オストマルクとは、「ワールドウィッチーズ」シリーズに登場する国家である。
概要
オーストリア=ハンガリー二重帝国(ハプスブルク君主国)をモデルとする君主制国家。首都はウィーン。国旗は上から赤黒水の三色旗。
欧州中央部から東欧にかかる領土をもつ大国で、国名は「東の辺境」を意味する。多民族国家であることから、皇帝家を国家団結の中心として各民族の自治国家により構成される連邦制をとっており、国家としてのまとまりには欠けると評される。広い国土には、農業、鉱業、重工業など、多様な産業が発達している。
東部国境は黒海方面のネウロイの脅威をうけるが、第一次ネウロイ大戦での大損害によって軍隊は弱体化しており、第二次ネウロイ大戦勃発時には早々に陥落、国土の蹂躙を許すこととなった。
地理
中欧から東欧にかけて、バルカン半島中心部に大きな領土を有している。南部から南西部にかけてヴェネツィア公国、西部と北部を帝政カールスラント、北部から東部をオラーシャ帝国とダキア、東南部をモエシアとマケドニアに囲まれ、ほとんど内陸国家といえるが、ヴェネツィア領に食い込む形でわずかにアドリア海に面している。
南方のアルプス山脈、東方のカルパティア山脈、トランシルヴァニア山脈に囲まれた山岳国家で、その間にはウィーン盆地やカルパート盆地といった丘陵地帯が広がる。山岳地帯は冬が長い多雪地域だが全体的には落ち着いた気候を持ち、寒い冬と涼しい夏を持つ。
国内の産業は地域による偏りが激しい。肥沃な土地が広がる丘陵地帯では農業、特にワイン醸造が盛んで、貴腐ワインが特産品。いっぽう、ウィーン盆地では鉱工業も盛んである。北部は炭田が広がるため重工業で知られており、特にベーメン地方は複合企業体スコドヴィ財閥の本拠地として知られる。
かのローマ帝国の宿営地ウィンドボナを前身とする首都ウィーンは、音楽と芸術の都として有名。”クラシック音楽の殿堂”として著名な音楽家を多く輩出し、世界中の音楽家の憧れの地となっている。芸術教育には力が入れられており、国立音楽大学をはじめとする多数の音楽院やウィーン美術アカデミーといった教育機関が存在している。
他の都市としては、カールスラント国境のザルツブルグ、東方のレンベルクやニーレジハーザ、国土中央に近いグラーツやブダペスト、南方のベオグラード、ダキアに近くトランシルヴァニア山脈とカルパティア山脈に挟まれた要地アルトラントなどがある。
歴史
オストマルクの地は、「東の辺境」の名の通り、かつて神聖カールスラント帝国の東端地域であった。神聖カールスラントの皇帝権は時代とともに弱体化し、のちのカールスラント皇帝家とオストマルク皇帝家に分裂、選帝侯が強い権力を得るようになる。やがて怪異の影響で選帝侯の権勢も弱まると、カールスラント皇帝家が実権を掌握し、1866年、カールスラント皇帝家の権勢を恐れた一部の選帝侯が擁立したオストマルク皇帝家との間にカールスラント継承戦争が勃発。この戦争はカールスラント皇帝家が勝利し、その主権を確定させる結果に終わったが、同時にオストマルク皇帝家によるオストマルクの自主独立をもたらした。
もとよりオストマルクは多民族地域であり、オストマルク人としての国民意識が薄い風土であった。独立を求める動きや自治権獲得運動もあって、彼ら諸民族は民族単位で自治権を得たが、同時に怪異に対抗するための強い指導力も必要とされ、オストマルク皇帝は国民の団結の象徴となった。
しかし1914年、第一次ネウロイ大戦が発生。南方国境に出現した怪異を迎え撃ったが、指揮したオストマルク皇太子までも戦死する壊滅的大敗を被って怪異の抑え込みに失敗し、国力を疲弊させたオストマルクは欧州列強としての国威を失った。この惨敗の影響は、数十年後の第二次ネウロイ大戦まで続くこととなる。
ネウロイ大戦とオストマルク
第一次ネウロイ大戦終結後、オストマルク東部国境には欧州各国からウィッチが派遣され、国際ネウロイ監視航空団が設立されて警戒にあたっていた。軍主力の弱体さから、1939年9月の第二次ネウロイ大戦勃発時には世界各国から多くの援軍を受け入れている。
ネウロイの侵攻に対し、オストマルク軍はカルパティア山脈を主防衛線とするとともに、レンベルクを各国軍の防衛拠点として抵抗を試みた。しかし、ダキアを陥落させたネウロイはカルパティア山脈へと進撃し、最終防衛線であるドナウ川峡谷「鉄門」の要塞線をわずか1日で突破してパンノニア平原へとなだれこむ。政府は国民の西方撤退を決め、オストマルクは陥落した。
この時点では、ネウロイ勢力圏内にアルトラントを中心とするトランシルヴァニア地方が取り残されていた。アルトラントを守って孤立したウィッチ部隊は、周辺に取り残された部隊や国民を率いて東方への”最も長い撤退戦”を演じ、のちの第505統合戦闘航空団<ミラージュウィッチーズ>の母体となっている。
オストマルク陥落後、国民はカールスラントや地中海方面、やがては南リベリオン大陸やアフリカへと脱出した。政府はカールスラントを経てブリタニア連邦に亡命政府を樹立し、皇帝家は南リベリオンのノイエ・カールスラントに逃れている。
軍事力
第一次ネウロイ大戦で受けた大損害から再建を果たせておらず、第二次ネウロイ大戦当時のオストマルクは軍事的には小国である。
兵器開発能力は低くなく、特に重工業で知られるベーメン地方ではZB26軽機関銃などの優れた銃器や陸上兵器が多数開発されてきた。しかし、ストライカーユニットの開発はほとんど進んでいない。
ウィッチ
オストマルク軍にはもともとウィッチが少なく、特に航空ウィッチは希少な存在である。この欠点は、第二次ネウロイ大戦勃発時の抵抗に致命的な影響を与えることとなった。
早々に本国が陥落してからは数少ない航空ウィッチも各国へ逃れたが、自国の開発能力の低さから、どのウィッチもカールスラントやブリタニア製のストライカーユニットを使用している。中には、ロマーニャ公国のレッジオ―ネ Re.2001、リベリオン合衆国のノースリベリオン P51-B、扶桑皇国の長島飛行脚 陸軍二式戦闘脚「鍾馗」といった機体の使用例もある。
本国陥落後には少なくない数のオストマルクウィッチが撤退を共にしたカールスラント空軍や脱出先のブリタニア空軍に転属・編入されており、両空軍とも自軍内にオストマルク人部隊を編成している。カールスラントのエース部隊で活躍するオストマルクウィッチの例もあるなど、全体数こそ少ないながら世界各地の戦いに姿を見せているようである。
作品への登場
作中にはほとんど登場しないが、小説『スオムスいらん子中隊』シリーズおよび『スオムスいらん子中隊ReBOOT!』シリーズでは、エリザベス・F・ビューリングより国際ネウロイ監視航空団当時の戦闘の様子が語られた。また、501JFWのサーニャ・V・リトヴャクは、ネウロイ大戦勃発前にウィーンで音楽を学んでいる。
主要な国家説明は『ストライクウィッチーズ』DVD特典「全記録」第五集に収録。
第505統合戦闘航空団
コミック『ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲』が結成前を描いた第505統合戦闘航空団<ミラージュウィッチーズ>(配置はオラーシャ)には、1名のウィッチが所属し、戦闘団司令を務めている。
ワイト島分遣隊
コミック『片翼の魔女たち』で描かれたワイト島分遣隊(ブリタニア)には、1名のウィッチが参加する。
なお、トート少尉は501JFW<ストライクウィッチーズ>の初期メンバーでもあるが、後(アニメ『ストライクウィッチーズ』以前)にワイト島分遣隊に転属している。
スオムス義勇独立飛行中隊(→第507統合戦闘航空団)
小説『ブレイブウィッチーズPrequel』シリーズで描かれる1944年時のスオムス義勇独立飛行中隊(のちに再編され第507統合戦闘航空団<サイレントウィッチーズ>)(スオムス)には、明らかになっているかぎりで1名のウィッチが参加している。
- ヴェスナ・ミコヴィッチ(曹長・カールスラント空軍)
その他のウィッチ
上記のほか、コミック『エーリカ・ハルトマン1941』ではヴィクトリア・ウルバノヴィッチュ(少佐・ブリタニア空軍)が登場する。
また、第503統合戦闘航空団<タイフーンウィッチーズ>(オラーシャ)には、ヴァルトラウト・ノヴォトニー(大尉・カールスラント空軍。戦闘隊長)、アレクサンドラ・シェルバネスク(中尉)の2名が参加している。
なお、帝政カールスラント空軍のエディタ・ノイマン(北アフリカウィッチ隊総司令)は、カールスラントウィッチではあるが生まれはオストマルクである(幼少期にカールスラントに転居)。
関連動画
関連項目
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- ストライクウィッチーズ
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- ストライクウィッチーズ 片翼の魔女たち
- ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲
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