マルクス経済学とはドイツの革命家、経済学者カール・マルクスの著作『資本論』から発展した経済学体系である。
概要
マルクスはアダムスミスとリカードの経済学をもとに「資本論」において独自の経済学の学問体系を打ち立てた。スミスやリカードの労働価値説を理論的基礎として、マルクスは剰余価値理論を発展させ資本主義を分析するのが特徴にある。
これに対してミクロ、マクロの基礎とする現在日本の経済学部が学んでいる経済学を近代経済学と言う。マルクス経済学と合わせて、それぞれ「キンケイ」、「マルケイ」などと呼称されることも。近代経済学はマルクス経済学の立場から「ブルジョワ経済学」と呼ばれることもある。というのも近代経済学(特にミクロ経済学)は経営者の立場から利潤最大化行動を分析するものであり、生きる人間であるはずの労働者を可変資本(経営者の都合で増やしたり減らしたりできるもの)として扱うことをマルクスが批判したからである。今でこそマルクス経済学を必修として学ぶ大学は殆どないが、昔は教授の半分がマルクス経済学を専門とし、学生もこぞって経済原論の教科書でマルケイを学んでいたのだ。
特に日本は世界から見てもマルクス経済学が発展しており、宇野弘蔵や伊藤誠など世界的マルクス経済学者を多数輩出した。しかしソ連や中国の政治的混乱と共に人気をなくし、ソ連の崩壊と共にマルクス経済学はオワコン化したと思われた……が、最近資本主義の暴走が取りざたされ再び注目されはじめている。(そもそもソ連とマルクス経済学が関係性が薄いのだが……)
マルクス経済学は価値論や景気循環、経済成長などを分析するものであり、その中には近代経済学に応用されているものも多い。数学を用いないと思われているが、数理的マルクス経済学(アナルティカルマルクス経済学)など数学的にマルクスを理解しようとする学問分野も存在する。マルクス革命思想の信憑性が地に落ちて久しいが、マルクスの資本主義分析はいまだに有効であるというのはキンケイの学者も認めるところである。マルクス経済学はいくつかの分派に分かれているが、現在のメインストリームは左翼イデオロギーとは比較的無関係でありマルクス経済学者だからといって必ずしも革命の使徒という訳ではない。
ノーベル賞には経済学賞があるが選定者が西側だったのでマルクス経済学者はいまだかつて選ばれたことはない。もしノーベル経済学賞を狙っている人がいたらマルクス経済学じゃなくて近代経済学(特に理論経済学)を勉強したほうが良いだろう。
関連項目
- 3
- 0pt
- ページ番号: 5625646
- リビジョン番号: 3129226
- 編集内容についての説明/コメント: