ギラッド・ペレオン(Gilad Pellaeon)とは、「スター・ウォーズ」サーガの登場人物である。
この記事では、主にレジェンズ作品のキャラクターとしてのペレオンについて詳述するとともに、カノン作品での登場(邦訳は「パレオン」)についても記述する。
レジェンズにおける概要
ギラッド・ペレオンは銀河帝国の軍人であり、なかでも誠実な人柄と高い能力、そして忠誠心によって高く評価されている人物である。特にその後半生における活躍は、まさしく帝国の宿将と呼ぶに相応しいものであった。
彼が歴史の表舞台に立ったのはすでに新共和国の時代に入って以後のことであったが、急速に崩壊しつつあった帝国の立て直しと再編に心血を注ぎ、インペリアル・レムナント(残存帝国軍)の指導者、銀河帝国の老将、最高司令官として歴史上に名を残している。
経歴
クローン大戦コミックや第二次銀河内戦期など邦訳されていないもの、オリンダ戦役など設定以外の記述がないものに関してはWookieepediaなどを参考に補完した。また、第二次銀河内戦期などの固有名詞の中には既存の邦訳作品に登場しないものが多くあるため、表記の後に原語の綴りを付記してある。
前半生
帝国軍人として知られるペレオンだが、彼の生まれはクローン大戦より数十年前にまで遡る。実際の所、彼はモン・モスマやギアル・アクバーといった反乱同盟軍の英雄たちどころか、アナキン・スカイウォーカーなどと比べても歳上なのだ。ギラッド・ペレオンは、帝国の勃興から繁栄と衰退までを見守った、銀河内乱の生き証人なのである。
クローン大戦まで(51-19BBY)
旧共和国時代、ヤヴィンの戦いから遡ること51年前、コレリアに生まれコルサントで育ったペレオンは、年齢を偽って15歳で入学したレイサル・アカデミーを優秀な成績で卒業し、当時の共和国の治安維持軍ジュディシアル・フォースに入った。配属された惑星ギャヴリン(Gavryn)の警備部隊で、輸送船団を海賊から護衛して名を挙げ、その後の昇進のきっかけを掴む。
ジオノーシスの戦いでクローン大戦が始まると、彼は共和国グランド・アーミーの士官としてアクラメーター級揚陸艦<レベラー(Leveler)>の艦長に抜擢された。彼はクローン大戦を通して優秀な士官として活躍を続け、他の士官の認識とは異なりクローンたちを人間として尊重するようになっていったという。
帝国の興亡(19BBY-4ABY)
共和国が解体され帝国となると、ペレオンは最初期のインペリアル級スター・デストロイヤー、<キメラ>のブリッジ士官に抜擢されることとなる。以後幾十年にも渡り座乗艦とする艦との出会いであった。ペレオンはその後も<キメラ>で順調に昇進し、ポルン(Poln)での任務でスローン上級大佐とともに<キメラ>を救った功績によって艦長に就任。<キメラ>もインペリアルⅡ級へとアップグレードされた。
彼が50代半ばに達した頃、<キメラ>は第二デス・スターの護衛任務についた。この艦はエンドアにおける帝国軍の副司令艦となったが、エンドアの戦いで旗艦<エグゼキューター>が轟沈。さらに戦いのさなかに<キメラ>に座乗する提督も戦死し、ペレオンが<キメラ>の最高指揮官に昇任することになる。数の上では圧倒していたにもかかわらず、皇帝を失ってから瞬く間に秩序を乱して劣勢となる帝国艦隊を見て、彼は慎重にアナージへの撤退と再結集を命じ、少なからぬ艦が彼に従った。
だが、階級ではいち艦長にすぎないペレオンでは、我の強い帝国軍の指揮官たちを統制しつづけることは不可能事だった。撤退したなかの最上級者として決断を委ねられたプリティック提督も優柔不断が過ぎ、ブリッツァー・ハースクのように早くも勝手な離脱を決め込む指揮官すら出始めた。帝国軍が分裂の様相を呈しはじめるなか、ペレオンと彼の<キメラ>は中央政府の指導下に残った。
帝国の崩壊(4-10ABY)
皇帝が死んだ時、帝国の王冠にはいまだ全銀河の過半が飾られていた。残された権力者たちが総力を上げれば、反乱同盟軍はたちどころに壊滅してしまっただろう。しかし、そうはならなかった。
皇帝の死が伝えられると、軍の司令官たちは自身の艦隊を手中に収め、モフは治める領域で独立を画策した。帝都インペリアル・センターことコルサントに残された高官たちは皇帝の玉座を巡って血みどろの争いを起こした。反乱同盟軍はその隙を突いて勢力を拡大し、ついにはコルサントを奪取して新共和国の成立を宣言した。
新共和国の台頭(4-8ABY)
反乱同盟軍、すなわち新共和国が破竹の勢いで支配領域を広げていく中で、ペレオンはバラバラの帝国軍を必死にまとめあげた。反乱軍に対しては相次ぐ敗退と撤退を重ねざるを得なかったが、帝国の支配権を巡るセイト・ペスタージュやイセイン・アイサードの権力闘争はさておき彼はミッド・リムの支配をどうにか再構築し、衰退の一途をたどる帝国をひとつにまとめあげることに精力をかたむけていたのだった。
この頃、ペレオンの指揮下にあった<キメラ>は銀河でもっとも効率的に運営されている帝国軍スター・デストロイヤーという評判を獲得しており、ペレオンの努力の一端を垣間見ることができる。そしてイセイン・アイサードの敗北でバクタ戦争が終わり、帝国の余命も風前の灯火となった9ABY、未知領域から一人のチスが現れる。13人目の大提督、銀河最高の戦略家にして戦術家、スローン大提督の帰還である。
スローン大提督の逆襲(9ABY)
スローン大提督は未知領域から帰還すると<キメラ>を座乗艦とし、旧知のペレオンの艦隊を手中に収めた。ペレオンは引き続き<キメラ>の艦長としてスローンの副官役を務め、その比類なき頭脳と生み出される戦略戦術を間近で見ることとなる。彼はこの青い肌に白い軍服を纏ったエイリアンの考え方を完全に理解できたわけではなかったが、この戦争の天才の薫陶を受けたことが後のペレオンの戦いに大きな影響を与えたことは疑いようがないだろう。
スローン戦役の間、ペレオンはずっとスローンの右腕として活躍した。<キメラ>の指揮に留まらず、他愛のない戦闘では各艦への戦闘指揮を代行することもあった。また司令官室でスローンの美術品鑑賞の相手をさせられたり、フォースを遮る生物イサラミリやスローンが助力を仰いだ狂ったクローンのジェダイ・マスター、ジョラース・シボースに悩まされることもあったが、スローンの策略で新共和国が混乱に陥り、かつてのごとく強力に統率された帝国が急速な再拡大を遂げる中では些細な事にすぎなかった。
新共和国はビルブリンギの造船所を奇襲することで状況の打開を図ったが、スローンはそれを完璧に予測してのけた。しかしスローンほどの天才でも、かつて帝国が欺瞞によって味方に引き入れたノーグリのボディガード、ルクが裏切ることまでは予測し得なかった。ビルブリンギでの戦いが帝国の優勢に終わりかけたその時、スローンはルクによって暗殺され、ペレオンは再び帝国軍に撤退と再編成を命令することを余儀なくされたのだった。
シャドウ・ハンド作戦(10ABY)
スローンによって急拡大した帝国はその死により再び縮小した。ペレオンがミッド・リムで艦隊の再構築に躍起になり、デレク・クレンネル提督率いるシウトリック・ヘゲモニーと新共和国との戦いが繰り広げられている頃、ディープ・コアではクローンに精神を移して復活した皇帝パルパティーンがついに姿を現し、帝国軍の司令官たちを瞬時に取りまとめていた。ディープ・コアの司令官たちはスローン戦役のさなかもその攻勢にほとんど関与しようとしなかったため、十分な戦力を残していたのである。
ペレオンは皇帝の復活を知らなかったが、クレンネルの敗北の直後、帝国軍がディープ・コアに集結し統率のとれた奇襲で銀河首都コルサントを奪還すると、彼らと共に新共和国に対し攻撃を開始した。ほどなくして発動したシャドウ・ハンド作戦において新共和国は壊滅的な打撃を受けたが、ルーク・スカイウォーカーらの活躍によって皇帝は最終的な滅びを迎える。残された帝国は再び生き残った司令官たちの意のままに動かされることになった。
シャドウ・ハンド作戦でペレオンは<キメラ>を戦闘の末に放棄し、部下の多くも失った。彼は副提督に昇進していたが、座乗艦も部下も基地もなく、トルーテン・テラドク高位提督の下で深紅のヴィクトリー級スター・デストロイヤー73隻からなる高機動部隊、クリムゾン・コマンドの司令官として活動する道を選ばざるをえなかった。
統一と再編(12ABY)
復活した皇帝が滅びた後、皇帝に従っていた司令官たちは艦隊を率いて銀河の深淵ディープ・コアに撤退した。彼らはそこで大将軍(ウォーロード)となって軍閥を形成し、いがみ合いと勢力争いを再開した。
ほとんど居住星系もないディープ・コアで仲間割れを起こす帝国の残党たちは、もはや新共和国の脅威ではなかった。新共和国は殆どにおいて彼らを無視し、荒廃した銀河の再建に取り組んだ。
統一指揮
テラドク高位提督は、相争うハースク上位大将軍を目の敵にしていた。ある時ペレオンはハースクの基地を襲撃し、旗艦<ショックウエーブ>を撃沈してテラドクの要塞へと帰還する。しかしその直後、テラドクの要塞はハースクの艦隊による奇襲反撃を受けた。しかし、テラドクの要塞に接近したハースクのスター・デストロイヤー<ファイアストーム>は、突如として要塞ではなく僚艦<ワールウインド>をイオン砲で無力化したのだった。
<ファイアストーム>の指揮官の名はナタシ・ダーラ。帝国軍唯一の女性提督であり、つい先だってまで麾下の小艦隊を率いて新共和国の惑星を次々に襲撃して悩ませた俊秀だった。ダーラは帝国の再建のためにハースクに協力を求めていたところでペレオンの襲撃を受け、激怒した彼の脅迫を受けて反撃の指揮を執っていた。そしてハースク自身は<ワールウインド>から督戦していたのである。
ダーラは、その場の全艦隊に対し通信を送る。帝国の再建と団結のため、全帝国軍人の協力が必要だ、と。自爆装置によって自身とハースクを人質とした彼女の通信を受けたペレオンは、スローン大提督亡き後の帝国を勝利に導ける司令官はダーラしかいないと確信し、<ファイアストーム>に赴いてダーラと対面した。そして会談の結果、彼は帝国の残った艦隊を一つに統合するための準備に奔走することとなる。
彼はスローンの副官であったことで得たありとあらゆる影響力をフルに使い、ディープ・コアでそれぞれの軍閥を指揮していた13人の大将軍を一つの宇宙ステーションに集めることに成功した。しかし統一指揮についての会談は予想通りいがみ合いと口論に終始し、ダーラは究極的な解決を選ぶ。それは致死性ガスによる全ての大将軍の抹殺だった。
ダーラの反撃
大将軍の全滅で帝国艦隊の指揮権は宙に浮き、ダーラがそれを手中に収めた。13人の大将軍の艦隊を全てまとめあげた成果は驚くべきものであった。すなわち、無数の補助艦艇と宇宙戦闘機、112隻のヴィクトリー級スター・デストロイヤー、42隻のインペリアル級スター・デストロイヤー、そしてデルヴァードス大将軍が建造していたエグゼキューター級スーパー・スター・デストロイヤー<ナイト・ハンマー>である。
ペレオンはダーラの副司令官として17隻のインペリアル・スター・デストロイヤーを任され、ジェダイ・プラキシウムのある森林衛星ヤヴィン4の攻撃を命じられた。<ファイアストーム>に座乗してヤヴィン4を奇襲したペレオンは地上部隊を降ろし、ちょうどルーク・スカイウォーカーを欠いていたジェダイの弟子たちを圧倒する。しかしジェダイ・ナイト、ドースク81を中心とするジェダイたちが強力なフォース・プッシュを共同で送り出し、彼の艦隊をヤヴィン星系の端まで吹き飛ばした。そしてその負荷でハイパードライブを損傷した艦隊がヤヴィン4まで帰り着いた頃には、遅れて到着した<ナイト・ハンマー>は新共和国の援軍とジェダイの破壊工作によって失われていた。帝国軍は再び潰滅的な敗北を喫したのだ。
ペレオンはヤヴィンで一基の司令官用脱出ポッドを拾い上げた。乗っていたのはダーラ提督であり、彼は彼女が再びリーダーシップを発揮して帝国を立てなおしてくれることを期待していた。だが、この惨敗に打ちひしがれたダーラは帝国全軍の指揮権をペレオンに渡して辞任する。こうしてペレオンは、ついに残存帝国軍の最高指揮官となった。
残存帝国軍の結集
ディープ・コアは隠れ家としては優秀だったが拡張性に欠ける。それを悟ったペレオンはディープ・コアを放棄することに決めた。ディープ・コアを去る前の最後の仕事として、彼は改めてディープ・コアにおける全ての帝国軍の記録を精査し、ハースクの秘密造船所で建造されていたスーパー・スター・デストロイヤー<メガドア>と<ドミニオン>を手中に収めた。
ディープ・コアを出たペレオンの艦隊がアウター・リムを目指すと、ミッド・リムやアウター・リムで孤立しながら帝国に留まっていた諸惑星とそのモフたちはみなペレオンの下に集った。その中には、かつてグランドモフ・アーダス・ケインに統治されていた事実上の独立国家ペンタスター連合の残党たちも含まれていた。ペンタスター連合はワイルド・スペースに面したアウター・リムの小帝国だったが、当のケインはシャドウ・ハンド作戦のさなかに殺害されていた。
ペレオンはペンタスター連合を支配下に置き、アーダス・ケインが保有していたエグゼキューター級スーパー・スター・デストロイヤー<リーパー>を手に入れて旗艦とした。ペレオンの指揮下に入ったモフ達はモフ評議会を設置し、ペレオンをインペリアル・レムナントの最高司令官に任命した。
この時点でペレオンは3隻のスーパー・スター・デストロイヤーを含む強大な艦隊を指揮する立場となっていた。そして帝国は衰えたりとはいえアウター・リムの北部象限、ハイディアン・ウェイ・ハイパースペース・ルートの東側のほとんどを掌握しており、ワイルド・スペースからミッド・リムにかけて、いまだ34のセクターと無数の居住惑星を抱えていたのである。
最後の努力(12-17ABY)
帝国が銀河の覇権を取り戻すことはもはや不可能である。ペレオンはそう認めざるを得なかった。帝国は衰退した。新共和国はペレオンの移動を掴んでおらず、孤立した惑星規模の小国家の群れに過ぎないアウター・リムの帝国領は何ら脅威になりえないと考えて無視していた。
このままでは、新共和国の軍事的脅威によって滅びるより先に帝国は自然消滅の憂き目にあうだろう。そうなる前に、全銀河に帝国の健在を誇示しなければならない。そこで彼は新共和国に対し小規模な攻勢に出ることにした。オリンダ戦役の始まりである。
オリンダ戦役(12ABY)
ヤヴィン4での敗北から6標準月後、ペレオンは帝国領に隣接する惑星オリンダを占領した。帝国軍がさらにロナウなど6つの星系を奪還すると、ペレオンはこれ以上の進撃を考えていないこと、彼は帝国の存在が尊重されることを望んでいるにすぎないのだということを新共和国に伝えた。
しかし新共和国はそれを信じなかった。新共和国軍のウェッジ・アンティリーズ将軍はエグゼキューター級<ルサンキア>を率いて反撃に出、オリンダ周辺の星域でペレオンと幾度も戦った。しかし結局ペレオンは<ルサンキア>を撃退することが出来ないまま、戦いは第三次オリンダの戦いにもつれ込む。
オリンダでは<リーパー>と<ルサンキア>がエグゼキューター級同士の一騎打ちを繰り広げた。両者は戦闘艦だけでなく戦闘機も新共和国軍の精鋭ローグ中隊に対し帝国軍の伝説的な181戦闘機大隊と、完全に互角だった。そのバランスを崩すため 、新共和国軍はフリート・キャリアー<エンデュアランス>を投入する。しかし、強力な防空システムを持つ<リーパー>が損傷を負うのを<エンデュアランス>が待っているうちに、ペレオンは巧妙な罠を発動した。
帝国軍のスーパー・スター・デストロイヤーは<リーパー>が最後の一隻だ、と新共和国軍が信じているのにつけこんだペレオンは<ドミニオン>と<メガドア>を新共和国の目から隠しておいた。そして完璧なタイミングでテレン・ログリス提督が指揮する<ドミニオン>を呼び寄せたのである。新たなスーパー・スター・デストロイヤーは、新共和国軍にとってまさに青天の霹靂だった。<ドミニオン>の砲火によって<エンデュアランス>は搭載するEウイングを発進させる前に破壊され、二隻の同型艦に挟み撃ちされた<ルサンキア>も大破し敗走した。
この完全勝利によって残存帝国軍はオリンダの支配を確立。新共和国はオリンダを捨てて周辺の防備を固めた。
境界星域の戦闘(13-16ABY)
オリンダ戦役の後、ペレオンが惑星アダマーの情勢にかかりきりになっているうちに、新共和国軍はアンティメリディアン・セクターのモフ、トル・ゲタリーズを攻撃し、そこを足がかりにしてハイディアン・ウェイ、つまり銀河東象限の側から残存帝国軍主要部への攻撃を企図した。
アバート将軍麾下の新共和国第五艦隊と急ぎ駆けつけたペレオンの帝国艦隊はセラノンにおいて激突し、ペレオンは新共和国軍に重大な打撃を与え撤退させることに成功する。しかし、この戦いで彼は<リーパー>を失った。
その後数年のあいだ大規模な戦闘は行われず、小競り合いが続いた。その一つ、グラヴレックス・メドの戦いにおいてペレオンは、放棄したのち新共和国が回収し修理中だった<キメラ>を奪還し、再び座乗艦とした。この直後、新共和国はブラック・フリート危機を迎え、クアノッチ星団の原住種族イェヴェサとの戦争に突入する。その結果、イェヴェサが従えていた旧帝国軍ブラック・フリートの内、スター・デストロイヤ12隻と<レイクヘル>こと実験艦EX-Fがイェヴェサに反逆してペレオンの艦隊に合流した。
帝国最後の反撃(16-18ABY)
ブラック・フリート危機において、新共和国議会は利害関係の薄い宙域でのイェヴェサの侵略に対する迎撃に消極的であり、艦隊派遣の決定はレイア・オーガナ・ソロ元首の地位すら脅かした。これを見たモフ評議会は、新共和国の大規模な反撃は無いものと考え、新共和国の惑星アルメニアでの反乱の混乱を利用して旧領の奪回を指示した。命令に従い、ペレオンはふたたびアダマーを攻撃する。
しかし、モフ評議会の予想は希望的観測に過ぎた。帝国軍の侵攻に対し、新共和国は防衛軍最高司令官ギアル・アクバー提督の指揮のもと第三艦隊と第五艦隊を動員。さらにエグゼキューター級スーパー・スター・デストロイヤー<ガーディアン>をも投入して迎撃を図った。シャンパラやタリスで数次に渡る戦いが繰り広げられたが、ついにペレオンはアクバーに勝利することが出来なかった。
戦線は次第に帝国領内に後退していき、最終戦となったアンクス・マイナーの戦いでは、実験艦EX-Fがスター・デストロイヤー6隻を巻き込んで吹き飛ぶ惨事の末、帝国軍は大敗を喫した。
ペレオン・ギャヴリソム協定(19ABY)
最後の反撃の失敗により、残存帝国軍の支配する領域は、ヤガ・マイナー、ムウニリンストといった約1000の居住星系を含むたった8つのセクターにまで縮小していた。唯一の希望として試みた新技術の実験も失敗に終わると、ペレオンはモフ評議会に対し、新共和国との和平協定、つまり実質的な降伏を提案せざるをえなかった。
帝国の敗北を認めたがらないモフたちをなんとか説得したペレオンは、新共和国に特使を送り、自身は新共和国との会合点として指定した宙域で待機する。しかし、彼が外界と遮断された会合点で待っている間に、帝国ではモフ・ディズラとグロディン・ティアス少佐の一味による陰謀が進行していた。彼らは詐欺師フリムを「復活したスローン」として立て、その完璧な演技によって折しも内政問題で混乱していた新共和国の辺境星域を瞬く間に取り戻していったのである。
会合点に新共和国の使節がやってこないどころか、ディズラの送り込んだ海賊が<キメラ>に杜撰な攻撃を仕掛けてきたことで陰謀を察したペレオンはひとまず帝国に戻った。そして「スローンの復活」を知らされたが、スローンの死を隣で見た彼がそれを信じるはずもなかった。ペレオンはこの陰謀の証拠と事実関係を確かめると、ヤガ・マイナーで繰り広げられていた新共和国と帝国艦隊の戦いの場に乗り込む。そしてディズラたちの前で全ての真実を暴き、改めてガーム・ベル・イブリス将軍率いる新共和国艦隊に停戦と和平交渉を呼びかけたのだった。
数カ月後、帝国首都バスティオン上空のインペリアル・スター・デストロイヤー<キメラ>において、残存帝国軍最高司令官ギラッド・ペレオンと新共和国元首ポンク・ギャヴリソムの間に歴史的な和平協定、ペレオン・ギャヴリソム協定が締結される。エンドアの戦いから15年、ついに銀河内乱は終結を迎え、ペレオンが守り抜いた銀河帝国は縮小しながらも新共和国とは別に独立した一地方国家としてその命脈を保ち得たのである。ペレオンは70歳になっていた。
ユージャン・ヴォング戦争(25-29ABY)
別銀河からの侵略者ユージャン・ヴォングが銀河系に侵入してきたのは、銀河北象限のヘルスカからだった。帝国ははじめガーキやアイソアで新共和国と共闘したが、銀河中心部のコア・ワールドを目指したユージャン・ヴォングが辺境の帝国領を無視して進撃を始めると、ヤガ・マイナーを統治するモフ・フレニックを始めとするモフ評議会は国境を閉ざして局外中立を決め込むことにした。しかし、そのしっぺ返しは三年ほど後に訪れることになる。
この頃、ペレオンは最高司令官としてついに大提督に任じられ、その白い軍服を身につけるようになった。彼はユージャン・ヴォング大戦でも、こと後半の主要な戦いで重要な役割を果たした。
バスティオンの敗北(28ABY)
ユージャン・ヴォングがコルサントなどの銀河中心部を制圧した結果、新共和国は解体され、銀河連合自由同盟(銀河同盟)という緩やかな連合体へと再編されるにいたる。いっぽうユージャン・ヴォングはエバック9での大敗で戦略予備を失い、広がりすぎた占領地と戦力不足に手を焼き始めた。ユージャン・ヴォングは陸戦に供する奴隷を確保するために帝国領への攻撃を決め、ブシス・ヴォリク司令官率いる艦隊がバスティオンを奇襲する。
ペレオンは必死に防戦したが、ユージャン・ヴォングの生体兵器による攻撃への対処は帝国軍の経験になかった。彼は市民が脱出する時間を稼ぐため奮闘したが、敵のスターファイターが<キメラ>の艦橋に突っ込み<キメラ>は大破、ペレオンは意識不明の重傷を負う。彼を慕う部下の献身と犠牲によって彼は戦場を脱出しヤガ・マイナーに撤退することができたが、帝国首都バスティオンは陥落した。
幸い、陥落寸前のバスティオンにルーク・スカイウォーカーをはじめとするジェダイたちが訪れていたため、撤退したペレオンはフォースによる治療を受けることができた。かつてない大敗で忠実な部下を失い瀕死の重傷を負った彼の精神は生きる気力を失いかけていたが、治癒の力を持つジェダイ、テクリによるフォースを通した叱咤を受けて希望を取り戻す。そして目覚めるやいなや彼の生還を知らずに帝国の主導権を握ろうと策動していたモフ・フレニックを一喝し、ボラスクでの迎撃準備を命じた。
ボラスクの戦い(28ABY)
帝国領に侵攻したユージャン・ヴォングに対し、ペレオン率いる帝国軍主力艦隊は要塞惑星ボラスクに集結して迎え撃った。ペレオンはいまだバスティオンで受けた負傷から回復していなかったが、旧式フリゲート<ウィドーメーカー>のバクタ・タンクから指令を発してルーク・スカイウォーカーから得た対ユージャン・ヴォング戦術を実践し、さらにジェダイによる敵後方の捕虜輸送船への潜入作戦で捕虜を奪還して敵を撃退してのけた。
この時彼は自身が単に謹厳実直で堅実な軍人というだけではないことを示した。敵の無礼極まりない降伏勧告を、彼は痛烈な口撃によって黙らせたのである。そしてこう宣言した。「帝国は常に復讐する」と。
戦いが終わると、彼はモフ評議会を招集し、銀河同盟との軍事力の共有、すなわち完全な共闘関係を結ぶよう“助言”した。未だに新共和国を敵視するモフ・フレニックの強硬な反対に対し、ペレオンはもはやモフ評議会に実権は無いとはっきり言い切る。そしてもし全会一致で“助言”が認められなければ艦隊を率いて帝国を去る、と宣言すると、モフ評議会は“助言”を受け入れた。
この後、帝国は正式に銀河同盟の同盟国となった。ペレオンは<キメラ>から最古参のインペリアル・スター・デストロイヤー<ライト・トゥ・ルール>に旗艦を移し、バスティオンとボラスクを攻撃した敵艦隊の追撃を始めた。
エスファンディアの復讐
ヴォリク司令官の艦隊を追ったペレオンは銀河の反対側、南象限のエスファンディアに到達した。そこで彼は思いがけなく<ミレニアム・ファルコン>と随伴する銀河同盟軍の小部隊に出会う。彼らは通信基地を救援するためエスファンディアを訪れ、ヴォリク司令官の艦隊と遭遇していた。<ファルコン>のハン・ソロ船長とレイア・オーガナ・ソロはペレオンの指揮下で戦うことを承知し、帝国と新共和国は合同でユージャン・ヴォングの艦隊に当たることになった。
ペレオンの有する戦力は帝国のインペリアル・スター・デストロイヤーが二隻と搭載するタイ・ファイター部隊、銀河同盟の<ファルコン>とフリゲート<プライド・オブ・セロニア>、そして銀河同盟とジェダイとチスの合同戦闘機隊ツイン・サンズのみであり、消耗したとはいえ未だ十分な戦力を残すヴォリク司令官のユージャン・ヴォング艦隊に対しては不利だった。しかし彼は巧妙な手腕で戦線を維持し、エース揃いのツイン・サンズを敵の後方に送り込んでユージャン・ヴォングのフリゲートを効果的に排除すると、生じた間隙を衝いて集中砲火を浴びせ、戦力差を縮める。
そして戦線が膠着したのを見た彼は、追撃の途中で得た放浪種族リンの情報ネットワークへの伝手によって寄せ集めた民間の古い武装船舶からなる大艦隊を投入し、一気にユージャン・ヴォングを殲滅した。彼はバスティオンの復讐を果たしたのだ。
銀河同盟の勝利(29ABY)
エスファンディアの戦いの後、ペレオンは帝国艦隊と銀河同盟の艦を合わせた銀河同盟第四艦隊を率いて銀河各地を転戦した。第二次ビルブリンギの戦いでは敵の通信妨害にあって戦場に間に合わず苦汁をなめたが、全体の戦況は次第に銀河同盟有利に傾いていった。これに対し、ユージャン・ヴォングの最高大君主シムラは最高司令官であるウォーマスター・ナス・チョウカに命じて艦隊を集結させ、銀河同盟の暫定首都モン・カラマリを攻撃して一気に勝利を手に入れようと画策した。これを見ぬいた銀河同盟は艦隊の半分をモン・カラマリから離し、主力艦隊の欠けたコルサントを奪還して最高大君主を倒すべく行動を開始した。
<ライト・トゥ・ルール>のペレオンも帝国艦隊を率い、モン・カラマリ防衛の任についた。この時彼は皇帝の知識に由来する、エンプレス・テタ星系からコルサント星系への秘密のハイパースペース・ルートの座標を銀河同盟に提供し、この銀河のハイパースペース・ルートに詳しくないユージャン・ヴォングを奇襲するにあたり大きく貢献している。
ナス・チョウカは銀河同盟の思惑に気づき、攻撃部隊の一部をすぐにコルサント星系へ送り返した。しかし、ユージャン・ヴォングにとって重大な意味を持つ生きた惑星ゾナマ・セコートがコルサント星系に惑星ごとジャンプしてくると、彼は全作戦を中止して撤退する。銀河同盟もゾナマ・セコートの出現は寝耳に水だったが、ともかく全艦隊をモン・カラマリとコルサントの中間点に近いコントラムへと集結させ、コルサント攻撃の機を窺った。
ペレオンの率いる帝国艦隊、すなわち銀河同盟第四艦隊はマーシャル・クロスを経由して惑星コルサントの軌道上に突入し、コルサント地上への揚陸を開始する。戦闘機中隊が輸送艦をエスコートし、<ライト・トゥ・ルール>以下のスター・デストロイヤーがそれを援護した。そしてハンとレイアの子供であるジェダイの双子姉弟ジェイナ・ソロとジェイセン・ソロ、それにルーク・スカイウォーカーがユージャン・ヴォングの最高大君主シムラを倒すと、ナス・チョウカは降伏を選んだ。
戦いのあと
ユージャン・ヴォングが降伏したのち、ペレオンは数十年ぶりにコルサントに降り、部下とともにインペリアル・パレスの跡地を視察する。さらに第一艦隊を率いるボサン、トレイスト・クレフェイ提督の旗艦である<ラルルースト>で行われたナス・チョウカの降伏式に出席したのち、彼はレイア・オーガナ・ソロとハン・ソロをディナーに招待した。
<ライト・トゥ・ルール>の司令塔右舷側、大提督のキャビンでのディナーで、彼は二人に打ち明ける。このような形とはいえコルサントに戻ってきたことで、これまでの人生とエンドア以後のことを思い返すことができた、失ったものを取り戻すきっかけを作ってくれた、と。
彼は礼として、二人に『キリック・トワイライト』という苔画をプレゼントする。これはかつてオルデランの王宮のコレクションとして幼少期のレイアがよく眺めていた芸術品で、オルデランの破壊を偶然生き延びた後、紆余曲折を経てスローンのコレクションとなり<キメラ>に残されていたものだった。そしてレイアの人生にとって、『キリック・トワイライト』は非常に大きな意味を持つものだったのである。
銀河同盟防衛軍最高司令官(36ABY)
ユージャン・ヴォング戦争の間、新共和国防衛軍、そして銀河同盟防衛軍の最高司令官はサラスタンのシーン・ソウヴが務めた。戦争が終結するとトレイスト・クレフェイに代わったが、彼は政治的理由ですぐに辞任し、ソウヴが返り咲いた。しかし、彼は36ABYに宇宙船の事故で命を落とした。
かの名将ジャン・ドドンナ将軍は戦争前に、ギアル・アクバー提督は戦争末期にそれぞれ天寿を全うし、アンティリーズを始めとした反乱同盟軍以来の将星も大戦終結に伴って引退している今、銀河同盟軍の最高司令官に相応しい能力と戦歴を持ち合わせた人物はもはやただ一人、ギラッド・ペレオンしかいなかった。彼はすでに帝国軍を退いていたが、旧敵に請われて銀河連合自由同盟防衛軍最高司令官に就任したのである。
キリック戦争
35ABY、銀河外縁部の忘れられた昆虫種族キリックが拡張を始め、未知領域に帝国を築くチス・アセンダンシーと衝突する。銀河同盟が調停に入り、銀河同盟第五艦隊をウテゲトゥ・ネビュラに送って彼らの拡張を食い止めたが、キリックたちは第五艦隊の旗艦<アドミラル・アクバー>を奪い、チスとの全面戦争に突入した。
チスは技術では優るものの、数だけは多い昆虫種族キリックとの全面戦争に苦戦し、ウテゲトゥ・ネビュラの惑星テヌペで泥沼の地上戦を展開することになる。いっぽう銀河同盟は本格的な介入を決定し、大艦隊とともにペレオンをテヌペに送った。ペレオンの率いる銀河同盟艦隊は数で勝るキリックを翻弄し、<アクバー>を奪還する。さらに、カル・オマス元首から全権を委任された彼は孤立主義のチス・アセンダンシーから譲歩を引き出し、長期的な外交関係の樹立に寄与したのだった。
テヌペでペレオンはキリックの艦隊を殲滅するつもりだったが、直前になってルークから<アクバー>奪還に専念すべきだと進言を受けた。孤立主義のチスの態度を軟化させるためにも、キリックの艦隊を殲滅すべきではない、というのだ。ペレオンは進言を受け入れたが、同時に彼は自身が思った以上にスローンの影響を受けていたことを認めねばならなかった。彼は戦いの美しさ、強敵と戦う楽しさといったものを愛していたことに気づいたのである。
第二次銀河内戦(40-41ABY)
ユージャン・ヴォング戦争末期における貢献の結果、残存帝国軍はかつて新共和国に属していた銀河の北象限、アウター・リムからミッド・リムに至る多くのセクターをユージャン・ヴォングから解放し、新たに帝国の領域に加えていた。銀河同盟軍の最高司令官となったペレオンは、キリック戦争を終結させた後も最高司令官を勤め続けた。
コレリアの危機と辞任(40ABY)
40ABY、コレリアの分離運動によって銀河同盟が分裂の危機に瀕すると、ペレオンは平和的解決のために奔走した。彼は中立のトリヤズ・ステーション(Toryaz Station)でコレリア五惑星の首相となったエイデル・サザン(Aidel Saxan)と会談したが、直後にステーション内でサザンは暗殺されてしまう。ペレオンも命を狙われ、影武者の犠牲によって寸前で難を逃れたのだった。
コレリアの分離危機によって銀河同盟の影響力が弱まることを恐れたカル・オマス元首がコレリアに第二艦隊を派遣して星系の封鎖を命じ、さらに半ば秘密警察である銀河同盟親衛隊(GAG,Galactic Alliance Guard)を設立して治安維持に当たらせることを決めると、GAGに与えられた過剰な権限を危惧したペレオンは最高司令官を辞任した。彼の後任にはモン・カラマリの女性提督チャ・ナイアサル(Cha Niathal)が就任した。
ペレオンは帝国首都バスティオンに戻ったが、帝国では影響力を持ち続けた。彼はモフ評議会を動かし、一連の危機に関して銀河同盟と帝国の協力関係を維持するため尽力したが、コレリアと銀河同盟の対決は第二次銀河内戦の勃発を呼んだ。さらにGAGを指揮するジェダイのジェイセン・ソロ(ひそかにシスに転向していた)とナイアサルがクーデターによってカル・オマスを倒すと、状況はさらに複雑になった。
フォンドアの戦い(41ABY)
ジェイセンに反対するジェダイ・オーダーを中心とする造反者たちとの戦いのため、ジェイセンはペレオンと帝国に協力を要請し、見返りに銀河同盟から離脱していた造船惑星ビルブリンギと要衝ボーレイアスの割譲を提示する。ペレオンは難色を示したが、モフ評議会の圧力となにより戦後への帝国の影響力確保のため、艦隊を動かすことを承知した。
ペレオンはジェイセンへの対処のため、隠棲していたダーラ提督に秘密裏に接触し、旗艦<ブラッドフィン>で秘密会談を持って支援を求めた。いっぽう独裁的なジェイセンに対しナイアサルを始めとする銀河同盟艦隊の一部も反発し始めており、ナイアサルは反ジェイセンの動きを強めていたルーク・スカイウォーカー以下のジェダイ騎士団と秘密裏に連絡を取っていた。
銀河同盟艦隊と帝国艦隊は共同して造反側の惑星フォンドアを攻撃した。圧倒的に不利なフォンドアはルークの手によってジェイセンが怯んだ隙に降伏したが、ジェイセンは許さず惑星への爆撃を命じる。それを見たナイアサルはジェイセンの排除を決め、ペレオンと協力してジェイセンの艦隊の前に立ちはだかった。しかし、ジェイセンは既に帝国艦隊の分派を予測しており、<ブラッドフィン>に友人にしてジェダイ・ナイトのタヒーリ・ヴェイラを乗せていたのである。
死
ダーラが秘密裏に整えたモー不正規艦隊(Maw Irregular Fleet)を呼び寄せるため、ペレオンは自室に移動した。タヒーリはそれを追い、ペレオンにブラスターを突きつけてジェイセンの側に付くよう脅した。タヒーリに従わなければ、彼は殺されるだろう。彼はコムリンクを取り、全艦隊に命令を下す。
ペレオンより艦隊へ。こちらはペレオン提督だ。
きみたちの艦を完全にナイアサル提督の指揮にゆだね、ジェイセン・ソロを倒すよう命じる。
帝国の名誉のために――[1]
直後、ペレオンは心臓を撃ち抜かれ、命を落とした。
それを見ていたモフたちは残された帝国艦隊を指揮し、ジェイセンに協力しようとする。しかし、そこにあの<キメラ>を旗艦とするダーラの不正規艦隊が現れた。ダーラの艦隊は超兵器であるメタル結晶板位相変調波照射装置(MCPS)によってジェイセンの艦隊を攻撃する。そして帝国艦隊はペレオンの遺志を継ぐため、モフたちに叛逆しナイアサル提督の艦隊とともにジェイセンの艦隊を攻撃したのだった。
死後
ペレオンの遺体はダーラの手によって故郷コレリアに還された。第二次銀河内戦とジェイセンの死を経て、銀河は再び一応の統一を取り戻した。
残された帝国では、かつて伝説的な181戦闘機大隊を率いた名戦闘機乗りバロン・スーンティア・フェルの三男、チスとともにツイン・サンズ中隊でユージャン・ヴォングと戦ったジャグド・フェルが元首に就任した。やがてジャグド・フェルは皇帝として戴冠し、銀河同盟の一地方国家としてのフェル王朝、フェル帝国を成立させた。
フェル帝国の時代になっても、ペレオンの名声が朽ちることはなかった。彼の死後43ABYに就役した最新鋭のスター・デストロイヤーには彼を顕彰して<ギラッド・ペレオン>の名が付けられ、遠く127ABYに勃発したシス=帝国戦争で帝国軍艦隊の主力を務めた強力なスター・デストロイヤーはペレオン級と呼ばれたのである。
人物
性格
ペレオンは誠実で実直な軍人だった。自分の分をわきまえ、権力欲に取り憑かれるようなことはなかった。
彼は帝国軍を愛していたが、それは恐怖による支配や専制体制に対するものではなく、皇帝パルパティーンの指導した帝国の新秩序と安定、そして規律正しく効率的な帝国軍に対するものだった。実際、ユージャン・ヴォング戦争以降の彼は銀河同盟を全面的に支援していたし、銀河同盟を専制的に支配しようとするジェイセン・ソロを軽蔑すらしていた。
帝国の弊害だった非人間種族排除思想も、彼は持ちあわせていなかった。帝国軍服を着たエイリアンに違和感こそ感じたものの、彼は青い肌のチスであるスローン大提督に対しても、ダーラ提督の推し進めた非人間種族の取り込みに対しても嫌悪感は全く感じなかった。また、最高司令官になって後の帝国では奴隷制度の廃止、非人間種族差別の撤廃といった政策が取られている。
また、彼はあくまで軍人たろうとしており、帝国艦隊の最高司令官になったあともモフ評議会を尊重し、政治力を行使することはなるべく避けた。しかし愛する帝国軍を守るためであれば、彼はモフ評議会を恫喝することも辞さなかった。
ペレオンは全軍の尊敬を受けてはいたが、スローン大提督やダーラ提督のようなカリスマ性は持ち合わせていなかった。何より重要なのは、それを自身理解していた点である。自身より帝国のためになる指揮官が存在する限り、彼は自身の指揮権にけっして固執することはなかった。そしてそれこそが、ペレオンのもっとも偉大な功績なのだ。
家族
クローン大戦のさなか、彼は共和国情報部のハレナ・デヴィス(Hallena Devis)と恋愛関係にあった。その後彼女はペレオンの息子、マイナー・デヴィスを出産する。帝国のホロ映画では悪役とされるハン・ソロに憧れて育ったマイナーはやがて残存帝国軍のインターディクター<ラック>の艦長を務めるようになったが、彼はペレオンが駆けつけることができなかった第二次ビルブリンギの戦いで自らTIEファイターを駆り、<ミレニアム・ファルコン>を庇って戦死した。
ペレオンは自身の家族関係を隠しており、マイナーが彼の息子であることは誰も知らないことだったが、彼が息子に親としての愛情を持っていたことは確かだろう。戦いの後、ハン・ソロと合流した彼はマイナーの行方をハン・ソロに尋ね、息子の戦死を知る。そしてこの時そばにいたジェイナ・ソロがフォースによって彼らの血縁関係に感づいたことによって、ペレオンに息子がいたことが初めて知られたのである。
能力
ペレオンはあくまで堅実な指揮官であり、アクバー提督に勝ることができるほど有能でも、ましてスローン大提督のような天才的頭脳を持ち合わせてもいなかった。しかしその戦歴と経験から来る落ち着き、判断力は確かであり、何より帝国に対する忠誠と献身、そして誠実さは誰にも劣らないものだった。
彼は誇大妄想気味の大将軍たちと違って現実を正しく認識できたし、不利を悟れば無理に戦い続けずに撤退を決断する事もできた。そして最終的には帝国の覇権にも拘らず、帝国の生存を目指して的確な対処を取り続けた。
趣味
一生を戦いの中で過ごしたも同然な彼に趣味と言えるものは殆どなかったが、あえて言うならば園芸を趣味としていたと言えるかもしれない。彼はバスティオンに自身の庭園を持っており、その晩年の多くをそこで過ごした。
彼の死後も彼の庭園は残された。そしてペレオン庭園としてフェル帝国皇帝の敷地となり、ローン・フェルをはじめ歴代の皇帝たちが瞑想に使用したという。
評価
権力欲が強く、団結や協力に難がある帝国軍高級将校の中にあって、ペレオンは例外的に廉直で高潔、職務に忠実で有能な指揮官として尊敬を受ける存在であった。彼は帝国の市民や兵士からも多大な人気を得ており、帝国にとって失ってはならない人物とみなされていたことは、バスティオンの陥落時に多くの部下が自ら身を挺してペレオンを救ったことからも見て取れる。
また、スローンの副官を務めたことや長年に渡って帝国維持のために働いたことで、彼は帝国の残った領域を統治するモフたちの信頼と畏敬すら勝ち得ていた。彼が指揮を執るようになってからの帝国はほとんど縮小する一方だったが、オリンダの勝利のような功績や、何より常に現実を見据えて帝国の生存のために的確な行動を取ったペレオンは充分に評価に値した。モフ評議会の主なメンバーたちはかつての覇権に固執してペレオンと度々対立したが、結局ペレオン以上に信頼の置ける指揮官を見つけられなかった。いっぽうでエフィン・サレティのような若いモフは、ペレオンを全面的に支持していた。
敵だった新共和国側の人々からも、ペレオンは誇り高い帝国軍人であるとみなされていた。彼は、新共和国の大敵といえるほどの権限がなかった艦長時代にすでに「帝国に忠実で有能」と評価されていた。これは反乱同盟軍以来潜入工作やゲリラ活動を得意としてきた新共和国軍にとっては厄介なことだった。他の帝国軍士官ならば簡単な収賄や懐柔による「見逃し」が、ペレオンとその部下にはまったく通用しないということを意味していたからである。
とはいえ、彼の能力は全幅の信頼を置かれていたし、ペレオンが卑怯な行動をとったり、まして味方を裏切るなど決してありえないと認識されていた(ペレオンは帝国軍の司令官だったときですら誰のことも裏切ったことはない、と評した人物が、銀河同盟時代の発言とはいえ本来は帝国軍の人間をほとんど一切信頼しないハン・ソロであることは特筆されるべきだろう)。しかし、一部の軍人ではない人々のように、彼の頑強な抵抗が銀河に平和をもたらす妨げになったとみなしている者達もいた。
カノンにおけるペレオン
カノンにおいては、スローン大提督が活躍したアニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』最終話において、ロザルの戦いでスローンに名前が呼ばれたのが初登場となった。
その後、生みの親ティモシイ・ザーンによるヤヴィンの戦いの1年前を描いたカノン版スローン三部作第三作『Thrawn: Treason』にて、インペリアル・スター・デストロイヤー<ハービンガー>の艦長として登場。所属する第三艦隊の司令官バランハイ・サヴィト(Balanhai Savit)大提督の反逆行為がスローンの示唆で告発された際、公式な調査の必要性を認めることでサヴィトの失脚をもたらしている。
『反乱者たち』最終話でのスローン失踪後の動向は不明だったが、エンドアの戦いの5年後(9ABY)が舞台の実写ドラマ『マンダロリアン』シーズン3第7話では、残存帝国軍をまとめるシャドウ評議会の一員としてホログラムながら実写登場を果たした。階級は一貫して艦長のままであるが残存帝国軍幹部のなかでは相当な勢力を維持しているらしく、スローン大提督の帰還を待ち、新共和国を刺激せず隠れ潜みつづける呼びかける慎重派なところを見せている。
スター・ウォーズファンから
スター・ウォーズ・スピンオフ作品中もっとも有名であろう、ティモシイ・ザーンによる「スローン三部作」において、天才的名将スローン大提督のそばで副官役、つまりシャーロック・ホームズでいうワトソンを務めたギラッド・ペレオンは、誠実で実直な軍人キャラクターとして一躍人気となった。
その人気を反映してか、「スローン三部作」のみならず「ダークセーバー」をはじめとする他のスピンオフにも度々登場し、超巨編「ニュー・ジェダイ・オーダー」シリーズでも後半を中心に侵略者ユージャン・ヴォングを翻弄する、経験に富んだ名将として描かれた。EP6後を舞台とするスピンオフ作品登場のキャラクターとしては、マラ・ジェイド、ボースク・フェイリャなどと並んで文句なしに最大級の重要キャラクターにまで到達したといえよう。
登場邦訳作品
レジェンズ
- スローン三部作(小説。著:ティモシイ・ザーン):スローン大提督の逆襲
- カリスタ三部作
- ハンド・オブ・スローン二部作(著:ティモシイ・ザーン):ペレオン=ギャヴリソム協定
- ニュー・ジェダイ・オーダーシリーズ(邦訳全二十一作)
- ダーク・ネスト三部作(著:トロイ・デニング):銀河同盟軍最高司令官
- クロノロジー(著:ダニエル・ウォーレス&ケヴィン・J・アンダースン)
- 全史(著:ダニエル・ウォーレス&ケヴィン・J・アンダースン)
カノン
- スター・ウォーズ 反乱者たち(アニメ、直接の登場はなし)
- マンダロリアン(実写ドラマ)
カノン作品では上記のとおり、映像作品のみが邦訳されている。『マンダロリアン』における演者はザンダー・バークレー、日本語吹替は外谷勝由。両者とも、「パレオン」と表記・発音されている。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
外部リンク
- Gilad Peraeon - Wookieepedia(英語版/カノン)
- ギラッド・ペレオン - Wookieepedia(日本語版/カノン)
- Gilad Peraeon - Wookieepedia(英語版/レジェンズ)
- ギラッド・ペレオン - Wookieepedia(日本語版/レジェンズ)
- ギラッド・ペレオン - スター・ウォーズの鉄人!
脚注
- *Pellaeon to Fleet. Fleet, this is Admiral Pellaeon. I order you to place your vessels at the complete disposal of Admiral Niathal, and take down Jacen Solo, for the honor of the Empire—Legacy of the Force: Revelationより引用(Wookiepedia英語版より孫引用。翻訳は当記事の編集者による)
- 9
- 0pt