ケロリン桶とは、銭湯などで使われるケロリンと書かれた黄色い風呂桶である。正式名称はケロリン湯桶。
概要
銭湯・温泉などで用いられるよく目立つ黄色いプラスチック製の桶であり、だれでも一度は見たことがある。大衆浴場に行かずケロリン桶の実物を見たことがない方でも、テレビや映画での浴場でのシーンで「テンプレの用に置かれている黄色い桶」を見たことがあるのではないだろうか。アレである。
ケロリン桶は、昭和38年頃から睦和商事が内外薬品に「風呂桶にケロリンの広告を出さないか」と持ちかけたことから始まる。
などの時代の波に乗り、日本各地の銭湯にケロリン桶は爆発的に普及した。現在ではケロリン桶の販売は内外薬品(現・富山めぐみ製薬)自身が行っている(後述)。
当初は白色のみだったが、湯垢によりヨゴレが目立つため黄色に変更統一された。内面に印刷された文字も印刷後に高温にすることでプラスチックに染み込んでいるため、半永久的に消えないようになっている。
一般的に関東版と、関西版(少し小さい)の2種類のサイズがある。これは関西において、かけ湯を湯船から直接汲み取る習慣があるため、大きいと気軽に手に持って流せない、また、銭湯や旅館側の要望で湯船の湯がなくなってしまうなどの理由により、小さい関西版が開発された。
そして特筆すべき点は、非常に丈夫であること。富山めぐみ製薬の公式HPでも「永久桶」と書かれるほどに丈夫なのである。
ケロリンとは
Q. ケロリン桶は知っているけど、ケロリンってなに?
A. ケロリンはアスピリン配合の鎮痛薬である。富山の製薬会社である富山めぐみ製薬が製造販売している。大正14年より販売されており、富山の置き薬として長く親しまれている。
元来、アスピリンはドイツのバイエル社のアセチルサリチル酸製剤の商標であり、現在でも「バイエルのアスピリン」といえば薬局などで購入できる。日本薬局方では医薬品だけではなく化学物質としてのアセチルサリチル酸もアスピリンと呼称している。
アスピリンは1897年に世界ではじめて人工合成された医薬品であり、それまでの鎮痛薬に比べて効きがよく副作用が少ないものであった(あくまでそれまでの鎮痛薬と比べてである。大切なことなので2回言いました)。
アスピリンは鎮痛薬として優秀であったが、やはり副作用もある。アレルギー(アスピリンアレルギー)をもつ方がいたり、長期にわたって服用すると胃潰瘍の原因となることがわかっていた。
そのため胃の負担が少なくなるようにするため、生薬の桂皮を配合したのがケロリンである。ただし、アスピリンアレルギーがなくなったり、胃の負担がなくなるわけではないので注意。ちなみに別のアプローチでアスピリンの副作用対策をしたクスリが(半分のやさしさでできてる)バファリンである。
ちなみに、バイエル社のアスピリンはそのような副作用抑制成分が一切入っていないので、アスピリンの副作用が比較的発現しやすい。服用は医師・薬剤師の指示に従うこと。
ケロリンも胃の負担がなくなるわけではないので、「服用前に軽く食事をとるか牛乳を飲むように」と注意書きがある。
ケロリン桶の販売会社倒産
- 大正14年(1925年)内外薬品、鎮痛薬ケロリンの発売開始。
- 昭和33年(1958年)ケロリンCMソング「青空晴れた空」発表(関連動画を参照)。
- 昭和38年(1963年)睦和商事、ケロリン桶を発売開始。
以来、薬としてのケロリンは内外薬品が製造販売し、風呂桶としてのケロリン桶の販売は睦和商事が行ってきた。
内外薬品はケロリン桶に広告を出稿することで睦和商事は安く銭湯などにケロリン桶を販売してきたが、一般家庭の風呂の普及により銭湯の廃業などで売り上げは減少していった。それまで銭湯への業務用販売のみ(BtoB)であったが、市販・通信販売(BtoC)を始めることなどで経営改善を図ろうとした。しかし、2013年3月14日、睦和商事は資金ショートにより2度目の不渡りが発生し経営破綻した。
2012年末に経営難を知った内外薬品は睦和商事からケロリン桶の販売を引き継ぐことで合意し、ケロリン桶の販売も再開することも発表した。しかし、「ケロリン桶の販売会社が倒産→ケロリンの会社が倒産→内外薬品が倒産」という誤解により、ケロリンの製造元である内外薬品に一時期問い合わせが相次いだ。
現在では、富山めぐみ製薬の公式HPより通信販売・ロフト・東急ハンズでも買うことができるようになっている。そして大事なことであるが、銭湯や温泉などへの業務用販売も富山めぐみ製薬が行っている。
注意
ケロリン桶は近年SNS映えする容器として人気が上昇しており、各種インテリアにも用いられるようになっている。だが本商品は湯桶であって、食品衛生法上の食器ではない。そのため各種規格適合、溶出試験を行っておらず、営業上食器として用いると食品衛生法第15条や第16条に違反するおそれがある。
ある居酒屋では、ケロリン桶にレモンサワーを入れて提供していると話題になった。しかし、ケロリン桶はプラスチック製のため、有機溶剤のアルコールによって桶の成分や塗料が溶け出す可能性がある。ケロリン桶を湯桶以外の用途で使用する際は、入れるものを十分考えたうえで利用しよう。
関連動画
ケ~ロリン♪ ケ~ロリン♪ あ~おぞら は~れたそら~♪
(原曲は昭和33年 作詞:サトウハチロー、作曲:服部良一、歌:楠トシエ)
関連リンク
- ケロリンファン倶楽部 - 富山めぐみ製薬株式会社 - 公式グッズの直販も行っている。
- ケロリンの内外薬品株式会社☆公式☆ @KERORIN_PR - 公式twitterアカウント。
関連項目
- 桶
- 風呂
- 銭湯
- 温泉
- アスピリン
- テルマエ・ロマエ - 映画の小道具としてケロリン桶が登場する。
そして映画化第2弾ではポスターにてとうとう……。 (みんな桶のせいだ)
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