エトヴプレ(Êtes-vous prêts)とは、フランス語で「準備は出来ましたか?」のような意味合いを持つフレーズである。また、以下のものを指す。
- フェンシングにおける試合開始前の合図。両者の準備が整ったのを確認した後、「始め(allez)」の合図で試合開始となる。省略して「プレ(用意)」のみとすることもある。
- 1を馬名由来とする2021年生まれの日本の競走馬(牝馬)。英字表記はサーカムフレックスとハイフンの無い「Etes Vous Prets」で登録されている。
以下、2について詳述する。
概要
エトヴプレ Etes Vous Prets |
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---|---|
生年月日 | 2021年3月31日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牝・芦毛 |
生産国 | アイルランド |
生産者 | Godolphin |
馬主 | H.H. シェイク・ハムダン |
調教師 | 藤岡健一(栗東) |
馬名意味 | 準備はできましたか (フェンシング用語) |
初出走 | 2023年8月13日 |
抹消日 | (現役) |
戦績 | 7戦3勝[3-2-0-2] |
獲得賞金 | 9,643万円(中央) |
受賞歴 | |
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競走馬テンプレート |
父Too Darn Hot、母Nahoodh、母父Clodovilという血統。
父トゥーダーンホットは2018年デューハーストS(英GI)、2019年ジャン・プラ賞(仏GI)、同年サセックスS(英GI)とGIを3勝し、2018年カルティエ賞最優秀2歳牡馬・2019年同最優秀3歳牡馬を受賞した活躍馬で、本馬の世代が初年度産駒。
母ナフードは12戦2勝だが、その2勝は2007年ロウザーS(英GII)および2008年ファルマスS(英GI)といずれもグループ競走で挙げているという馬である。ダーレーグループで長らく繋養されていたが、本馬が産まれた2021年のゴフズノヴェンバーセールにおいて6万5000ユーロで売却されている。
母父クロドヴィルは8戦5勝で、デビューから5連勝で2003年プール・デッセ・デ・プーラン(仏GI)を優勝した実績がある。
父がダーレーグループのダルハムホールスタッドで繋養されている新種牡馬で、生産者もゴドルフィンという点を踏まえると、そのまま欧州で走っていても何もおかしくないような良血馬と言って差し支えないだろう。
アイルランドで生産され、2022年8月に他のゴドルフィンやパカパカファーム生産の外国産馬ともども輸入された[1]。同時に輸入された馬の中でGI馬を母に持つのは本馬の他に母Asi Siempre(2006年スピンスターS・米GI)の牝馬(*セイシェルブラック)のみである。
ゴドルフィンの代表のモハメド殿下の子息であるシェイク・ハムダンの名義で登録され、藤岡健一厩舎の管理馬となった。同父の産駒は他にダーレー・ジャパン・ファーム生産、ゴドルフィン所有の持込馬のニューズホークが堀宣行厩舎に入っていたが不出走のまま死亡したため、本馬は日本で走った最初のToo Darn Hot産駒かつ、唯一の初年度産駒ということになる。
2歳時(2023年)
8月13日の小倉芝1200mの新馬戦にて、藤岡康太騎手を鞍上としてデビュー。初戦から逃げるが、本馬と同時に輸入されてきたうちの1頭である*パッシングシャワー(こちらは馬主名義もゴドルフィン)にゴール前で交わされて1馬身1/4差の2着に終わる。なおこのレースでは後に桜花賞でも対戦することとなるスウィープフィートも出走していた(3着)。
続けて9月3日の同条件の未勝利戦に出走し、今度は控えて競馬をしたもののスタートから逃げたモンシュマンに逃げ切られて1馬身3/4差の2着。続く9月23日の阪神芝1200mの未勝利戦では藤岡佑介騎手に乗り替わり、2番手からの抜け出しで勝ち上がった。以降、しばらく藤岡佑介騎手が騎乗し続けることとなった。
しばらく休んで11月12日の福島2歳S(OP)に出走。1番人気に推されたとはいえ単勝4.9倍と混戦の様相を呈したが、先行したクリスアーサーを差し切ってハナ差で勝利した。JRAのオープン競走を勝利したゴドルフィン生産の日本調教外国産馬は2019年の昇竜S・青竜Sを連勝した*デュープロセス以来、4年ぶり2頭目[2]となった。
12月16日の中京2歳S(OP)は別定戦(収得賞金900万ごとに1kg増)のため、既にオープン勝ちがあって収得賞金1000万円の本馬は馬齢重量+1kgの56kgでの出走となったが、それが響いたのか前走で下したクリスアーサーに逆転を許し、クビ+アタマ+アタマ差の4着に惜敗した。
3歳時(2024年)
3歳初戦はフィリーズレビューとなった。ここでは京王杯2歳Sの勝ち馬で阪神JFでも3着の実績があるコラソンビートが単勝1.8倍と大きく人気を集めた一方、本馬は1200mまでしか経験していないことが響いたか大きく人気を落とし、単勝35.2倍の11番人気となった。しかし、好発と内枠を利して無理なくハナに立つことに成功した本馬は藤岡騎手が上手くペースを刻めたこともあって最後まで脚を残すことに成功。迫るコラソンビートを3/4馬身差の2着に抑えて逃げ切り、重賞初勝利を収めた。
シェイク・ハムダン名義の馬としてはこれが中央重賞初勝利であり、ゴドルフィン生産の日本調教外国産馬が中央重賞を勝利するのも初のことであった。
こうなれば続く狙いは当然桜花賞だが、本馬にはクラシック登録が無かったため、200万円の追加登録料を払っての出走となった。また鞍上も藤岡佑介騎手にセキトバイースト(同騎手でチューリップ賞2着)の先約があったため、5戦ぶりに藤岡康太騎手が騎乗することとなった。
ところがその藤岡騎手がレース前日に落馬負傷し、鮫島克駿騎手に乗り替わるアクシデントが発生。更にフィリーズレビューの勝ち馬から桜花賞馬が出たのは2005年のラインクラフトが最後で、陣営からの距離延長に対するコメントも渋かったこともあり、結局単勝61.8倍の9番人気という評価に甘んじた。
阪神JFの上位2頭のアスコリピチェーノとステレンボッシュが1・2番人気となり、クイーンカップを勝ったクイーンズウォーク、アルテミスSを勝ったものの左トモの違和感で阪神JFを回避しここが復帰初戦のチェルヴィニア、先述のコラソンビートまでの5頭が単勝10倍を切る人気となった。
レースは新潟2歳Sで逃げて2着の実績があるショウナンマヌエラが外枠からハナを主張し、本馬は2番手からの競馬。前半3F34.5秒という流れをじっと待機し、直線に入っても手応え良く先頭のショウナンマヌエラに並びかけていった。そのまま先頭に立った本馬の脚は大きく止まることなく、末脚を伸ばしたステレンボッシュらに交わされたものの、残り約100mまで先頭で粘る好内容の競馬を見せて5着となった。1000m通過58.1秒とそれなりに流れていて、上位勢にも差し馬が多かったことを鑑みれば、着順以上に濃い内容だったと言えよう。急遽の代打となった鮫島騎手は以下のコメントを残している。
まずは藤岡康太騎手の安全(無事)を願うばかりです。乗り替わりになりましたが、チームで作り上げてきて、力は出し切れたと思います
(ラジオNIKKEI公式サイトより)
桜花賞の後は両親が実績を残したマイル路線での続戦ではなく、既に自身の実績がある短距離路線に戻って葵Sを目指すこととなった。ここまで重賞級に入ると急激に評価を落としていながら5着以内を外していない堅実さが光るだけに、今後の走りにも期待が持てるところである。
血統表
Too Darn Hot 2016 鹿毛 |
Dubawi 2002 鹿毛 |
Dubai Millennium | Seeking the Gold |
Colorado Dancer | |||
Zomaradah | Deploy | ||
Jawaher | |||
Dar Re Mi 2005 鹿毛 |
Singspiel | In the Wings | |
Glorious Song | |||
Darara | Top Ville | ||
Delsy | |||
Nahoodh 2005 芦毛 FNo.4-m |
Clodovil 2000 芦毛 |
*デインヒル Danehill |
Danzig |
Razyana | |||
Clodora | Linamix | ||
Cloche d'Or | |||
Mise 2000 鹿毛 |
Indian Ridge | Ahonoora | |
Hillbrow | |||
Misbegotten | *バイアモン Baillamont |
||
Mistreat | |||
競走馬の4代血統表 |
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- *パカパカファームはハリー・スウィーニィ氏がダーレー・ジャパン・ファームと代表を兼任しており、*レモンポップのようにパカパカファームが海外セリで落札してゴドルフィンの名義で走った馬もいる。リンク先に掲載されている馬のうち母Fahan Mura(*ファハンムーラ)の牡馬はパカパカファームの生産馬である。
- **デュープロセスは母*ローズローがダイワメジャーを種付け後にイギリスに輸出されて同国で産まれた馬のため、海外で種付けされた馬としては初。
親記事
子記事
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