曖昧さ回避
バーミンガムとは以下のものを指す
- イギリスの都市。ロンドンに次いで2番目の人口を誇っている。
- イギリスの艦船。近代以降は3艘が竣工している。
- アニメ「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」に登場する架空の艦艇。本記事で解説。
概要
地球連邦軍所属。改造艦であるドゴス・ギアについても本記事で解説する。
艦種と名称
戦艦または宇宙戦艦。連邦軍の戦艦としては集大成的な艦船であり、分類についての議論はない。
名称の由来は上述の都市名または旧世紀の艦船名から。連邦の戦艦名としては典型的な傾向であるが、ネームシップのみの建艦となったためシリーズ上の意図は不明である。
建艦までの経緯
一年戦争はその後の宇宙世紀の軍備について多大な教訓をもたらしたが、勝者となった連邦軍では生かされることはなく、モビルスーツ(MS)搭載能力を持たないマゼラン改級(MS戦能力を付与されたマゼラン後期型との関連は不明)やサラミス改級(0083型。搭載能力があったとする説もある)を再竣工させる。
理由については、MS戦を重視してきたレビル将軍以下の人材が相次いで戦死し旧来の保守派(艦隊戦派)が軍政の主導権を握ったこと、MS専用艦はその搭載機を含めて多大な費用がかかり戦後の軍縮要請がそれを許さなかったことなどが挙げられている。
また、異説として単純に砲術戦能力とMS能力を分担するドクトリンが取られたとする説もある。いずれにせよ、このような復古的な艦隊運用思想のもとで建艦が進められたのが本級である。
性能
全長・横幅・重量などについては不明である。ただ、観艦式の映像やのちのドゴス・ギアを見る限りでは他の連邦軍艦艇を大幅に上回っており、概ね400メートルから500メートルほどの全長を誇っているのではないかと推測される。
エンジンは熱核ロケットが超大型1基、大型2基、中型2基、小型2基。メインのエンジンに補助エンジンを付ける点ではのちのサラミス改級(Z時代)に近いが、これよりも規模が大きい。配置は船体後部に直接組み込む連邦軍の伝統を踏襲しているものの、数の多さからスマートには収まらず横長でハーモニカ状になっている。のちに主流となるムサイ型の独立系エンジン配置への過渡期にあるような印象を受ける配置である。
武装は主砲が2連装メガ粒子砲が5基。大型のものが単装1基。副砲が単装8基である。言うまでもなく同時代では最高水準の火力であり、のちのネェル・アーガマに匹敵する火力を保持している。
対空砲はレーザーで連装12基。戦艦としては標準的だが、レーザーであるため相対的な火力では一年戦争期のものより優位である。ただし、これは本級だけの特徴ではなく、同時期竣工のペガサス級アルビオンにも同様の装備が施されている。0083年前後は対空砲のレーザー化が盛んであったようだ。
ミサイルランチャーは12連装が2基。宇宙世紀の艦艇の中では多いが、さすがに主兵装とするには問題があり旧来の戦艦と同数に留まっている。
本級は艦隊旗艦としての役割も求められたため、通常の艦橋の他にも司令官用の艦橋が設けられている。それに伴い、当然に居住性は高かったものと推測される。
これら一連の高性能さと引き換えに、MS搭載能力は完全にオミットされている。
全体的な船形はマゼランの拡張であり、のちのラー・カイラムにも通じる外観をしている。しかし、両級と比べると前述のエンジン部の影響もあり、正面から見た場合やや横長で平べったい印象を受ける。
実戦と評価
連邦は本級の竣工をもってアースノイドの反乱分子をけん制できると考えたようだ。しかし、ネームシップであるバーミンガムは竣工後の0083年、晴れてコンペイトウ(旧ソロモン)で行われた観艦式に参加したが、ここでデラーズ・フリートによる核攻撃を受け他の艦艇と共に爆沈してしまう。
この事件は連邦軍上層部に衝撃を与え、MS戦主体の時代が到来したことを改めて認めざるを得ない状況に追い込んだとされる。
一年戦争と同事件においてなすすべなく沈んだマゼラン級と並び、連邦の旧態依然とした大艦巨砲主義の象徴となってしまった本級だが、いくつかの擁護もある。例えば、前述の分担ドクトリン説によれば、一年戦争期は必ずしもMSだけが活躍した訳ではなく艦隊戦も頻発していたこと、要塞戦には艦砲射撃が有効であったことなどからそれほど不合理ではないとする。
また、本来の役割は艦隊旗艦であるため、大規模艦隊戦を前提にするなら必ずしもMSの搭載は必須ではないと言う意見もある(これと対照的な設計だったのがグワジン)。その証拠に、連邦は同時期にアレキサンドリア級重巡洋艦を完成させており、この二艦でタッグを組むことが予定されていたのではないかと言う。
ただ、デラーズ・フリートが少数でも多大な戦果を挙げたように、もはや大規模艦隊戦を前提にすること自体に問題があったとも考えられる。そう言った意味で誤りは大艦巨砲主義的な装備ではなく、ドクトリンそのものにあったと言えなくはない。
つまり、教訓を無視したのではなく、将来の戦闘を予測できなかったのである。
ドゴス・ギア級
いずれにせよバーミンガムは欠陥艦と言うレッテルを張られ、一番艦が竣工しただけで建艦はストップ。デラーズ紛争を契機に結成されたティターンズは積極的にこの事件の教訓を取り入れ、MS戦能力に優れるアレキサンドリア級重巡洋艦を優先的に配備させることに成功する。
一方、マゼランを中心にした戦艦群はもはや第一線級とは見なされずに退役が始まり、サラミスはMS戦能力を大幅に拡張したサラミス改級として再竣工する。
このまま歴史に埋もれると思われていたバーミンガム級だったが、皮肉なことにティターンズの艦隊旗艦として再起することが決定され、再び歴史の表舞台に立つことになった(ドゴス・ギア級)。
バーミンガムとの改良点としては、MS搭載能力の付与がある。カタパルトも増設され、計14基と史上でも稀に見るほどの発進能力を備えた。この増設カタパルトの影響により、外観は双胴艦となっている。
武装も大幅に強化され、長砲身の単装メガ粒子砲が3基、連装副砲(と言っても通常の戦艦より大型)2基に改装されている。
また、防御力も宇宙世紀の艦艇の中ではかなり優れており、メガ粒子砲の直撃にも耐えている。これはバーミンガムも同様(核攻撃に耐えられないのはやむを得ないことであり、観艦式襲撃事件ではペガサス級のグレイファントムも沈んでいる)であったとする説もあり、本級の設計の優秀さを物語っている。
同型艦
- ドゴス・ギア
- MS搭載能力付与艦。0087年竣工後、ティターンズ艦隊旗艦に。0088年、味方の誤射により艦橋を破壊されバスク・オム司令官が戦死。そのまま沈んだと言う説と第一次ネオジオン抗争後も残存したと言う説がある。
- ゼネラル・レビル
- 二番艦。艦長はマセキ・ダンバエフ大佐。命名由来はレビル将軍から。本艦の竣工は一番艦竣工から実に約10年後であり、0090年代後半に見られた地球連邦の反動的な政策の象徴とされる。
- 全長は630メートル、横幅も優に200メートルを超える巨艦であり、連邦艦艇ではおそらく史上最大である。MS搭載は48機。ネェル・アーガマの捜索とUCガンダムの回収任務に当たる。
後継艦
歴代艦艇の中でも存在期間そのものが短く不遇であったバーミンガムではあるが、ドゴス・ギアを含めれば比較的長く建艦史に影響を与えたと言える。
また、直系とは言い難いがラー・カイラムには船型、特に艦橋の構造にその面影を見出すことができる。
その他よもやま
- ドゴス・ギアの方が作品の制作年代的には先行している(Zガンダム→0083)。このため、デザイン的にはドゴス・ギアがバーミンガムに影響を与えたと言うべきである。
- Zガンダム放送時点ではプラモデルの主力はすでにガンプラであったためか、まず立体商品化はあり得ないような奇抜で複雑なデザインとなっている。
- 有志の手によるガレージキットとしてたまに出品がある。また、コスモフリートコレクション からフィギュアとして商品化がなされている。
- ゲーム「機動戦士ガンダム 新・ギレンの野望」では、連邦軍はバーミンガムをやたらに量産するアレな思考ルーチンになっていた。確かに単体でのHPと一発の火力は高いのだが……。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 機動戦士Zガンダム
- 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
- 機動戦士ガンダムUC
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
- パプテマス・シロッコ
- グワジン
- マゼラン
- ネェル・アーガマ
- ラー・カイラム
- 5
- 0pt