現代4コマとは、いとととが始めた新たな4コマムーブメントである。
概要の4コマ
マルセル・デュシャンが1917年にニューヨークの展覧会で発表した「泉」は、アートにおける「美」の観念に大きな疑問を投げかけた。つまり、ただ単に既製の便器に存在しない芸術家の名前を書き記しただけの作品をアートと形容することへの是非をめぐって、多くの芸術家の中の「美とはなんぞや」「芸術とはなんぞや」という非常に普遍的な疑念を喚起した。この芸術の概念に挑戦するムーブメントは広がり続け、やがて更に半世紀ほどを経て、現代アートという言葉で形容されるようになる。
芸術家の描く「美」を鑑賞者が受け止めるのが普遍的なアートであったとして、作品が美か醜なのかなぜそうであるのか、芸術家とともに鑑賞者さえも能動的に考察する体験も包括的にアートの一部としてデュシャンは定義したのである。
デュシャンの「泉」ショックから100余年が経過し、令和に元号を変えた2023年、日本のインターネット上において、現代4コマという語がいとととによって提唱された。これは現代(≒最新)の4コマ、ということではなく、どうやら前に述べた現代アートの「アート」の部分を「4コマ」に置き換えているものらしい。
アートが美をはじめとする何らかの観念を定義するフレームであったとして、ストーリーや物事を表現するためのフレーム・フォーマットとして役割の固着化した4コマも、確かにそれに通づるものがある気がしないでもない。よって、この観念さえも破壊的に捉え、「果たして4コマとは何なのか?」「我々は4コマに何を求めているのか?」などといった、積み上げられた既成概念の再考を迫ることに挑戦する試みが生まれるのにも何ら疑いはない。
江戸時代ごろより掲載されてきた「4コマ漫画」というフォーマット、これが定着したのは日刊コマ漫画「正チャンの冒険」が1923年に東京朝日新聞に移籍されたことがきっかけであるといわれている。それまでの「アサヒグラフ」連載時のものとは異なり、縦に4つコマを並べたスタイルに固定された「正チャン~」は朝日新聞の販売部数にも後押しされ大ヒットを飛ばした。これ以降、漫画というコンテンツが絶えず問われ洗練され続ける一方で、4コマという概念は、ほぼ形を変えずに受け継がれ続けてきた。
18世紀にモダンアートの観念が広まってから半世紀ほどでデュシャンがその破壊を提唱したように、現代4コマという概念が、「4コマ」という概念が成立した年からまさにちょうど1世紀を数えるこの2023年に提唱されることは、偶然ではないだろう。
現代4コマの展開
提唱されて間もない2023年3月の時点で、主にTwitterを舞台に様々な形の「現代4コマ」が表されている。
非常に抽象的な図画だけでなく、文字や絵文字・記号、身の回りの物品や国旗のようなものまで、4つの空間をある次元に有する観念を「4コマ」であると定義して、説明文を与えることで、それが本当に4コマなのか、人々の考える「4コマ」の根本的なものが何なのかを改めて問い直している。
国旗4コマはわかりやすい例の一つだろう。たとえば、フィンランドやスウェーデンなどの国旗がある。
これらは十字の線で4つの空間に区切られており、4コマと定義されることが明快だ[1][2]。似たようなものにマイクロソフトのロゴなどもある。
しかし、これだけでなく、ある要素の面が4つ重なり合っているもの(東ティモールの国旗[3]など)も4コマに定義されたりしているし、もしかしたらより図形から外れたもっと複雑な国旗が4コマに定義されることがあるかもしれない。
また、何も書かれていない空白[4]を4コマと言い張ったり、4つ並んだ既製品を「レディ・4コマ」とデュシャンのレディ・メイドみたいな感じで4コマとだけ形容[5]してみたり、非常に抽象的な図画(4つの要素があったりなかったりする)を4コマと言ったり、写真や日常的なシーンを切り取って4コマと言ったり、また、どこかで見たアートの文脈に沿ったような形で4コマと称した画像を作ったりしている。
それぞれが4コマか4コマでないかは、それぞれの読者に委ねられている。
思い思いの「4コマ」を表出するTwitterイベント「現代4コマ投稿祭」も企画されており、もしかしたらこのたわごとが4コマの界隈を席巻するムーブメントになるかもしれない。そうでもないかも。
この項目は「概要の4コマ」として定義されています。非常に文章量の豊富なこの項目ですが、果たして、どこからどこまでが1コマと数えられたでしょうか?筆者は何を思ってこれを4コマと主張したのでしょう。
関連動画の4コマ
ここには、二つの関連動画があります。なぜ、4コマなのでしょうか?
関連漫画の4コマ
よく見ると、ここに掲載されている作品は掲載順序と関係がありません。なぜ、筆者はこれをこの順序にして、4コマとしたのでしょう?
関連商品の4コマ
かつてこの場所には、ニコニコ市場というサービスの埋め込みが行われていましたが、ついにそのサービスが終了し、白紙になりました。しかし項目は残っています。空白になってもなお、4コマと主張しているそれは、果たしてなぜ4コマなのでしょうか?
関連リンクの4コマ
関連項目
上の関連リンク・関連項目は同じように箇条書きのリストにされているのに、4つリンクのある関連項目が4コマと定義されず、2つしかリンクの存在しない関連リンクが4コマと定義されているのです。関連リンクを4コマたらしめ、関連項目を4コマたりえないとした是非が問われています。
脚注
- *https://twitter.com/itototo1010/status/1634773294191878145
- *https://twitter.com/itototo1010/status/1634774596099670016
- *https://twitter.com/itototo1010/status/1634850151465619456
- *https://twitter.com/itototo1010/status/1634822686093475840
- *https://twitter.com/itototo1010/status/1635863228956958720
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