永遠に訪れない五月祭とは、ゲーム「D.C.III ~ダ・カーポIII~」に登場する魔法である。
概要
この記事には、『D.C.III ~ダ・カーポIII~』というゲームの 核心部分にまつわるネタバレが多く記載されています。 ゲームを未クリアの方は、ここから下は自己責任で読み進めてください。 |
霧が地上を覆っていく・・・
私にはどうする事もできない・・・
助けて・・・
「D.C.III ~ダ・カーポIII~」のストーリーにおける、全ての元凶となった禁呪。
作中の説明に曰く、「ケルトに伝わる古い魔法」。名前の『五月祭』の部分は「バルティナ」と読む。
パラレルワールドの概念と同様、ギャルゲにおける他の分岐シナリオを絡めた演出。
禁呪という名が示すとおり、「人の手に触れてはならないもの」として王立ロンドン魔法学校・風見鶏に保管されていたのだが、未来を視る魔法によって自分が死ぬ未来を見た少女・陽ノ本葵によって発掘され、この禁断の呪法は日の目を見る事となった。
(彼女に曰く、「予知した未来を変えようとあがけばあがくほど、未来が絶対に変えられない事を悟り、絶望に駆られた結果『未来が永遠に訪れない世界を作ればいい』と思い立った結果、ロンドンに存在するといわれる魔法学校でその手段を探していた末に辿りついた」ものであるらしい。そんな危険なもの、学校ももっと厳重に管理しとけって。)
その結果、時間がループし続ける事で時間が1951年から先へ進む事は無くなったが、代償として呪法の媒介たる「人々の絶望や悪意」(詳細は後述)が謎の霧となってロンドン全土を覆ってしまい、同様に人々の絶望を霧を媒介として集める結果、時がループを繰り返すたびにその霧は濃さを増し、さらなる人々の悪意や欲望を呼び覚ます、そして霧はさらに・・・
といった悪循環を構成、ひいてはロンドンばかりか世界を混乱へと陥れる為、『禁呪』と呼ばれていた。
「D.C.」シリーズストーリーの基盤たる『枯れない桜』とは逆に、「あの場所でこうすればよかった」「あの時に言うべきだった」「あの日をもう1度やり直したい」などといった人々の後悔や絶望、悪意といった後ろ向きな感情を集め魔力とする事で、ワルプルギスの夜(4月30日)を終点として時間を半年前の11月1日まで巻き戻してしまう禁呪である。そして、人々(魔法使い、一般人を問わず)の記憶は4月30日・24時を迎えると同時に半年前のセーブポイントたる11月1日の状態まで初期化・リセットされるため、人々は特定の時間が延々ループし続ける世界の中に存在しながらもそれらに関する記憶が一切無く、有能な魔法使いすらも「時間がループした」事実を知る事さえないまま同じ時間を永遠に繰り返し続ける。
だが、例外として禁呪を発動した術者(葵)だけはその影響を受けず、ループし続ける時間で発生した全ての出来事を記憶している。或いは他にも、『Da Capo編』では葵以外にも清隆とヒロイン達のように「固い絆を作り上げた」相手同士であれば過去の出来事が記憶の残滓として残っているケースもあるらしく、デジャヴを感じる程度に思い出せる事もあれば、とあるきっかけから過去の行動や言動の一部始終までもを思い出せるケースもあるようだ。
そしてこの禁呪を発動するには、その時間軸に本来存在してはならないもの(エリザベス学園長に曰く、「ピーターパンの『ロスト・ボーイ』」)を「生贄」として現代の時間軸へ連れて来る必要があり、それに選ばれたのが前作「D.C.Ⅱ」で枯れない桜の中へ取り込まれた芳乃さくらだったのである。
台詞の中でピーターパンと絡めたネタがやけに頻出すると思ったら、まさかここの伏線だったとは。
風見鶏編のストーリーが(時系列的に)、地上で記憶喪失状態のまま迷子になっていた芳乃さくらとの邂逅、というシーンから開始されるのも全てはさくらが前作「D.C.Ⅱ」の時代(西暦2056年)からこの禁呪の導きによって1950年11月1日のロンドンへ飛ばされてきたためらしい。(この際、禁呪の影響で記憶を喪失してしまった)
風見鶏編においてストーリー中でも「辺りに立ちこめる謎の霧とカラカラ回り続ける車輪の中から、助けを求める少女の声が聞こえる夢」といった形で断片的に登場するが、上記の事実が判明するのは葵以外のヒロイン4人を攻略完了後、彼女のシナリオにて彼女の身体に刻まれた紋様と共に明かされる。
葵によれば上述の内容に加え、時間がリセットされる度に体の紋様は全身に広がっていき、地上の霧が濃さを増すと共に犯罪行為が手の込んだ危険なものへと変わっていくようになったという。このような事態は彼女も当然ながら望んでなどおらず、延々回り続ける時間の中で1人苦悩し続けていたところを、清隆の説得を受けた事で考えを改め、未来を受け入れるために呪法を解除するべく行動を起こす。
しかし、度重なる時間のループの中で(ゲーム中では葵ルートの時点で何度世界がループしたかが明かされないものの)霧は人々の悪意や絶望を蓄積していった結果、術者である葵自身にも解除ができなくなるまでに成長を遂げていた。
そのため、葵が行った解除の儀式も空しく時間は再び11月1日まで巻き戻され、そこからさらに年明けを迎えた1月11日、葵はかつての恋人だった清隆に「時間が永遠にループし続けている」という話を打ち明ける。自分しか知らないはずの秘密や情報(過去のループ世界で、清隆自身が葵に明かした情報など)を次々口にする彼女に清隆も話を段々信じざるを得なくなり、ひいては霧を晴らすためにリッカ達生徒会を含めた風見鶏総出の作戦が展開されるが・・・
そして判決の日たる4月30日、リッカ達の立案した「枯れない桜の奇跡」作戦によってついに霧は晴れ清隆達はループ世界から解放され、さくらは家族が待つ元いた時代へ帰る事になったが、『霧が晴れると同時に最後の時間ループが発生する』衝撃の事実が最後に判明。さくらが本来の時代へ帰った事で「禁呪が介入せず、さくらが最初から存在しない本来の時間軸へと帰還し、本来の11月1日からの日々を過ごす」事を知った清隆達は、「故郷・初音島で、『今ここにいるみんなで』桜の下で花見をしたい」という約束を果たす為に・・・?
Da Capo編の中では、さくらがいつ本来の時間へと帰還したのかは語られていないのだが、最後のループが始まると同時に元の世界へタイムスリップを果たしたものと推測される。また同様に、さくらが帰還したのは2056年から2076年2月の間という部分しか判明していないので、どの年代から戻ってきたのかも不明。D.C.Ⅱのファンディスクのシナリオ(本編から数ヶ月後~2・3年後などを描いた、ヒロイン達との後日談など)では基本的に、さくらは行方不明と扱われているようなので2060年以降と考えるのが妥当であろうか。しかし初音島編では「学園長が姿を消して、すぐに戻ってきた」との発言もあるため、結局どうなのかはわからない。
また本作のDa Capo編ラストでは、禁呪「永遠に訪れない五月祭」が消滅した事で巻き戻され続けた世界(=ヒロイン達とそれぞれ結ばれた世界)が同様に1951年5月1日以降へと時を刻み始め、それぞれ並行世界として分岐を果たしているのでは?という可能性も示唆されている。
これらの真相については、ファンディスクの発売を待つしかないようだ。
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