民主主義とは、国家など集団の意思決定権をその構成者が個々に有し、その構成者の合意に基づいて執り行われる体制のことである。
概要
民主主義の対義語はいくつかあり、独裁制、専制、寡頭制、貴族制、絶対君主制などが挙げられる。
その発祥は古代ギリシアといわれる。民主主義の英語呼称である「デモクラシー」は、古代ギリシア語の「デモクラティア」に由来している。
古代ギリシアの民主制は、各都市国家(ポリス)の自由市民である男性のみが政治への参加権(参政権)を持ち、女性、奴隷、移民に対してはそれが認められておらず、また直接民主制や従軍義務と表裏一体のものであったなど、近代国家のそれとは異なる点が幾つか存在した。そして扇動政治家(デマゴーグ)に大衆が迎合するようになり、政治は混迷の道を辿り、その文化もろとも衰退の道を歩んだ。
古代ギリシア以後、民主主義は長らく愚かな大衆が行う愚行、衆愚政治であるとして哲学者にも批判され、顧みられることはなくなった。
近世から近代に移る過程で、封建・絶対主義体制を打倒する市民革命が西欧で勃発し、その中で今日に至る議会制民主主義の概念が誕生した。
その後、多くの批判と評価に晒され、また民主主義のあり方やその是非を求めて世界中で様々な試みがされた。
様々な試行を経た21世紀の今日では、多くの国家が間接民主主義の議会制民主主義制を採用するようになっている。
なお、「デモクラシー」の語は江戸時代末期に日本へ伝わったが、当初は「リパブリック」との区別がついておらず、「共和制」と誤って訳されることがあった。
また同語を、明治末~大正期の政治学者、思想家である茅原華山、吉野作造は「民主主義」ではなく「民本主義」と訳し、大正デモクラシーの原動力となった。これは、大日本帝国憲法が天皇機関説に基づいても天皇主権であると解釈されていたため、天皇主権である国体論を否定しないよう、「民主」という言葉を避けたためである。
民主主義の欠点・利点
- 意思決定までに選挙や議会等を要し、時間や費用、手間を要する
- 議論、意思決定は民衆の中でなされるため、エリートが行う場合と比較して衆愚政になりやすい
- 採決に多数決を用いる場合、多数決主義になりやすい
- 議会制民主主義では、議員が各地域から選出されるため、その選出地域の意向を重視した利益誘導政治に陥りやすい
- 議会制民主主義では、実現可能性が低く無意味な議論も通過してしまうことがある
などといった欠点があることが指摘されている。
- 政治変革に必要なコストは武力、テロ等が用いられた場合と比較すればはるかに低い
- エリートが行う政治であっても、汚職や特権階級化は避けられない
- 意思決定が国民の責任に帰す
- 失政があった場合の追求が、他の政治形態をとっている場合よりも容易
- 政治への監視機能としての役割を果たす
という反論や利点があることも指摘されている。
関連項目
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