科学特捜隊とは、「ウルトラマン」に登場する防衛組織である。
概要
正式名は「科学特別捜査隊(Science Special Search Party)」
略して「科学特捜隊」または「科特隊」とも呼ばれる。
フランスに本部を置く国際科学警察機構の下部組織で、一般の警察では対処できない怪事件や異変の調査、宇宙からの侵略に対する地球防衛を任務としている。
アメリカ、中近東、インドなど世界各国に支部を持っており、「ウルトラQ」での様々な怪事件の多発から同作登場人物の一ノ谷博士が中心となって日本支部が設立された(放映後に発刊された怪獣大全集の裏設定で、本編で説明は無い)。
後継のウルトラシリーズの防衛組織と違うのは、あくまで警察組織の一つであって軍事組織ではないこと。
怪獣との戦闘は特別任務であり戦闘よりも調査に重点を置いている他、日本支部では科学センター所属の岩本博士を筆頭にして様々な分野の科学者が顧問についているため、後継の防衛チームと比べると圧倒的に調査や情報収集、分析能力に優れている。
極東支部正隊員
本編では以下の5名しか登場しないが総勢では100人の隊員が日本支部で活動しており、ムラマツ隊長を筆頭にした分隊長以下のメンバーが各自存在しているとされる。
- ムラマツ・トシオ(演:小林昭二)
極東支部ムラマツ班の隊長。「キャップ」とも呼ばれる。冷静沈着な判断力と優れたリーダーシップを併せもち、隊員達を見守る良き隊長。時には特別で休暇をくれたりと気前の良い所もある。怪力自慢なアラシ隊員に負けず劣らず、ダダをボコボコにするなど格闘戦も滅法強い。 - ハヤタ・シン(演:黒部進)
科特隊養成所を首席で卒業したエリート隊員で副隊長。ジェットビートル操縦の腕前は抜群でパリ本部から直々に国際宇宙開発のロケット操縦指導者に抜擢されるほどのエースパイロット。小型ビートルでパトロール中にベムラーを追って地球にやってきたウルトラマンと衝突して命を落としてしまうが、彼と一体化することにより復活する。真面目な性格だがくじ引きでインチキしたり、ベータカプセルをよく落としたり忘れたりとヌケてる所もある。 - アラシ・ダイスケ(演:石井伊吉)
極東支部きっての武闘派隊員。射撃の名手にして怪力の持ち主で、愛用のスパイダーショットを始めとした重火器は主に彼が運用する。イデ隊員とはよくコンビを組んで活動する。 - イデ・ミツヒロ(演:二瓶正也)
科特隊きっての天才発明家。マルス133やスパーク8など様々な新兵器や装備を開発しており、度々怪獣達相手に大活躍を見せる。ムードメーカーではあるが時にナイーブな一面を見せる時もある。 - フジ・アキコ(演:桜井浩子)
ムラマツ班の紅一点。主にオペレーターを担当している。
入隊してから一度も休んだことがないという事実が発覚しており、意外に科特隊がブラックな職場ではないかと疑われることも。メフィラス星人によって巨大化させられてしまい、怪獣扱いされてしまうことに……。
関係者
- 岩本博士(演:平田昭彦)
科学センター所長。ジェットビートルの設計者であると同時に、フェニックス号やしらとり号など高性能宇宙船も開発している。冷静な判断と分析力で科特隊をサポートする。イデと同じく隊員達が使用する新兵器も開発しており、最終話ではこれが切り札となった。 - ホシノ・イサム(演:津沢彰秀)
科特隊基地に出入りをしている少年。小学生ながら積極的に情報収集を行ったり、ネロンガの目をスパイダーショットで潰したり、巨大ラゴンの囮になったりと大人顔負けの活躍も見せる。
中盤から準隊員となるが25話を最後に登場しなくなる。(演者が怪我したため)
メカニック
後継の組織と比べると戦闘機のバリエーションに乏しく、奇抜さとは無縁な堅実な機体が多い。
- ジェットビートル
科特隊の主力戦闘機。武装は主翼に装備されたロケットランチャーの他、マルス133などイデ隊員が開発した新兵器をコクピットの銃架に装着して使用可能。
機体下部のハッチからナパーム弾を投下したり、速射ロケット砲を装備したりとかなり万能。
基本は大気圏内でしか運用できないが、岩本博士が開発したハイドロジェネートロケットエンジンを追加装備することで宇宙空間に飛び立つこともできる。 - 小型ビートル
主にパトロールで用いられている三角型の全翼機。垂直離陸式のジェットビートルと違ってSTOL機であり、かなり急角度で発進・着陸をする。機首のレーザー砲とフラッシュ弾で武装している。後半はジェットビートル複数機で出撃するようになったので出番は少ない。 - 特殊潜航艇S号
水中調査に用いられる小型の潜水艦。ジェット魚雷で武装する他、ソナーや水中カメラなども装備している。量産もされており、S16・S21・S25号と複数の機体が登場。基本はジェットビートルで目的地に輸送して運用されるので全長は10m未満とかなり小さく1人乗りだが、S25号のみジェットビートルよりも大きく乗員数も増えている。 - ベルシダー
イデ隊員が開発したドリルで掘削して地中を進むオーソドックスなタイプの地底戦車。地底魚雷とレーザー光線銃を装備している。 - 科特隊専用車
主にパトロールや事件現場へ移動する際に使われる銀色のシボレー・コルベア。フロントとルーフに科特隊の流星マークがマーキングされている。通信機は搭載しているが、それ以外に特殊な機能は持っていない。
装備・武器
隊員が使用する科特隊の武器装備は後継組織と比べるとかなり豊富。
- 制服
普段は青いブレザーを着用しているがその下にはオレンジ色の戦闘服を二重に着込んでおり、出動時は一瞬でこちらに着替える。どちらでもネクタイがついており、放射線や毒ガスなどの危険を感知してランプが点滅するセンサーとなっている。 - スーパーガン
隊員が携行する小型光線銃。通常は稲妻状の光線を撃つが、連射弾や貫通レーザーなど用途に応じて撃ち分けられる。威力は小さく怪獣はおろか等身大の宇宙人相手でも牽制程度にしかならないが、銃口を重ねて撃つと格段に強化される。最初からそうすればいいのに。
最大の特徴として銃口に様々なアタッチメントを装着することができ、麻酔弾や小型ランチャー、小型ミサイルなど色々発射が可能で恐ろしく万能である。 - スパイダーショット
アラシ隊員が主に使う大型光線銃。熱線から火炎放射など色々な種類の攻撃が可能な他、スーパーガンほどではないがアタッチメントも装備できる。怪獣に対してはスーパーガン単体よりはダメージを与えることが多く、主に怪獣の目などを潰す活躍をしている。 - マルス133
イデ隊員が開発した強力なレーザーライフル。理論上はスペシウム光線と同じ威力を発揮するとされ、さすがに怪獣を倒すことこそできないがゴモラの尻尾を切断して大ダメージを与えたり、スペシウムが苦手なバルタン星人には効果絶大とかなりの戦果を挙げている。 - マッドバズーカ
ホシノ君のアドバイスを元にイデが開発した大型バズーカ砲。マットバズーカじゃないよ。
スーパーガンのアタッチメントより強力な弾丸を発射する。中盤からの登場なのでケムラー、テレスドン、ジャミラ、ゴルドンと使用回数は少なめ。
戦績
科特隊で特筆すべきはやはり歴代防衛チームでも屈指の巨大怪獣撃退率の高さであろう。
岩本博士ら科学分野の専門家のバックアップやイデ隊員開発の新兵器はもちろん、理詰めで堅実な作戦・戦術で怪獣の弱点を的確に突き弱体化させる等、度々ウルトラマンを間接的にサポートしている。
そればかりか、ウルトラマンに頼らず単独で巨大怪獣を撃退したりと主題歌の歌詞にもある怪獣退治の専門家の名に恥じぬ活躍ぶりを見せている。
これらの輝かしい実績から同じく大活躍をしたZATと双璧を成す最初にして最強の防衛チームと評されている。
以下が科特隊の活躍によって撃破、もしくはウルトラマンが完勝するのに大きく貢献した相手である。
(科特隊が実質的な撃退に成功した怪獣は★ 等身大の相手は★ 宇宙人の円盤は★)
- アントラー★
スペシウム光線が効かない強敵。
キャップがバラ―ジの青い石を投げつけることで撃破。 - スフラン★
スパイダーショットの火炎放射で撃退。 - マグラー★
ハヤタ、キャップの投げたナパーム弾によって撃破に成功。 - レッドキング(初代)
アラシ、イデの風船爆弾による目潰しが効いて本領を発揮できなくなり、ウルトラマンに一方的に倒される。 - ミイラ人間★
スパイダーショットで射殺。 - ドドンゴ
両目をスパイダーショットで潰し、得意技の怪光線が使用不能になる。 - ペスター★
石油の溜まった急所の腹にビートルのロケット弾を浴びせ、致命傷を負わせる。
ウルトラマン登場時には既に虫の息で戦闘不能状態のままトドメを刺された。 - ガマクジラ
ロケット弾による打ち上げでウルトラマンがまともに格闘を行うことなく撃破に成功。 - バルタン星人(二代目)★
等身大の個体を新兵器マルス133で5体撃墜。 - バニラ★
アボラスとの同士討ちを狙い、原子弾を目に撃ち込んで戦闘不能に追い込むことに成功。
トドメはアボラスが刺した。 - ケムラー★
スペシウム光線が効かない強敵・第二号。
新兵器マッドバズーカを背中の急所に撃ち込み、撃破に成功。 - ギガス★
ジェットビートルから強力乾燥ミサイルを撃ち込み、撃破。 - ゴモラ
最大の武器である長い尻尾をマルス133で切断され、戦闘力が大幅に低下。
ウルトラマンとの再戦では本領を発揮できずに敗北した。 - ゴルドン★
二体出現するが、一体目をマッドバズーカのコロナ弾とスーパーガンの連続攻撃で撃破。
ウルトラマンが二対一で戦う不利な状況になる事態を防いだ。 - ケロニア★
円盤群多数をジェットビートルで撃墜。数が多すぎたために残りはウルトラマンが全滅させた。 - スカイドン
20万トンという超重量と防御力からウルトラマンも一時退散した相手。
様々な作戦で宇宙に送り帰そうと試み、最終的に水素を注入して空に浮かべることに成功したがトラブルで地上へ落下し始める。直後、ウルトラマンの特攻によって撃破に成功。 - ザラガス
強力なフラッシュでウルトラマンを失明させて窮地に追いやった強敵。
新兵器QXガンを口の中に撃ち込むことによって体内から脳細胞を破壊することに成功。ダメ押しにウルトラマンのスペシウム光線でトドメを刺された。 - 再生テレスドン★
スーパーガンのトリプルショットによって撃破。 - 再生ドラコ★
新兵器スパーク8によって跡形も無く粉砕。 - ジェロニモン★
ウルトラマンが押さえ込んでいる隙にスパーク8によって粉砕。 - サイゴ★
Q星探査のスペースタンク搭載のSNKミサイル連射で撃破。 - ゼットン星人★★
円盤群を母艦以外、ジェットビートルで全滅に成功。
基地に侵入した個体をマルス133で射殺。 - ゼットン★
ウルトラマンを完膚なきまでに叩きのめし敗北させた最強の敵。
岩本博士が完成させたばかりの新兵器、ペンシル爆弾を撃ち込むことで撃破。
関連動画
関連項目
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