ジャイアント・マニュファクチャリング(漢字表記:巨大機械工業股份有限公司)とは、台湾・台中市に本社を構える自転車メーカーである。日本では子会社の株式会社ジャイアントが日本で商品を供給している。
女性向けモデルは「Liv」(リブ)、高級カーボンホイール及びハンドル・サドルは「CADEX」(カデックス)、それ以外は「GIANT」ブランドで展開している。
概要
台湾を本拠地とする自転車メーカーで、1972年創業。2010年代後半のデータではOEM生産含め年間生産台数は約600万台の、世界最大の自転車メーカーである。
創業者・劉金票(キング・リュウ)の仕事は元々はうなぎの養殖業者であったが、自然災害を機に養殖業から撤退し自転車メーカーへと転身し、苦難の末大ヒット。創業当時は他社から(主に米国の「シュウィン」社)のOEM生産に徹していたが、受注相手が委託先を香港の企業へ変更したのを機に、これまでOEM生産で着々と習得してきた技術力を武器に1986年には欧州、1987年には米国、1989年には日本に、自社ブランドとして自転車産業に殴り込みをかけた(一方でシュウィンは国内工場でのストライキや中国進出に失敗し結果的に倒産している)。
台湾では「MERIDA」と並ぶ二大巨頭の自転車企業である(MERIDAは生産数世界2位)。
圧倒的な量産体制による低価格戦略で、コストパフォーマンスの高い自転車メーカーとして一定の評価を受けている。安い=質が悪いというイメージがつきまといがちだが、イメージに反して質は決して悪くない。2022年からは新型コロナウイルス蔓延による物資の高騰や輸送費の高騰のあおりを受けて自転車も値上げを余儀なくされてしまい、現在ではコスパの代名詞とはいえなくなっているのが現状である(同じ台湾のメリダや日本国内であればコーダーブルームなどコスパで言えば優秀な自転車も増えてきている)。
本場の欧州レースでも少なくない実績も上げている(マウンテンバイクはTEAM GIANT、ロードバイクではシマノレーシングチームなどジャイアントの機材を採用しているプロチームも居る)。2020東京五輪のトライアスロンで金メダルを獲得したクリスティアン・ブルンメンフェルトの使用機材がジャイアントだった(PROPEL Advansed SL Disk+CADEXチューブレスホイール(フロント42/リア65))。2022年からはオーストラリアの「チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ」が使用車をビアンキからジャイアントに変更している。
また製品のネット販売は行っておらず、直営のストアや指定の専門店での販売しか行っていない。
また女性向け自転車ブランド「Liv」では更に小型のXXSサイズのフレーム、女性に好まれやすいフレームカラーや女性のサイズに合わせた横幅の広いサドルが採用されている。
当初は台湾他企業のブレーキやホイール、アメリカのSRAMのコンポーネントを採用していたが、現在ではホイールも自社、ブレーキやコンポーネントは主にシマノのものが採用されている。低価格モデルにはテクトロやマイクロシフトなどの台湾企業のシマノ互換コンポーネントが使用されている場合もある。
2011年には東日本大震災への復興支援として自治体やボランティアに向けて特別仕様のマウンテンバイク1000台を修理キットを合わせて無償提供している(リンク)。自治体の復興がある程度進み、自動車での運用がほとんどになったことから、結果として送られた自転車の多くは現地の遠距離通学を強いられている中高生へ贈られることとなった(リンク)。
主なラインナップ(2024年現在)
- TCR
- ジャイアントのロードバイク三兄弟のひとつ。TCRとは「トータル・コンパクト・ロードバイク」の略。軽量さを重視した設計でヒルクライムレースも楽にこなせるオールラウンドレーシングモデル。
- 「Liv」では「ランマ」がこれに該当する。
- プロペル
- ジャイアントロード三兄弟の中で、空力性能・最高速性能特化型のエアロロードバイク。「Liv」では「エンヴィリブ」が該当する。
- トリニティ
- タイムトライアル・トライアスロン用ロードバイク。2023年モデルではフレームセットのみ販売されていた。2024年モデルは刷新されなかった(代わりにCADEXブランドの「カデックス トライ」で展開している)。
- ディファイ
- ジャイアントロード三兄弟の中で、快適性・長距離走行に特化したエンデュランスロードバイク。「Liv」では「アヴェイル」がこれに該当。
- コンテンド
- エントリーグレードロードバイク。
- ロードE+
- ロードバイクタイプの電動アシスト自転車。
- ファストロードE+
- ロードE+のフラットバーバージョン。
- エスケープシリーズ(R/RX/Rドロップ/RX-E+/JR24)
- 名作クロスバイク。ジオス・ミストラル同様に安価で高品質だったことから日本でバカ売れ。街中を見回したら必ず1台以上は走っているぐらい多い存在。
- RがMTB由来のベースモデル、RXがロードバイク由来の設計モデル、RドロップがRにドロップハンドルを搭載したツーリングロードモデル、RX-E+が電動アシスト自転車、JR24が24インチジュニア用モデル。
- 台湾のmicroSHIFTのコンポーネントを一部採用したMS(R DISC MSやR3 MS)というモデルも存在している。
- RXの2024年モデルからはティアグラを採用したり、2025年モデルからCUESを採用したり、現行のシマノブランドの刷新も進んでいる。
- ファストロード
- エスケープをよりロード仕様に近づけたモデル(正確にはロードフレームをフラットハンドルにしたもの)。
- フォーマ
- エアロタイプクロスバイク。
- イディオム
- ミニベロタイプのロードバイク。
- クロスター
- 軽量タイプのクロスバイク。
- テン
- 日本向けのミニベロ。
- アニメーター16
- キッズバイク。
- プレプッシュバイク
- ストライダーみたいなペダル無しの足蹴り式キッズバイク。
- TCXシリーズ(TCX/エスポワール26/24)
- シクロクロスバイク。エスポワールはジュニア用モデルで26インチ・24インチモデルの2種類あり。
- リボルト
- グラベルロードバイク。
- グラビエ
- 700CではなくMTB系の27.5インチタイヤを装備したクロスバイク。
- スナップ
- フロントサスペンション付きのストリートマウンテンバイク。
- ARX24
- ジュニア用プレミアムマウンテンバイク。
- グローリー
- ダウンヒルレース用のマシン。
- レイン
- オフロードのエンデューロレース用フルサスペンションマウンテンバイク。
- スタンス
- オフロードトレイルライド用のフルサスペンションマウンテンバイク。
- トランスE+
- スタンスの電動アシストバージョン。
- ファゾム/ファゾムE+
- オフロードトレイルライド用のハードテイル(フロントサスペンションのみ搭載)マウンテンバイク。電動アシスト自転車もあり(E+)。
- アンセム/XTC
- クロスカントリーレース用フルサスペンションタイプのマウンテンバイク。
- タロン
- 準エントリーグレードのハードテイルマウンテンバイク。
- ATX
- エントリーグレードのハードテイルマウンテンバイク。セミブロックタイヤ・スタンド標準搭載で普段遣いにも適する。
- XTC JR24/20
- ジュニア用ハードテイルマウンテンバイク。24インチ仕様・20インチ仕様の2種類あり。
購入
GIANTはブランド物自転車としては購入のハードルが低く、全国に43もの直営店を設けている。また契約した自転車店と合わせ47都道府県すべてにジャイアントの販売/修理ネットワークがいきわたっている。
エントリーロードやクロスバイクであれば大手専門店などでも取り扱っているが、基本的に通販を行っていないため、欲しいバイクがあれば直営店に出向く必要がある。
関連動画
関連項目
外部リンク
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