「指一本だって使わない 頭の中だけできみを殺してみせよう」
グレミィ・トゥミューとは、漫画『BLEACH』の登場人物である。
概要
見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の精鋭部隊である星十字騎士団(シュテルンリッター)のメンバーで「V」の聖文字(シュリフト)の持ち主。身長は155cmで誕生日は6月30日。
ロングコートを着用し、フードを被っている金髪の少年。「想像力」こそがこの世で一番強い力と語り、星十字騎士団最強を自称しているが、それと同時に仲間意識が希薄な騎士団メンバーの中でも一際危うい性格をしており、敵味方関係なく面白半分に虐殺する残忍さと非情さを持ち、主であるユーハバッハすら攻撃に巻き込む事に躊躇がない。その為、聖文字の能力も含め、ナックルヴァールやバズビーは疎か、ユーハバッハからも危険視され監禁されていた為、一度目の尸魂界(ソウル・ソサエティ)への侵攻には参加していなかった。当初は自身の圧倒的な能力から他者と本気でぶつかり合わず、物事に対して無関心に近い感情を持っていたが、更木剣八との戦いでは彼の鬼神の如き戦いぶりに触発され、勝利を渇望するようになった。
後に小説で「勝手しすぎて牢屋にぶち込まれた悪党」と言われている為、やはり度を超えたレベルで色々やらかし過ぎたらしい。と言っても、グレミィ本人も平然と「この騎士団は陛下含めて身勝手な人間ばかり」と発言しているので、ある意味彼の方も騎士団は勿論、ユーハバッハの本質を客観的に観て熟知していたようである。唯一例外的に、リルトット・ランパードだけは空腹を紛らす為にグレミィの能力でドーナツを作らせる等、私的な目的で彼を扱き使う事を躊躇せず、グレミィもまた化け物と恐れられている自分に図々しく接する彼女に内心呆れていたが、それでも他の騎士団メンバーよりかはマシな関係であった模様。
この通り、かなりの危険人物である筈なのだが、アニメではユーハバッハが自身の後継者として石田雨竜を指名する際に行った集会や、第二次侵攻の直前に星十字騎士団のみで行われた会議には、他の騎士団メンバー共々出席している(後者は親衛隊(シュッツシュタッフェル)は欠席している)。
第二次侵攻では自分が差し向けたグエナエル・リーが草鹿やちるに負けそうになると、突如その場に出現。昏睡していた六車拳西及び鳳橋楼十郎(ローズ)を自身の能力で殺害し、グエナエルも用済みとして処分する。続けてやちると戦い一方的に彼女を痛め付けるが、やちるの救援に駆け付けた更木剣八と対峙し、決戦の舞台を作り出して交戦。だが、何を想像しても剣八のチートぶりの前に殆ど歯が立たなくなり、自身の敗北を想像し掛けてしまうものの、次第にグレミィの心中に恐怖や焦り以上に、自分の想像を次々と超えていく剣八を見て「喜び」に近い笑みを浮かべるようになり、「なんでぼくはこんなに 今ぼくはこんなに 気分がいいんだ!!!」とまで思うようになる。そして、「もう一人の自分」を創り出して想像力を倍にし、巨大隕石を想像して瀞霊廷ごと剣八を倒そうとするも彼の斬魄刀「野晒」によって打ち破られる。「俺に斬れねえものは無え」と豪語する剣八に対し、形の無いもので殺すべく、更に自分を何人も増やして何倍にも上げた想像力を以て宇宙空間に包み込むが、剣八はこれすらも斬ってしまう。続けて宇宙空間から抜け出た剣八を爆発に巻き込むが、それでも剣八は倒れない。最後の手段として、剣八と同じ力を持った怪物に変貌しようとするも、その力に自身の肉体が耐えられず、自壊して敗北。それを見た剣八は「……お前えはお前えの中で俺を化け物にしちまった。その化け物に殺されたんだ。馬鹿野郎が」と語る。剣八に負けたことを悔しがりながらも戦いには満足したようで、清々しい表情を浮かべながら消滅した。
「………ああ ちくしょう…………勝ちたかったなあ…………っ」
その場に現れたのはカプセルに入った脳だった。この脳こそが彼の本体であり、少年の姿や能力すらも脳が想像して創ったものであった。後にこの脳は小説『Can't Fear Your Own World』に於いて、ある目的の為に利用される事になる。
聖文字【V】
The Visionary(ザ・ヴィジョナリィ)。夢想家。想像した事柄を現実にするというトンデモ能力であり、瓦礫の舞台や溶岩、巨大な水槽に無数の重火器、果てには隕石や宇宙空間までも一瞬で創り出せる。また、天変地異を引き起こすだけでなく、鬼道で作られた結界内に軽々と侵入出来たり、全身の骨をクッキーのように脆くしたり、重傷を負っても「無傷の自分」を想像する事で全快出来てしまう等、反則的な効果を持つ。更に、独立した意志を持った生命の創造すらも可能で、作中では他の星十字騎士団と比べても遜色ない能力を持ったグエナエルやシャズ・ドミノを生み出している他、自分自身を創り出す事で、想像力の強化を図る芸当まで見せ付けた。因みに、彼が創った滅却師の聖文字は全て「V」である。
一見やりたい放題に見えるが、あくまでも想像したものを現実にする能力である為、別の事を想像してしまうと前に想像したものはなかった事になってしまう。更に、相手の身体への干渉には限界があるらしく、相手の全身の骨をクッキーのように脆くすることで無力化する事は出来ても、「相手が負ける姿を想像して無条件に戦闘不能にする」という真似は出来ない模様。当然ながら、自分にとってマイナスの想像すらも現実になってしまう為、精神的に動揺すれば一気に弱体化してしまう。
完全無欠とまではいかないが、星十字騎士団最強を自負するだけの事はあるチート能力と言えるであろう。どっかの自称十刃最強の5番さんは泣いていい。
グエナエル・リー
「お前達は このわしの存在を 見ることも 感じることも そして 記憶することもできん」
ピンク髪のアフロヘアにヘッドホンのような物を付け、眼鏡を掛けた小柄な男性の老人。ユーハバッハから「V」の聖文字を授かっているらしいが、何故か「The」が付いていない。
自身の聖文字に絶対的な自信を持っており、卑劣且つサディスティックな性格で、敵を一方的に嬲る事に快感を覚える。しかし、能力を過信する余り、相手を甘く見てしまう癖があり、自分が攻撃を受けた際には取り乱していた。一方で、常識的な感覚も持っており、バージョン3を攻略したやちるに対し「(初対面の相手をいきなり殴るなんて)非常識じゃぞ!!」と怒り、同じ指摘をした虎徹勇音に対し「デカい小娘の方はマトモなこと言うじゃないか!お前見所あるぞ!」と褒めていた。また、やちるに対し「何かわしを敵だと思った理由があるなら言ってみろ!参考にしてやらんでもないぞ!」と発言する等、意外と謙虚な一面もある。
第二次侵攻でマスク・ド・マスキュリンに敗れ、重傷を負った拳西とローズを治療していた勇音とやちるの前に現れ、やちると交戦。「バージョン1」と「バージョン2」を駆使してやちるを翻弄し、更に「バージョン3」で自分の存在と記憶を消して、敵か味方か分からない初対面の人間に戻す事で一方的に無双しようとしたが、やちるの野生的な勘の前にはこの記憶操作は通じず、やちるの斬魄刀「三歩剣獣」の前にバージョン1と2の切り替えも通じず、回避したつもりでも斬られてしまう。反撃に転じたやちるの攻撃を「消尽滑体(バニシング・スライダー)」で回避し、辛うじて真っ二つにされるのは免れるも、顔面に大きな傷を受けてしまった。するとそこにグレミィが現れ、グエナエルに対して「うん。すごくがんばったよ。僕の"空想の産物"としては」と語る。そう、グエナエルはグレミィの能力によって生み出された架空の人間、即ち星十字騎士団の一員ではなかったのだ。グエナエルの能力名の頭に「The」が付いていなかったのも、この為の伏線だったのである。グエナエルはグレミィに命乞いするも、「今、僕の記憶からも消えちゃった」と言われてしまい、逆上してグレミィに襲い掛かるが、「ごめんね。君が誰だか知らないけど、もう君の未来を想像できない」と言われた事で、完全に存在を抹消されてしまった。
聖文字【V】
Vanishing Point(バニシング・ポイント)。消尽点。自身を透明にする能力。3つのバージョンがあり、透明人間になったり、自分の記憶を失くしたりする事で、何度でも「はじめまして」に出来る。
バージョン1
自身の姿だけを消す。このバージョンでは姿を視認出来なくなるだけで、グエナエルの存在自体が消える訳ではない為、攻撃はこのバージョンで行う。
バージョン2
グエナエルの存在が消え、そこには居ない状態となる。主に攻撃後に敵からのカウンターを回避したり、距離を取ったりする為に使用する。相手が反撃してもグエナエルはもう「そこ」には存在しない為、相手には残像を「殴った」という錯覚だけが残る。
バージョン3
グエナエルの存在と記憶が完全に消える。尚、バージョン1とバージョン2は瞬時に切り替えが可能で、作中では主にこの2つを使い分け、バージョン1とバージョン2が対応され始めるとバージョン3も交えて戦った。
消尽滑体(バニシング・スライダー)
グエナエルの全霊圧を集中して発動する技。自分の存在を消すのではなく、僅かに後方にずらす事で攻撃を回避する。
シャズ・ドミノ
「俺は星十字騎士団シャズ・ドミノ 与えられた力は─────」
黒いナイフを持ち、顔の右半分に斑模様のような刺青を入れた、黒縁眼鏡の男。
グエナエル同様、グレミィによって生み出された空想の産物。原作では数コマしか登場せず、あっという間に退場してしまったが、キャラブック『13BLADEs.』の書き下ろし小説でその正体や能力が判明した。
第一次侵攻でペペ・ワキャブラーダと共に技術開発局を急襲し壊滅に追い込むも、突如現れた黒崎一護に対し、自身の能力を語ろうとしたところを瞬殺されてしまい、そのまま退場…したかに思われたが、自身の能力で偽の死体を残し撤退する。
第二次侵攻では中央四十六室の管轄するデータベース「大霊書回廊」を襲い、賢者や裁判官達を蹂躙するが、そこで涅マユリに改造されゾンビ化した吉良イヅルが現れた為に交戦。彼の斬魄刀「侘助」で何度も斬り付けられ、自重により肉体が設置面の床を霊子分解して吸収・再生し、また自重により自壊…という無限ループにはまってしまい、延々と自壊・再生を繰り返しながら地の底に沈んでいくという悲惨な末路を遂げた。
聖文字【ϛ(V)】
The Viability(ザ・バイアビリティー)。生存能力。グレミィから与えられた能力。肉体の欠損した部分を、周囲の霊子を吸収し、それを自分の肉体にする事により回復するという能力。虚(ホロウ)の超速再生をも上回る再生速度を持ち、霊子から生み出した血肉を自らの死体であるかのように偽装することも可能で、シャズはグレミィの想像であった体を実体のある体に変える事で、グレミィの支配から解放されている。
上記の通り、シャズ自身がグレミィの空想の産物であるが、ユーハバッハの気まぐれから自身の持つ能力に擬えて「ϛ(スティグマ)」という仮初の聖文字を与えられ、星十字騎士団の一員を名乗る事を許された。尤もϛは正式な聖文字ではない為、ユーハバッハから新たに能力を与えられた訳ではなく、あくまで元々持っていたVの能力を「聖痕(スティグマ)」と言い換えただけに過ぎない。
関連動画
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関連項目
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