特四式内火艇 カツとは、大日本帝国海軍の水陸両用装軌車である。
分類上は車両では無く艦船となっている。
開発
大発動艇「荷物降ろしてたら敵に見つかって攻撃受けたんだが。浜辺じゃ目立つし、荷物降ろすの時間かかるし、どうしよう。」
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海軍「荷物降ろしてる間に護衛する余裕ないし、そうだ!荷物ごと上陸できる輸送車作ればいいんじゃね?」
こんな形で考え出されたのが特四式内火艇の始まりである。
アメリカ軍のLVTを参考にして呉海軍工廠が設計を行い、1944年に特四式内火艇 カツとして採用。
夜の間に潜水艦から発艦し、上陸後はすぐに森などに隠れるといった運用法が考えられた。
が、のちに魚雷と自爆用の爆薬を積んだ特攻兵器として転用されることが決定される。
特徴
着脱式のフロートは装備せず、車体自体に浮力を持たせた構造で、4トンの荷物を積むことが出来た。
潜水艦の搭載を考慮し、車体は耐圧構造となっている。
エンジンや足回りは特二式内火艇のものを流用。全長が11m、全幅が3.3mとだいぶ大きくなったため、転輪は下側8輪を16輪に、上部転輪も4輪から8輪と2倍に増やした。
武装は自衛用の九三式13mm機銃が2丁。特攻用として45cm魚雷が上部に2本搭載される。
配備と運用その後
1944年4月10日を予定日として、マーシャル諸島のアメリカ艦隊に対して奇襲攻撃を行う竜巻作戦が検討された。内容は沖合の潜水艦から本車両を発艦させ、マーシャル諸島周囲の岩礁を越えて湾内に侵入し、敵艦に向けて魚雷を発射、最後は自爆するというものである。
この作戦の為に極秘にZ隊と呼ばれる部隊が編成され、呉市の情島や倉橋島で訓練を行い、魚雷の試験や搭載する潜水艦の試験などの準備が進められることとなった。
魚雷の発射自体は問題なかった。が、作戦を遂行する為に本車両にはいくつか問題点があった。
- プロペラシャフト軸から油漏れする欠陥が直らず、潜航中に水面に油が浮くことで存在がバレる。
- 潜水艦からの発艦には20分前後かかる。その間海上に出ているため、レーダーで見つかる。
- 長時間海水に浸かっているとエンジンが掛からないかもしれない。
- エンジンが始動できても空冷ディーゼルのため騒音がひどい。しかも速度が遅い。
- 履帯に欠陥があり、岩礁に上陸した際に壊れやすい。
このため作戦は延期されたが、部隊はこのまま存続した。
1944年8月には潜水艦の代替で輸送艦2隻に分乗し、岩国からフィリピンへ向けて出撃したが、1隻が南方で撃沈、もう1隻も五島沖で座礁し、曳航されて佐世保に帰還した。
その後、部隊は内地で待機したまま終戦を迎えることとなった。
本車両の生産数はあいまいであり、18または50隻(両)であったとされる。そのうち米軍に接収された1両が現存しており、アメリカのカリフォルニア州、バースト海兵隊補給廠に展示されている。
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