音階 単語

18件

オンカイ

5.3千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

音階とは、に西洋音楽で使われる音を高さ順に並べたものである。英語では「scale(スケール)」。使われる音の数や並べられ方によって様々な種類のものが存在する。多くの音階は1オクターブで循環するため、1つの音からその1オクターブ上(または下)までの配列を以って「音階」と呼ぶことになる。1オクターブ内で使われる音の数によってn音音階とも分類される。以下に挙げる数々の音階は実際の楽曲における登場頻度の高いものであるが、理論上存在するものの使われることの少ない音階も多くあり、また微分音まで含めると(実際の使用に耐えうるかは別として)数の種類の音階を考えることができる。

全音階

全音階は1オクターブを5つの全音と2つの半音の7音に分割した音階の一種である。英語では「diatonic scale(ダイアトニック・スケール)」。いわゆる「ドレミ」の音階で、ピアノオルガンといった楽器はこれに従って配列されており、西洋音楽の基本となる音階である。長調を構成する長音階と短調を構成する短音階の2種類が特に使われるが、その他の全音階もジャズなどで使用されることがある。

長音階

全音階を「ド」の音から始めたものが長音階である。英語では「major scale(メジャー・スケール)」。長音階で構成された調が長調である。中でも要な音である、音階が開始される「ド」の音を音(英:tonic/トニック)、音から(全)5度上の「ソ」の音を属音(英:dominantドミナント)、(全)5度下の「ファ」の音を下属音(英:subdominantサブドミナント)とそれぞれ呼ぶ。また、音の短2度(半音)下にあり、音に向かって解決するが強い「シ」の音は導音(英:leading-tone/リーディングトーン)と呼ばれる。他の3つの音についても名称が付いているものの、使用される機会は少なく、音を「第1音」として「第n音」と呼ばれることが多い(例えば「ミ」の音は第3音)。

18491
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - -

短音階

自然短音階

全音階を「ラ」の音から始めたものが短音階である。英語では「minor scale(マイナー・スケール)」。短音階で構成された調が短調である。短音階ではそれぞれ「ラ」が音、「ミ」が属音、「レ」が下属音となるが、第7音の「ソ」の音は長2度(全音)離れているため導音とは呼ばれない。全音階からなるこの基本的な短音階は、後述する2つの短音階との区別のため特に「自然短音階英:natural minor scale/ナチュラルマイナー・スケール)」と呼ばれる。

18492
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - -

以下2つの短音階は便宜上この項で説明しているが全音階ではない。

和声的短音階

短音階が導音を持つように、「ソ」の音を半音上げて「ソ」としたものが和短音階である。英語では「harmonic minor scale(ハーモニックマイナー・スケール」。この音階は短調上で和音を構成する時に使われることが多いため「和的」の名を持つ。

18493
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - -

旋律的短音階

短音階では「ソ」が「ソ」になったため、隣り合う「ファ」から「ソ」までの音程が増2度と広くなってしまった。これを解消するために「ファ」も半音上げて「ファ」としものが旋短音階である。英語では「melodic minor scale(メロディック・マイナー・スケール)」。名前の通り旋メロディ)として使い勝手が良くなった一方、長音階との違いが第3音のみとなり短音階感が薄れるため、下降形では自然短音階をそのまま使う場合が多い。

18494
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - -

教会旋法から派生した音階

20世紀中頃、モードジャズの成立に伴って音階として整備された較的新しい音階。この「モード(旋法)」とは中世宗教音楽で用いられた「教会旋法」のことをし、各旋法から音階の要素のみを取り出したものである。「モード・スケールmode scale)」とも。

アイオニアン・スケール

イオニアン・スケールIonian scale)は、全音階を「ド」の音から始めたものである。イオニア旋法から生している。長音階と同一であるため、モード・スケールとして扱われることは少ない。

18491
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - -

ドリアン・スケール

ドリアン・スケールDorian scale)は、全音階を「レ」の音から始めたものである。ドリア旋法から生している。

18495
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - -

フリジアン・スケール

フリジアン・スケール(Phrygian scale)は、全音階を「ミ」の音から始めたものである。フリギア旋法から生している。

18496
ファ ファ シ♭ ミ♭
- - - - -

リディアン・スケール

リディアン・スケールLydian scale)は、全音階を「ファ」の音から始めたものである。リディア旋法から生している。

18497
ファ ファ シ♭ ミ♭ ファ
- - - - -

ミクソリディアン・スケール

ミクリディアン・スケールMixolydian scale)は、全音階を「ソ」の音から始めたものである。ミクリディア旋法から生している。

18498
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - -

エオリアン・スケール

エオリアン・スケールAeolian scale)は、全音階を「ラ」の音から始めたものである。エオリア旋法から生している。自然短音階と同一であるが、短音階は和的・旋的の2つが使われることも多いため、アイオニアン・スケールよりは較的モード・スケールとして扱われる。

18492
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - -

ロクリアン・スケール

クリアン・スケール(Locrian scale)は全音階を「シ」の音から始めたものである。ロクリア旋法から生している。

18499
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - -

半音階

半音階は1オクターブを12の半音分割した音階である。英語では「chromatic scale(クロマチック・スケール)。隣り合う音同士の音程が全て半音であり、要するにも全部使った音階である。その性質上、半音階は1種類しか存在しない(平均律の場合)。

18500
ミ♭ ファ ファ シ♭

全音音階

音音階は1オクターブを6つの全音に分割した音階である。英語では「whole tone scale(ホール・トーン・スケール)。隣り合う音同士の音程が全て全音であり、その性質上全音音階は2種類しか存在しない(平均律の場合)。全音階と名前がややこしいが仕様である。

18501
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - -

五音音階

1オクターブ内の5つの音で構成される音階を総称して「五音音階(英:pentatonic scale/ペンタトニック・スケール)と呼ぶ。その多くはより音数の多い音階を簡略化したもので、洋の東西を問わず各地の民謡などは五音音階からなるものも多く見られる。また現代のポピュラー音楽でもギターキーボードソロプレイなどで重宝される音階でもある。

メジャー・ペンタトニック・スケール

長音階から生した音階で、「ファ」と「シ」の音を抜いたもの。ピアノだけを抜き出すとこの音階となる。

18502
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - - -

マイナー・ペンタトニック・スケール

自然短音階から生した音階で、「シ」と「ファ」の音を抜いたもの。メジャーペンタトニック・スケールを「ラ」から始めたものと解釈することもできる。

18503
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - - - -

ブルース・ペンタトニック・スケール

後述のマイナーブルース・スケールから生したもの。音程関係上はマイナーペンタトニック・スケールと同一であるが、成立の経緯からメジャー系(というかブルース系)と扱われる。

18503
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - - -

ヨナ抜き・ニロ抜き音階

明治時代、開とともに入ってきた西洋の音階を元に日本で体系化された音階。長音階および短音階から第4音と第7音を除いたものが「ヨナ抜き音階」、第2音と第6音を除いたものが「ニロ抜き音階」とそれぞれ呼ばれる。

ヨナ抜き長音階

長音階から「ファ」と「シ」を抜いた音階。メジャーペンタトニック・スケールと同一の音階となる。

18502
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - - -

ヨナ抜き短音階

短音階から「レ」と「ソ」を抜いた音階。俗に「都節音階」とも呼ばれる陰旋法の下降形を「ラ」を音に置くとこの音階となる。

18504
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - - - -

ニロ抜き長音階

長音階から「レ」と「ラ」を抜いた音階。琉球音階と同一の音階となる。

18505
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - - -

ニロ抜き短音階

短音階から「シ」と「ファ」を抜いた音階。マイナーペンタトニック・スケールと同一の音階となる。

18503
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - - - -

その他の音階

ブルース系

ブルー・ノート・スケール

ブルースで用いられる「ミ♭」「ソ♭」「シ♭」の3音を総称して特に「ブルーノートBlue note)」と呼ぶ(ブルーノートはより正確には半音まではフラットしない微分音である)。この3音を長音階に組み込んだ音階を「ブルーノート・スケールBlue note scale)」と呼ぶ。

18506
ミ♭ ファ ファ シ♭
- -

ブルース・スケール

先述のブルーノート・スケールはそのままでは扱いづらいため、特徴的な音を拾い上げて音数を減らした、あるいは五音音階にブルーノートを適宜組み込んだ音階。使用される実態により即したものと言える。長短2種。

メジャー・ブルース・スケール

メジャーペンタトニック・スケールに「ミ♭」を追加した音階。

18507
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - -
マイナー・ブルース・スケール

マイナーペンタトニック・スケールに「ミ♭」を追加した音階。音である「ラ」を「ド」と捉え直せば、ブルーノートが3音とも入っていることになる。

18508
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - - -
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - -

ブルース・ペンタトニック・スケール

「五音音階」の項(上記)を参照。

民族系

民族系の音階ははっきりと明文化されたものではないため、出典によってもその体系には揺れが存在する。

ジプシー音階

「ロマ音階」や「ハンガリー音階」とも。和短音階の第4音を半音上げたもの。増2度音程が2箇所になり、和短音階よりもさらに特徴的な音階となった。

18509
シ♭ ミ♭ ファ ファ
- - - - -

スペイン音階

フリジアン・スケールに「ソ」を追加した音階。フラメンコ音楽によく見られる。

18510
ファ ファ シ♭ ミ♭
- - - -

琉球音階

長音階から「レ」と「ラ」を抜いた音階。ニロ抜き長音階と同一の音階。沖縄民謡に見られるが、実際には「レ」もそれなりに使われる。

18505
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - - - - -

”コンディミ”

正式には「コンビネーションオブディミニッシュト・スケールcombination of diminished scale)」という名前だが、もっぱら略して「コンディミ」と呼ばれるもの。全音と半音が交互に配置された音階で、半音違いの2つのディミニッシュセブンス・コードの構成音でできているためこの名がある。ギターキーボードソロプレイなどで使用される。

18511
ミ♭ ファ ファ シ♭
- - - -

”Hmp5↓”

正式には「ハーモニックマイナーパーフェクト・フィフス・ビロウ・スケール(harmonic minor perfect 5th below scale)」という名前だが、もっぱら略して「Hmp5↓」等と呼ばれるもの。和短音階を「ミ」の音から始めた音階で、フリジアン・スケールドミナントコード上で使えるように変化させたものであることから「フリジアン・ドミナント(Phrygian Dominamnt)」とも呼ばれる。ギターキーボードソロプレイなどで使用される。

18512
ファ ファ シ♭ ミ♭
- - - - -

関連項目

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
Undertale[単語]

提供: anumber18

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/06/02(日) 11:00

ほめられた記事

最終更新:2024/06/02(日) 11:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP