サンライズジパング(Sunrise Zipangu)とは、2021年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
概要
父キズナ、母*サイマー、母父Zoffanyという血統。
父は2013年のダービー馬。種牡馬としてもディープボンド、アカイイト、ソングラインなどを輩出して絶賛活躍中である。サンライズジパングは種付け料が350万円から600万円に上がった5年目の産駒。
母はアイルランド産のフランス調教馬で13戦2勝。サンライズジパングは第3仔。
母父ゾファニーはアイルランドのG1フェニックスSの勝ち馬。種牡馬としては英1000ギニー勝ち馬Mother Earthなどを輩出している。
2021年3月16日、社台系の追分ファームで誕生。2022年のセレクトセール1歳の部で、2500万円からスタートし、㈱ライフハウスに6400万円(税抜)で落札された(下記動画の06:55~あたり)。
オーナーの㈱ライフハウスは、サンライズバッカスやサンライズノヴァでおなじみ「サンライズ」冠名の松岡隆雄の妻・松岡貴子の法人名義。2020年から馬主を始め、当初は「松岡貴子」名義だったが、1年ほどで現名義に切り替えている。夫婦で同じ冠名を使い、勝負服もそっくりだが、袖の柄で区別されている(夫は白袖紫星散、妻は白袖紫一本輪)。
黄金の国の夜明け
2歳(2023年)
サンライズ軍団の代表馬2頭も所属した、栗東の音無秀孝厩舎に入厩。2023年6月11日、東京・芝1800mの新馬戦で戸崎圭太を鞍上にデビューする。ダノンエアズロックが1.4倍の断然人気で、サンライズジパングは4.9倍の3番人気。レースは先行するダノンエアズロックをマークして進めたが、直線で突き放され、盛り返したものの後ろから2頭に差されて4着。
2戦目はダートに切り替え、武豊を鞍上に9月23日の阪神・ダート1800mの未勝利戦へ。先頭集団を見る位置で進めると、4コーナーで外に膨れる気性の幼さを見せつつも直線突き抜けて4馬身差で圧勝。武豊は「気性がまだ若い感じですけど、能力はありそうですよ」とのコメントであった。
続いて向かったのは門別のJBC2歳優駿(JpnⅢ)。和田竜二を鞍上に、前走の勝ちっぷりもあってかフォーエバーヤングに次ぐ3.7倍の2番人気に支持された。レースは大外枠から5番手あたりで進め、4角で進出し直線入口で先頭へ。そのまま押し切りを図ったが、フォーエバーヤングの末脚にあっさりとかわされて2着に敗れた。3着は8馬身突き放したのだが……。
さて、ここでサンライズジパングには大きな問題が発生した。収得賞金である。
え、重賞2着取ったんだから賞金は積めたでしょ? と思うかもしれないが、JBC2歳優駿の2着本賞金は980万円。サンライズジパングの得た収得賞金はその半額なので490万円。未勝利戦の勝利と合わせ、サンライズジパングの収得賞金は890万円となった。
これの何が問題かというと、1勝クラス勝利で得られる収得賞金は500万円。つまりサンライズジパングは、1勝クラス勝ち馬より収得賞金が10万円少ないという状態になってしまったのである。
ちなみに中央の2歳GⅢは本賞金にかかわらず2着は収得賞金+600万円と定められているのでこういうことは起こらない。賞金が安い交流重賞だから起きてしまった事態であった。
たった10万円だが、この10万円の差があまりに大きい。既に1勝クラスは使えず、3歳6月に2勝クラスが始まるまではオープン以上のレースを使うしかないのだが、2勝している馬より収得賞金が少ないため、交流重賞の中央出走枠という狭き門を収得賞金900万円以上の馬たちで埋められてしまうと、賞金不足で抽選にも加われず除外になってしまうのである。重賞2着馬なのに……。
全日本2歳優駿もこのままでは当然除外対象であり、仕方ないので11月25日の東京ダート1600m、カトレアステークス(OP)へ。鞍上にはトム・マーカンドを迎えたが、門別から中2週で東京遠征はさすがにしんどかったか、終始手応え悪くブービー15着に撃沈。音無師によると「前の馬に乗っかけてバランスを崩して走れなかった」とのこと。
あえなく全日本2歳優駿は除外となり、ダートではしばらく使えそうなレースがないという状況に。ここで陣営が下したのは意外な判断、なんとホープフルステークス(GⅠ)出走であった。いやいや、そりゃ去年はダートで勝ち上がったドゥラエレーデが勝ったけどさあ……。ちなみにサンライズジパングが勝った未勝利戦で2着だったアンモシエラ(収得賞金900万円)も全日本2歳優駿除外でこっちに出走してきていた。
オッズは単勝128.7倍の13番人気。芝実績は新馬戦の4着のみ、前走は芝スタートの府中1600で惨敗とあっては致し方ない評価と言える。しかし鞍上にはこの男がいた。バカラクイーンやカワキタレブリーなど人気薄を馬券内に突っ込ませることに定評がある菅原明良である。
この馬にはスタミナがあると見た菅原騎手は、前で競馬をしようとスタートから押していく。逃げることも考えたが、他にハナを主張する馬がいたので控え3番手あたりに構えた。3コーナーではやや手応え悪く下がり気味だったが、4コーナーから徐々に盛り返し、直線に入るとエンジン点火。先に抜け出したシンエンペラーを猛然と追いかけるが、さらに後ろから伸びてきた牝馬レガレイラとの追い比べとなり、最後はレガレイラに振り切られた上に左にヨレたシンエンペラーと内に刺さったレガレイラに進路を締められてしまい、2着シンエンペラーから2馬身差の3着。
敗れたとはいえ、単勝万馬券のダート馬の3着激走にはみんなびっくり。前年覇者ドゥラエレーデがダートGⅠで好走していたこともあり、ダート馬のホープフルS適性について競馬ファンの間でひとしきりに話題となった。
音無師は「今後も二刀流でいきます」と発言。ただ3着だったので前述の収得賞金の問題は解決されず、もう一回引きずることになる。
3歳(2024年)
明けて3歳、陣営はまずダートに戻そうと、交流重賞になったブルーバードカップに登録する。ところがここでもやっぱり890万円の収得賞金がネックとなり、3枠しかない中央枠には入れず除外。ちなみにこのブルーバードカップで勝ったのが一緒にホープフルSに出ていた(15着)アンモシエラである。
仕方ないので陣営が向かったのは芝2000mの若駒ステークス(L)。鞍上には未勝利戦以来の武豊を迎えた。7頭立ての少頭数となり、ホープフルSの力走から2.2倍の1番人気に支持される。
重馬場となったレースは後方からの展開になったが、3コーナーでもう武豊の手が動く状態になり、手応え悪くさらに後退。明らかについて行けてなさそうな様子で、4コーナーでは最後方まで下がってしまう。
全然ダメじゃん、ホープフルSは何だったんだ……と競馬ファンが思ったのもつかの間、直線で武豊の鞭が入ると一気に加速。大外からあっという間に前を飲み込み、1と3/4馬身差で完勝してしまった。
2005年の祖父ディープインパクトの衝撃の末脚をちょっと想起させる勝ちっぷりにみんな再びびっくり。武豊は「ちょっと道中、全然ついて行けなくて。ダメかなと思ったけどムチ入れてからですね。そこからいい反応で」とのコメントであった。なお、収得賞金の問題もこれで無事クリアである。
音無師もこの勝利には「もう芝でやるしかないね」とびっくりした様子で、UAEダービーにも選出されたが辞退。春は弥生賞からクラシックへ向かう予定を立てた……のだが、弥生賞は右トモの違和感で回避。直行で皐月賞(GⅠ)へ向かうことになった。鞍上はホープフルSの菅原明良となる。
昨年のドゥラエレーデに続いて(?)ホープフルS人気薄から現れた二刀流・サンライズジパング。音無師は2025年で定年になるため、この2024年が最後のクラシックとなる。カンパニーやインディチャンプ、クリソベリルなど数々の名馬を手掛けてきた音無師は、皐月賞はヴィクトリー、菊花賞はオウケンブルースリで勝っているが、日本ダービーは未勝利。混戦ムードの最後のクラシックに名乗りを挙げたサンライズジパングは、果たしてどんな結果を残すことになるだろうか。
血統表
キズナ 2010 青鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*キャットクイル 1990 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
Pacific Princess | Damascus | ||
Fiji | |||
*サイマー 2013 鹿毛 FNo.16-b |
Zoffany 2008 鹿毛 |
Dansili | *デインヒル |
Hasili | |||
Tyranny | Machiavellian | ||
Dust Dancer | |||
Serisia 1999 鹿毛 |
Exit to Nowhere | Irish River | |
Coup de Folie | |||
Seralia | *ロイヤルアカデミーII | ||
Serafica |
クロス: Coup de Folie 5×4(9.38%)、Halo 4×5(9.38%)、Crimson Saint 5×5(9.38%)
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