圏における Emperor の全てが皇帝と訳されないのと同様、英語圏における Empire の全てが単純に帝国と訳されるとは限らない。例えば、トンガの君主をトンガ大首長と訳す人は国名をトンガ大首長国と訳す傾向が強く、トンガの君主をトンガ皇帝と訳す人は国名もトンガ帝国と訳す傾向が強い、といった具合である。ただし実際には「○○帝国の国王」や「○○王国の皇帝」といった組み合わせも多い。
概要
(1) の自称による帝国には「大日本帝国」「大韓帝国」「大越帝国」「大満州帝国」などがある。一時期の大日本帝国を除けば何れも帝国的とは言い難い帝国ではあるが、君主は「皇帝」を自称し、国号としては「帝国」を自称した。
ちなみに、皇帝の本家であり英語圏では Empire と呼ばれている中国の歴代王朝だが、この用法においては帝国と呼ばれていない。これは「帝国」という言葉が江戸時代に蘭語の keizerdom の訳語として当てはめられた日本語で、中国の歴代王朝が「帝国」を自称していなかったからである。中国の歴代王朝が英語圏で Empire と呼ばれているのは、後述する政治的・歴史的な分類としてであって、始皇帝登場以前の「王」が治めた殷（商）や周までもが帝国（Empire）とされているのもそのためである。
(2) の政治用語・歴史用語としての帝国とは「広大な領域と多民族を支配する国家」のことである。例えばローマ帝国、アレクサンドロス帝国、大英帝国や歴代の中華王朝などがそれである。この場合、その国の君主が皇帝と訳されるとは限らないし、そもそも初期のローマ帝国や19世紀のスペイン帝国のように君主国ですらないこともある。軍事力による植民地支配を旨とする「帝国主義」の「帝国」は、この用法であると言える。また拡大して、強大でしばしば独裁的かつ悪辣とされる国家や財閥などに対して使われることがある（アメリカ帝国、ロックフェラー帝国など）。
歴史的に見れば、必ずしも帝国が強大であったとは限らない。例えば第四回十字軍で滅亡したビザンツ帝国（東ローマ帝国）の後継・亡命「帝国」はギリシャ・小アジアの地方政権といった規模でしかなかったし、中世から近代ヨーロッパの神聖ローマ帝国も時代にもよるが国家とも言いがたい地方連合体に過ぎなかった。
帝国というのはまた、「過去の遺物」というイメージがあるが、実は20世紀後半にもなって誕生した帝国もある。1976年12月に、大統領ジャン＝ベデル・ボカサが国号改称を宣言した中央アフリカ帝国である。ボカサは翌年ナポレオンかぶれの戴冠式を行ってボカサ一世と名乗ったが、独裁政治と財政赤字で一気に凋落し、1979年9月のクーデターによって帝国は滅亡した。わずか三年間で帝国のイメージを具現したような国であるが、近隣のスーダン、チャド、ザイールよりも面積に劣るのが残念である。
フィクションにおける帝国
上述のイメージのために、創作作品で「帝国」というと大抵悪者であり、主人公やヒロインの故郷を頻繁に滅ぼす。しかも貴族皇族が社会の上層部を乗っ取っていたり、旧体制の墨守と庶民の弾圧に努力を惜しまなかったり、政治は腐敗し利権者同士が無駄な争いを繰り広げ、軍は野心的で残虐な将軍が素行の悪い兵士を率いていたりする。帝都の風俗は下劣なほどに華やかだが、狭いスラムに貧民が溢れ、今日の食う物も困っている。このような始末なため、一個の反乱がきっかけで一気に滅亡まで追いやられてしまうのである。
一方で毅然とした、堂々とした、規律の整った名実ともの大国である場合もあるようだ。この場合は啓蒙的で威厳のある皇帝の、階前万里のリーダーシップがきちんと発揮されており、天下万民が帝国と皇帝を慕っている。
しかしながら陰謀渦巻く俗世界にあって、元老院議員や軍上層部、皇帝の兄弟等血縁者によるクーデターや、もしくは人の世の支配を目論む悪魔的存在によって国を乗っ取られる危機を常に孕んでいたりする。これは全く不可避の危機である。だって何か起ないと話にならないから。
様々な帝国
※記事がある帝国は太字
関連項目
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