白川郷・五箇山の合掌造り集落とは、日本の世界遺産(文化遺産)である。1995年12月登録。
岐阜県白川村と富山県南砺市にみられる、合掌造りの集落群である。
概要
合掌造りとは、「小屋内を積極的に利用するために、叉首構造の切妻造り屋根とした茅葺きの家屋(政府による定義)」である。この「合掌造り」という名前は、丸太を三角形に組んだ様子を掌を合わせる「合掌」に見立てたことから来たとされる。
特徴的な屋根の傾斜は、雨や雪などの降水対策によるものと考えられている。また、屋根裏では家内工業として養蚕や紙漉きなどが行われていた。
戦後は開発や人口流出などが重なり、合掌造り家屋が激減していく。伝統が失われることを危惧した住民らは集落を守るための運動を起こし、国による文化財の指定を受けるに至った。荻町集落では「売らない、貸さない、壊さない」の三原則を掲げて保存活動を行っている。
世界遺産登録とその後
登録基準
世界遺産の登録基準4と5に該当している。このうち、
5.ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
に該当する日本の世界遺産は、本件と「石見銀山遺跡とその文化的景観」のみである。
なお、住民が生活している村落として登録されたのは、1987年のホッローケー(ハンガリー)、1993年のヴルコリニェツ(スロバキア)に次いで3件目である。
登録対象
白川郷、五箇山各地域のうち、合掌造りの集落が良好に残っている以下の3集落が登録対象となっている。
荻町集落(白川郷)
3集落の中で最も大きく、登録地域の約3分の2を占める。
合掌造りの建物は60棟あり、交通の便も良いことから観光地化による影響が最も大きい。
相倉集落(五箇山)
菅沼集落(五箇山)
問題点
登録によって、急激な観光地化が問題となっている。特に、一部の観光客のマナー違反によって、本来の物静かな農村の姿が失われてしまったという声が聞かれる。
白川郷・五箇山は実際に住民が生活している場所であり、「テーマパーク」などではない。住民たちによる、「合掌造り」という伝統や文化を遺すための活動へ理解をもって、見学に臨んでもらいたい。
ギャラリー
白川郷の和田家(重要文化財)で撮影されたもの。合掌造りの一例(ニコニ・コモンズより)。
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関連項目
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