非とは、否定に使われる漢字である。
漢字として
- 意味
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- あらず。打消しの意味を表す助字。
- 不正、偽り、あやまち、よこしま、背く、咎める、うまくいかない、(誹に通じて)そしる
- 〔説文解字・巻十一〕には「違ふなり」とある。
- 字形
- 会意か。字源について後述。
- 音訓
- 音読みは、ヒ(漢音、呉音)、訓読みは、そむく、それる、わるい、あらず。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校5年で習う教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 非は部首非部を作る。部首としてあらずとも呼ばれる。
- 声符
- 非を声符とする漢字には、俳、厞、匪、𡌦、婓、悱、排、屝、菲、㹃、悲、腓、棐、琲、扉、斐、𥇖、罪、痱、緋、翡、裵、䠊、誹、𨛬、霏、輩、餥、䩁、𧕿などがある。左右に配するニュアンスをもつ。
- 語彙
- 非違・非運・非行・非業・非公式・非合法・非国民・非才・非常・非情・非常識・非道・非難・非人・非売品・非表示・非凡・非命・非力・非礼
字源
非の字形については従来諸説あるが、甲骨文の字形から頭を強調した人が互いに背を向けている会意とされる。
〔説文〕は「飛下する翄(はね)に從ふ。其の相ひ背くを取りたり」と鳥の飛び下がるときの翼の象形とし、それが互いに反対側に向いていることから「違える」意味があるとする。
白川静は、すき櫛の象形で左右に細かい歯がならぶ櫛だとする。否定の意味は仮借。歯の細かいすき櫛を古く非余といってその名が金文に見えるといい、比余とも呼ばれ〔蒼頡篇〕には歯の細かいものを比、粗いものを梳という記述がある。
互換文字
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