アマンテビアンコ(Amante Bianco)は、2021年生まれの日本の競走馬。白毛の牡馬。
概要
父*ヘニーヒューズは現役時アメリカのダート短距離でG1を2勝。種牡馬入り後、日本に輸入された数少ない産駒からヘニーハウンド(ファルコンS)やケイアイレオーネ(兵庫JG、シリウスS)が活躍したことに注目され、2013年秋に優駿スタリオンステーションに輸入された。その後、アメリカに残した産駒ビホルダーがG1計11勝の女傑へと成長。日本でも、アジアエクスプレス(朝日杯FS)・モーニン(フェブラリーS)・ワイドファラオ(かしわ記念)・アランバローズ(全日本2歳優駿)など安定して活躍馬を輩出。特にダートに強く、中央におけるゴールドアリュールとキングカメハメハ没後のダート種牡馬の雄という立ち位置を確立し、2020年代には非社台系種牡馬の中ではトップ格のリーディング順位を保っている。
母ユキチャンはシラユキヒメの産んだ白毛馬で、2008年関東オークスで日本初の白毛馬による重賞制覇をはじめ、地方交流重賞3勝。繁殖に入った後、2番仔シロインジャーの娘に重賞6勝の暴走お嬢・メイケイエールが出ていたが、直仔ではこの7番仔アマンテビアンコが初の重賞産駒である。
母父*クロフネは2001年にNHKマイルカップ・ジャパンカップダートの芝ダート二刀流GI制覇を達成し、特にダート界では日本歴代最強馬論争にも名の挙がる存在。種牡馬としては特に牝馬の活躍産駒が豊富なため、母父としても大きな影響力を有している。
生産は安平町・ノーザンファーム、シルクレーシングから8万円×500口で募集。美浦・宮田敬介厩舎所属。主戦騎手はクリストフ・ルメール。
馬名の意味はイタリア語で「恋人+白い」。つまり「白い恋人」。当歳馬の頃は耳やたてがみに父ヘニーヒューズの毛色である栗毛が見られたが(関連動画参照)、デビューの頃には母ユキチャンよろしくほぼ真っ白になった。ただ目の周囲にはそばかすかフェイスペイントのように黒い斑点が目立つため見分けやすい。また白い体表の下には黒い斑点があちこちに隠れており、レースで馬体が温まるとそれが浮かびあがるのは叔父シロニイやいとこのハヤヤッコ同様の特徴。
戦歴
「白い恋人」デビュー
2021年1月25日誕生。仕上がりも早く2歳6月にはデビューを迎え、父系・母系の血統どおりダート路線を選択。その時点で534kgの馬格を有していた。東京競馬場ダート1400mの新馬戦をクリストフ・ルメールを背に、中団待機からの差し切りで快勝。
続く10月の1勝クラス・プラタナス賞(東京ダート1600m)は、今回も中団からレースを進めるも平均ペース前残りの展開で先行したイーグルノワール(この後兵庫JGを制覇)に全く届かず3着。
11月の同じ府中ダートマイル戦・カトレアステークス(OP)に向かい、今度は馬群の中からじわじわと脚を伸ばして最後のひと伸びで差し切って勝利。3戦2勝で2歳を終えた。
3歳(2024年)は2月14日の雲取賞(JpnIII)から始動。この年からダートグレード競走に格付けされ、また新設された3歳ダート三冠の一冠目・羽田盃へのトライアル競走[1]に指定されていた。アマンテビアンコはスタートで大きく躓いてしまい、立て直して4番手で追走、直線で末脚を伸ばすも逃げを打ったブルーサンを2馬身捉えられず。しかし2着で優先出走権を確保し、羽田盃へ駒を進めた。
3歳ダート三冠路線初年度:羽田盃
ところが、これまで4戦全てに騎乗したクリストフ・ルメールが3月30日のドバイターフで落馬。鎖骨・肋骨骨折に加え肺気胸という大怪我を負い、4月24日の羽田盃(JpnI)(大井ダート1800m)は川田将雅が鞍上を務めることとなった。
記念すべきJpnI格付け初年度の2024年4月24日・第69回羽田盃(リアルスティール賞[2])だが、16頭フルゲートに対し8頭立て。JRA4・地方12の枠配分に対し、JRAは優先出走権を得た4頭が順当に枠を埋めたが(雲取賞1・2着のブルーサン・アマンテビアンコ、京浜盃2・3着のアンモシエラ・ハビレ)、地方勢では京浜盃を圧勝したサントノーレ(大井)が骨折、ほか有力馬の故障や回避が相つぎ手を挙げる補欠馬もなく、1973年と並ぶ羽田盃では過去最少タイの出走頭数となった。
雨の降りしきる不良馬場の中、アマンテビアンコは4枠4番からスタート。最内の牝馬アンモシエラ、地方勢のティントレット、大外のブルーサンの3頭がハナ争いをする中、それを見ながら4番手に構えた。3角でブルーサンが早くも脱落するとともに外目から進出を開始。4角でティントレットも脱落し、直線ではアンモシエラとのマッチレースとなったが、残り100mで捕まえると、最後は1馬身競り落とし1着でゴールイン。
初重賞制覇をJpnIで飾り、また3歳ダート三冠路線改革初年度の最初の一冠という記念の勝ち馬ともなった。ヘニーヒューズ産駒では2020年全日本2歳優駿のアランバローズ以来のGI級競走制覇。また白毛馬で初のダートGI級競走制覇・白毛牡馬初のGI級競走制覇であり、母ユキチャンにとっても直仔で初の重賞産駒となった。
この結果により6月5日の二冠目東京ダービー(JpnI)の優先出走権を確保。順調ならば「白い恋人」が二冠目を狙う。
血統表
*ヘニーヒューズ Henny Hughes 2003 栗毛 |
*ヘネシー Hennessy 1993 栗毛 |
Storm Cat | Storm Bird |
Terlingua | |||
Island Kitty | Hawaii | ||
T. C. Kitten | |||
Meadow Flyer 1989 鹿毛 |
Meadowlake | Hold Your Peace | |
Suspicious Native | |||
Shortley | Hagley | ||
Short Winded | |||
ユキチャン 2005 白毛 FNo.2-w |
*クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | |||
*ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | ||
Eliza Blue | |||
シラユキヒメ 1996 白毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
*ウェイブウインド | Topsider | ||
Storm and Sunshine |
クロス:Hold Your Peace 4×5(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
- 母ユキチャンは2008年関東オークス・2009年クイーン賞・2010年TCK女王盃の重賞3勝。日本初の白毛の重賞馬であり、2010年NARグランプリ最優秀牝馬受賞。本馬は7番仔。
- 半姉シロインジャー(父ハービンジャー)の産駒に、重賞6勝のメイケイエール(父ミッキーアイル)がいる。
- 祖母シラユキヒメは突然変異で誕生した白毛馬で、サンデーサイレンス産駒中たった一頭の白毛。子孫からハヤヤッコ、ソダシ、メイケイエール、ママコチャなど活躍馬・話題馬を輩出しており、主なファミリーラインはシラユキヒメの項目を参照のこと。
関連動画
- ユキチャンに会ってきました We have met Yuki-chan! - YouTube
- ユキチャンと共にいる当歳馬がユキチャンの2021=アマンテビアンコ。なお、途中に映っているブルーメンブラットの2021は、のちのシュトラウス(競走馬)である。
関連リンク
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- レライタム
- シンエンペラー
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- フォーエバーヤング
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- ダノンデサイル
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- ステレンボッシュ
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