山手トンネルとは、首都高速中央環状線にある地下トンネルである。
概要
特徴
首都高速中央環状線の大井JCTから高松入口までを結ぶ地下トンネル。1992年に着工し、2007年12月22日に西新宿JCT~熊野町JCT間が開通、2010年2月28日に大橋JCT~西新宿JCTが開通、そして2015年3月7日に大橋JCT~大井JCT間が開通し、これをもってトンネル部は全線開通した。
全長が内回りで18,098m、外回りで18,597mあり、ノルウェーのラルダールトンネルに次いで世界で二番目に長い道路トンネル、日本においては最も長い道路トンネルとなっている。
ちなみに、大井JCT~大橋JCT間開通日の2015年3月7日以前は日本で二番目に長いトンネルとなっていた。この時の最も長い道路トンネルは関越自動車道にある関越トンネルである。
地下鉄路線をすり抜けて掘られたトンネル
山手トンネル建設の際、ネックとなっていた存在が東京メトロや都営地下鉄などの地下鉄路線である。東京には地下鉄や地下化された鉄道路線が縦横無尽にはり巡らせており、さらにデパ地下や地下道の建設などで地下部分の容量がかなりひっ迫していた。
山手トンネルのルート上にも地下鉄路線をすり抜けなければならない場所が何ヶ所も存在し、難工事となっていた。ちなみにその地下鉄路線は以下の通りである。
- りんかい線
- 都営浅草線
- 東急目黒線
- 東京メトロ日比谷線
- 東京メトロ千代田線
- 京王線・京王新線
- 都営大江戸線 (山手トンネル直下を清水橋交差点付近から中落合二丁目交差点付近まで並走する)
- 東京メトロ丸の内線
- 東京メトロ東西線
- 西武新宿線
- 東京メトロ副都心線・有楽町線
山手トンネルはこれらをオーバーパスまたはアンダーパスして掘っている。そのため、トンネル内は直線ではなく上下にクネクネした坂道だらけのトンネルとなっている。のちにこれが交通のネックとなり、中央環状線で頻発する渋滞の原因にもなっている。これを軽減するため、首都高速道路では「エスコートライト」という渋滞緩和設備を採用。人間の錯覚効果と心理を利用して、トンネル内をライトが通過するようにライトアップ。運転士が自然とライトを追いかけていくようにして、上り坂でのスピードダウンを防止している。
ちなみにこの中で一番の難工事とされた箇所は、都営大江戸線と東京メトロ丸ノ内線が交差する中野坂上駅の部分で、トンネルはこの路線と路線がサンドイッチされたわずかな隙間を掘るようにして建設されている。トンネルと駅ホームの間隔は、丸の内線が約2m、大江戸線が約7mでまさに板一枚分しかない危険と隣り合わせとなった工事であった。
また、トンネルより真上を通る丸ノ内線の崩落を防ぐため、この部分は特殊な工法が使われている。まず丸ノ内線駅ホーム周辺の地盤を特殊な薬液で固めて強固にし、地上から丸ノ内線ホーム周りを真下に掘っていく。そして、掘った部分から丸ノ内線ホームとトンネルの間に支え板を通し、その支え板を強固にする足場を建設していく。これによって丸ノ内線ホームの落盤を防ぎ、列車を止めることなく安全に工事を進めることが可能になったのである。
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