古細菌単語

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古細菌（アーキア）とは、原核生物の一グループである。細菌（バクテリア）、真核生物と共に、全生物界を3つに分類した3ドメインのうちの1つ。大きさ・形態は細菌と類似するが、生化学的性質を調べると細菌よりも真核生物に近い性質を持っている。

概要

古細菌とは言うが、古い細菌という意味ではない。初めはこの名の通り、真正細菌よりも古い起源をもつと考えられたが，現在では細菌が古細菌から分岐進化してきたものとは考えられていない。古細菌に近い系統から動物・植物を含む真核生物が生じたと考えられており、細菌より古細菌の方が真核生物に近縁である。

古細菌に類する生物は古くから知られてきたが、代謝や遺伝の仕組みなどにおいて細菌と大きく異なると知られてきたのは比較的近年のことである。

浄化槽や動物の消化器内などの嫌気性環境で有機物を分解してメタンを発生するメタン菌をはじめ、温泉などで増殖する好熱菌、塩田に生息する高度好塩菌などの系統がよく知られている。アーキアには難培養のものが多く、その多様性の全貌は人類にはまだうかがい知ることができていない。既知のアーキアは高度好塩菌を中心に数百種にとどまるが、地球上に存在する種数はこれより遥かに多いことは確実である。

人間の利用は、メタン菌を活用したメタン発酵が主なものであり、細菌に比べると限られている。一方、病原体となる古細菌はほとんど知られていない。細胞分裂の方式が細菌と大きく異なるので細菌の細胞壁合成を阻害する抗生物質（β-ラクタム系、グリコペプチド系）はほぼ効かないが、これが問題になることはない。

極端な高温、強酸、強塩基（アルカリ）、高圧力、強放射線に耐える極限環境微生物が多く属している。

細菌・真核生物との違いと共通点

図で示すと次のようになる。

	細菌	古細菌	真核生物
細胞壁	ペプチドグリカンなど	タンパク質など	糖鎖など
細胞膜	エステル型脂質	エーテル型脂質	細菌と同様
大きさ	1μm前後	細菌と同様	5μm以上
細胞の移動	細菌鞭毛、滑走	古細菌鞭毛	真核生物鞭毛、形状変化
細胞内小器官	剥き出しのDNAやリボソームなどのみを持つ	細菌と同様	細胞核、ゴルジ体、リソソーム、ミトコンドリア、葉緑体など多数
DNA	環状	細菌と同様	線状