概要
千鳥停車とは優等列車の停車駅を分散させる事で、混雑緩和を図ったり、その他その路線特有の事情に合わせたダイヤを設定したりするときに採用される停車方法である。
日本では阪神電鉄により初めて採用された。
通常、決まった系統の列車は全て同じ駅に停車し、なおかつ上位の種別が停車する駅はそれより下位の種別に当たる列車も全て停車することとなっているが、この千鳥停車では異なる。
例として始発駅、A駅、B駅、終着駅を出し、列車αとβを出して説明すると、列車αが始発・A駅・終着の順に停車し、列車βは始発・B駅・終着駅の順に停車するというように停車駅が分散させるのである。
列車 | 始発駅 | A駅 | B駅 | 終着駅 | ||
α | 始発 | ・・・ | 停車 | 通過 | ・・・ | 終着 |
β | 始発 | ・・・ | 通過 | 停車 | ・・・ | 終着 |
主にラッシュ時間帯に運行され、乗客を分散させられるメリットがあるがデメリットとして、慣れていない乗客にはわかりにくく利用しづらい為誤乗車を招きやすい点である。同様に駅係員も細かなダイヤを覚えなければならなくなる。
特に阪神電鉄の区間特急は青木駅で直通特急と快速急行の通過待ち、青木駅から香櫨園駅まで各駅、直通特急や快速急行が停車する西宮駅を通過、今津駅からは武庫川駅通過以外急行と同じと非常に特殊となっている。
京阪本線では通勤●●が守口市駅を通過するため千鳥停車現象が起こっている。
阪急京都線では全列車停車駅の十三駅にホームドアが設置されたため、2扉の阪急6300系を使用する快速特急Aが十三駅を通過する。他に通勤特急は淡路駅を通過し十三駅及び大宮駅、西院駅に停車するが特急は大宮駅、西院駅を通過し淡路駅に停車する。
阪急神戸線では今津線直通の準急及び臨時急行が西宮北口駅を通過する。(尤も、ホームの構造上物理的に止められないのだが)
近鉄橿原線の西ノ京駅では昼間時の特急及び急行は全て停車するが、それ以外の時間帯は普通のみの停車となる。
近鉄名古屋線では津駅に全ての甲乙特急が停車するが、しまかぜは通過する。逆に近鉄四日市駅では島風は上下全て停車するが、甲特急は一部しか停車しない。(乙特急は全て停車)
関東地方の私鉄では、西武池袋線もラッシュ時は、急行や準急と併用する形で急行停車駅からひばりが丘駅を抜き、大泉学園駅・保谷駅・東久留米駅に停車する通勤急行、準急停車駅から石神井公園駅を抜いた通勤準急を走らせている。
西武池袋線の場合、乗客の大半が池袋や都心へ向かうことはさることながら、必ずしも「急行停車駅=需要の大きい駅」というわけでもなく、駅ごとの乗降客数ランキングも乗換駅の池袋・所沢・練馬を除くと一番大きい駅が大泉学園駅であり、以下急行停車駅の石神井公園駅、一応乗換駅だが急行通過駅の秋津駅、その次も急行停車駅のひばりが丘駅が来るものの通過駅の清瀬駅や保谷駅がそこまで離されていない、といった特殊な事情がある。
かつては西武新宿線でも急行停車駅の上石神井駅と鷺ノ宮駅をいずれか飛ばす運用を行っていたりしてたのだが、現在では順当な運用になっている。
他にラッシュ時の乗客分散以外の目的として、
- 行先が異なる列車同士の乗り換えの利便性向上のため
(例・相鉄西谷駅、相鉄本線⇔新横浜線・JR新宿方面へ直通する特急と横浜発着の急行の関係) - 本線側はより上位の種別でありながら、末端部分を各駅停車として運行する必要があるため
(例・京王線新宿⇔高尾山口間運転の準特急と急行の高尾線内での関係) - 待避線の構造の問題上、一部の下位列車を停車させる余裕がないため
(例・近鉄大阪線・奈良線布施駅の特急と快速急行の関係) - ホームの形状やスペースの制約上改良工事が不可能で、異なる規格の車両を停車させることができないため
(例・阪神本線御影駅の特急と快速急行の関係、21m級の近鉄車を停車させることができない。ただし、御影駅は近鉄直通以前に一度も快速急行が停車駅になった事がない)
などの理由により、千鳥停車が設定される場合もある。
これらのケースの場合ある程度パターン化されているため、上位種別が停車する駅を下位種別が通過することに対する違和感を除けば比較的覚えやすいものと言える。
類似例
千鳥停車と似た例として「選択停車」というものもあり、同規模の停車駅が数駅並んだ場合に、片方がどちらかに停車しもう片方がもう一方の駅に停車するというものもある。広義の千鳥停車ではあり、しばしば分けられて使うこともあるが、混同されることもある(上述の西武新宿線や相鉄西谷駅は専ら選択停車のほうに分類されうる)。
一例として以下の路線が挙げられる。
その他、京急や小田急などで見られる「始発駅から途中駅まで特急、その後途中駅から終点まで一部駅の需要を拾う形で急行」という形態も、広義の千鳥停車や選択停車に当たる。
関連動画
関連項目
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