RPGツクール5とは、エンターブレインが開発したプレイステーション2用のRPGツクールである。
初の3D機能に加えた、初のプレイステーション2用RPGツクールである。
概要
コンシューマツクール史上最も自由度が高く、最も難易度の高いRPGツクールである。
4の反省点(といっても開発元は異なるが)を生かし、このうえ3Dにしないといけないという逆境に立たされたであろう開発元「空想科学」(3を担当した会社)であるが、そこは3を開発した空想科学、出来る限りユーザーに不自由を感じさせない構造を心がけたと思われる部分が見られる。
3Dであることを生かし、MAPでは高低差が再現でき、時間設定をすれば昼と夜を表現することも可能。3D化したためダンジョンもより複雑で、かつ塔などもより本格的に作れるようになった。このように、とても3D化を意識した内容になっており、そのゲーム作成の幅は広い。
さらに今までのツクールで最大の問題だった文字入力も、キーボード対応を採用することで解決、よりストーリー文なども作り易くなった。これは後作には引き継がれなかったため(しかも文字入力がさらに大変になっている)いまでもユーザーから惜しまれている。画期的なポイントといえよう。
空想科学の実力を改めてツクラーに知らしめ、ツクールに新たな希望を与えたソフト、それがRPGツクール5である!
残念ポイント
これだけ素晴らしい要素を揃えながらも、5はそれほど人気のでないままに終息し、話題性としても他のシリーズと比べるといまいち薄い印象が見られる。
なぜなら、これでゲームを作るのは恐ろしく大変だからである。
まずRPGツクール初心者、ヌルいツクラーにとって、これは気軽に触れるツールではないということを断言しておく。どうしてかというとプログラミングの知識がある程度ないと辛いからである。
今作は自由度が高い代わりにそれ相応の技術力が要求され、今までのツクールとも構造がほとんど異なる。
そのため、今までのツクールで得てきた慣れや知識のほどんどがあまり役に立たない。ツクールなのにまるで違うツールに触れた気にすらなるので、「ツクールだからとりあえず買ってイジるか」軽い気持ちで作ろうとすると下手をすれば一日で断念してしまうレベルだと言える。
だが、裏を返せばそれだけ構造が様変わりし、よりクオリティの高いゲームが作れるということである。しかしここにも若干落とし穴がある。
3D化した弊害として、まず戦闘システムが3のフロントビューバトルに逆戻りしたことがあげられる。おまけに効果音などがどう聞いてもドラクエであり、せっかく脱ドラクエを推進してきたのにも関わらずここにきてドラクエ臭が急激に増してしまった。
キャラクターも初の3Dだから仕方ないとはいえ、等身がかなり下がった。自由度こそ高いものの、等身が低いだけあって個性を出すのは少し難しくなっているのである。おまけにグラフィックのクオリティも高いとはいえない。
キャラに関しては強いて言えば昔のFCRPGのドットキャラを3D化しましたという見た目であり、プレイステーションですらグラフィッククオリティを上げようと必死になっていた時代にこのデフォルメキャラは今までのツクラー達にはショックに映ってしまったのではないだろうか。
4から間を開けずに発表・そして発売されたことも、ユーザーの混乱を招いた感がある。ただこれに関しては4のお粗末さのせいであるとも言える。
総合
難易度が高いだけあって、これを利用して大作を作り上げたユーザーは珍しくない。我こそはと思うユーザーは是非とも挑戦してはどうだろう?
しかし、ツクールとはあくまでゲーム知識のない人でも簡単にRPGが作れるというのがコンセプトである。Q&Aという形で丁寧にユーザーの質問に答えてはいたものの、それが効率的な対策だったかと言えると微妙である。
結局それがいかんせんブレてしまっている本作は、ツクールとして最高評価を得るには一歩足りない感は否めない。
とはいえ、続編のRPGツクール(PS2)がとんでもない地雷であったため、本作は実に惜しい素材であったといえよう。
この作品以降、RPGツクールの看板キャラだったマスコット(3でゴブリくんのキャラチップとしても使われたあれ)は姿を消し、続編は完全に洋ゲーチックになってしまった。
果たして、コンシューマ版が今後発売されるのか、そしてツクールのマスコットが復活するのか?
全てはエンターブレイン様のご意思のままである。
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関連項目
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