ガリア共和国(Gallia Republic)とは、「ワールドウィッチーズ」シリーズに登場する国家である。
アニメ『ストライクウィッチーズ劇場版』、小説『ノーブルウィッチーズ』シリーズの舞台。
概要
フランス共和国をモデルとする共和制国家。国旗は白青赤の三色旗、国籍マークは内側から白青赤の三重円。首都はパリ。
欧州西部に位置する歴史ある大国で、盛んな農業と洗練された文化で知られている。人口は約4000万人、エリート志向が強く、自由主義的かつ個人主義的な国民性で、へそ曲がりな性格を持つと評される。
皇帝ナポレオンの失脚以来、政治体制は共和制をとっているが、帝政の名残として貴族も残る。なにかと政情が不安定で、官僚制の煩雑さには定評があるうえ、君主制復活を目指す王党派が根強い勢力を保っている。外交的には、ガリアを盟主として諸国を傘下に置く連邦制が存在し、北西アフリカのウエドラオゴ、モロッコ、ヌミディアといった国々が参加している。
軍事力の点ではもともと評価が高くなく、第二次ネウロイ大戦によって本土を失陥したこともあって、ネウロイとの戦いでは本来の国力ほどに貢献できていない。しかし1944年夏に国土の解放が達成され、以後は政治の混乱を抱えつつも復興が進められている。
地理
欧州大陸西部に六角形に近い形状の国土を持ち、南西部はピレネー山脈を挟んでヒスパニア、アンドラと、南東部ではアルプス山脈を境にロマーニャ公国と接する。東部ではヘルウェティア連邦と帝政カールスラント、北東部ではベルギカと国境を共有。北西部、最狭部幅34kmのドーバー海峡の向こうにはブリタニア連邦がある。西部は大西洋岸、南部は地中海岸で、地中海のコルシカ島も領土にしている。
全体的に温暖な気候の国土は、一部国境地帯の山地を除いて平地か丘陵地帯がほとんどを占める。可住地、可耕地ともに面積はきわめて広く、地味にも富んでいるために欧州最大の農業生産地となっている。特にワイン用のぶどう栽培に適しており、ガリア各地から産するワインは世界的に有名。
北部の首都パリは”芸術の都”として知られ、モンマルトルやモンパルナスを中心に住んだ無数の文化人は、退廃的ながら最先端の文化の担い手となっていた。パリ以外の諸都市としては、ベルギカ国境に近いリール、大西洋・ドーバー海峡に面したパ・ド・カレー、ルアーブル、シェルブール、ブレストの各都市、中南部内陸のボルドー、リモージュ、リヨン、南部地中海岸にマルセイユ、ニカイアなどが存在する。
こうした本土のほか、いくらかの海外領土を有しているとされる。傘下のアフリカ諸国との関係も深く、ヌミディアの首都イコシウムは”北アフリカのパリ”の異名を得ている。
歴史
ローマ帝国時代、ガリアは帝国の一部、属州ガリア・トランサルピナであった。はじめ南部がローマの支配下に入り、ユリウス・カエサルのガリア遠征(紀元前58~51)によって全ガリアがローマの属州となった。ガリア人もローマ帝国に組み込まれ、帝国東西分裂を経た486年、ガリア出身のクロヴィス1世がローマ・フランク朝を開いて西ローマ皇帝に即位。さらに768年、ローマ・カロリング朝が成立し、ガリア貴族カール1世が西ローマ皇帝となった。やがてガリア貴族の相続の慣例に従って帝国は分割され、843年、西・東・南の三国に分立する。この時に西カロリング朝が受け継いだ領土が、おおむね以後のガリアの国土となるのである。
その後、987年のユーグ・カペーのガリア王即位、尊厳王フィリップ2世の時代、1339年のブリタニア・ガリア百年戦争勃発、1661年のルイ14世親政、1756~1763年の七年戦争によるブリタニアとの交戦とパリの条約での講和と、王制の時代が長く続いた。その間、大航海時代には北リベリオン大陸にも植民地を得ていたようである。そして1789年、ガリア革命が発生する。
1804年、コルシカ島出身のナポレオンがガリア皇帝に即位して帝政が開始。彼は黒海周辺に出現した大規模な怪異を撃滅すべく、1812年に兵力60万人におよぶガリア軍中心の同盟軍を率いて黒海遠征を敢行したが、激戦のあげく帰還者わずか5000人というおそるべき大敗北を喫する。結局、ナポレオンは2年後の1814年に失脚し、ウィーン会議が開催されることとなった。
以後、1830年の七月革命、1870年の狩我戦争(カールスラント、ガリア戦争)などを経た1939年、ガリアは第二次ネウロイ大戦の発生を迎える。
第二次ネウロイ大戦とガリア
陥落と自由ガリア成立まで
1939年に第二次ネウロイ大戦が勃発し、陥落したオストマルクからカールスラント国境が突破されると、民衆避難のための徹底抗戦(ビフレスト作戦)に動員されたカールスラント軍に代えて、ガリア・ブリタニア連合軍にライン川方面の防衛が委ねられた。しかしガリア軍の装備は不十分なものにすぎず、ブリタニア軍も主力が未着だったためライン川防衛は不可能であり、1940年(※資料によっては1941年とも)6月、前月のベルリン陥落からわずか一月でパリも失陥するに至った。
首都を失ったガリアはヴィシーに臨時政府を樹立。混乱の中、ブリタニアの意見を容れて全市民の撤退作戦を開始する。ダイナモ作戦(ダンケルクからドーバー海峡を越えてブリタニアへ脱出)、ハンニバル作戦(抗戦を続ける南部のカールスラント軍と共同)、ロンスヴォー作戦(ピレネー山脈を越えてヒスパニアに撤退)の三大作戦をはじめ、チェルベルス作戦(カールスラント北方からの撤退)、他のドーバー沿岸都市経由の脱出、地中海沿岸からの北アフリカへの脱出などが実施された。なかでもダイナモ作戦は、ありとあらゆる手段を用いた大規模な海路脱出となり、カレー基地に集められた最精鋭ウィッチの奮戦、そして文字通り最期まで基地を死守した守備隊の犠牲もあって、多くのガリア軍民が撤退に成功する。
しかし、この総撤退は急遽実施されたものであり、事前に準備された方針はなかった。このことは撤退後、コルシカ島、ヒスパニア、ブリタニア、南リベリオンなどの諸地域にガリア亡命政府が乱立するという問題をもたらすこととなる。こうした亡命政府には、西アフリカ、ウエドラオゴのダカールで成立した“南方正統ガリア政府”のように限られた戦力しか持たないものもあったが、やがてはヌミディアのイコシウムを拠点とした“自由ガリア政府”に統合された。
ガリア解放と復興
1944年9月、ガリアのネウロイの巣が消滅すると、ブリタニア、リベリオンの陸軍を中心に、扶桑海軍、カールスラント軍などが沿岸地域に展開。10月には自由ガリア軍がパリへ入城し、自由ガリア政府も本土復帰を果たした。その後も前線の押し上げが続き、1945年夏までに大西洋沿岸ではムース川、内陸ではカールスラント領内のアーヘンまで進出。ガリア全域の解放を達成している。
解放後のガリア軍の再編は案の定遅れたが、いっぽうで防衛のために第506統合戦闘航空団<ノーブルウィッチーズ>が新編された。しかし、ガリア政府の政治介入によって編成に大きな混乱が生じることとなる。さらに506JFWを巡る周辺諸国の思惑や王党派のテロリズムも頻発し、英雄シャルル・ド・ゴール将軍の命も危険にさらされるなど、政情の不安が続いている。
軍事力
ナポレオンの黒海遠征での大敗北以来、長期にわたって慢性的な兵力不足が続いており、軍事力には懸念が大きい。軍備の近代化の遅れ、兵力整備の無定見さ、個人主義的気質による集団行動の困難さなども指摘されている。
第二次ネウロイ大戦前の採用兵器の多くは、多数の軍需工場がそれぞれに兵器を独自開発し、軍上層部は各工場の意を受けてすべて少数ずつ採用する、というありさまで、まともに数が揃えられずにいた。
海上戦力としてはリシュリュー級戦艦、ラ・ガリソニエール級軽巡洋艦などを揃える。戦艦<リシュリュー>は1940年当時の最新鋭戦艦ではあったが、艤装途中にガリア失陥を迎え、政府関係者などを乗せて本国を脱出。損傷状態でダカール軍港の防衛戦に参加した後、リベリオン合衆国に回航されて完成している。
空軍は独立しており、ドボアイン、モレン・ソルニエなど航空機メーカーも多いが、どのメーカーも生産の滞りを問題として抱えている。特に、国営メーカーとしてアルミュルィ(ガリア国営航空兵器製造)が存在し、ガリアの航空ウィッチの多くがアルミュルィ製のストライカーユニット、VGシリーズを使用する。
ウィッチ
かつては多くのウィッチ一族が貴族として存在した。しかし、多くの貴族が共和国の成立時にリベリオン合衆国をはじめとする各国に亡命したため、現存するウィッチ貴族は多くない。ナポレオンの黒海遠征でも、従軍した多くのウィッチが失われた。
ウィッチや航空ウィッチの運用は列国軍のなかでも早期から行っていたほうではあるが、前述の無定見さにより戦力としては不十分なものだった。それでも、第一次ネウロイ大戦ではレーヌ・フォンクのような著名なトップエースを輩出している。なお、ガリア空軍のウィッチ制服は純白色と青色の二種類が存在する。[1]。
統合戦闘航空団に対しては、501JFW、502JFW、503JFWに1名ずつ派遣しているのみである。ガリアに配置される506JFWには最初ガリアの貴族ウィッチを司令に配する案があったが適任者がおらず、結局ガリア出身ながら所属はブリタニア空軍であるグリュンネ少佐が司令に補された。
作品への登場
立地やネウロイの勢力圏下にあったという状況から、アニメでの登場は少なくない。アニメ『ストライクウィッチーズ』では、1話アバンから首都パリが破壊される情景が描かれている。また、ブリタニアに位置する501JFW基地からは対岸にあたり、8話にて廃墟となったパ・ド・カレーの街が登場。つづく『ストライクウィッチーズ2』でも、ペリーヌ・クロステルマンの故郷としてわずかながら登場する。
また、映画『ストライクウィッチーズ劇場版』は後半でガリアを舞台としており、パ・ド・カレーの港、ペリーヌ・クロステルマンのシャトー、最終的な戦場となった村などが描写されている。OVA『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow』では、Vol.3「アルンヘムの橋」で『SW劇場版』にも登場したペリーヌのシャトーが主な舞台となった。アニメ『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』では、506JFWのA部隊がおかれたセダン基地、B部隊のディジョン基地が登場している。
アニメ『ルミナスウィッチーズ』では、エレオノール・ジョヴァンナ・ガションの出身地として作品後半のエピソード中に登場し、破壊されたパリや近郊の故郷が描かれた。1944年12月末にパリで挙行されたガリア解放記念式典が物語の重要な要素となり、式典シーンで使用されたインスト曲「National Anthem Of The Republic Of Gallia」もOSTに収録されている。
小説『ノーブルウィッチーズ』はほぼ全編にわたってガリアを舞台としており、セダンの506JFW(A部隊)基地、ディジョンの同B部隊基地をはじめとして、復興の進むパリなどの諸都市も登場している。小説『アフリカの魔女 ケイズ・リポート』第3巻では、南方正統ガリア政府の置かれたアフリカの軍港ダカールの防衛戦が描かれている。コミックでも、『キミとつながる空』で復興中のパリが描かれた。
主要な国家説明は『ストライクウィッチーズ』DVD特典「全記録」第二集、ガリアの航空機製造会社の詳細については『ストライクウィッチーズ2』特典「全記録 弐」第三集に収録。
第501統合戦闘航空団
アニメ『ストライクウィッチーズ』などで描かれる第501統合戦闘航空団<ストライクウィッチーズ>(配置はブリタニア→ロマーニャ)には、1名のウィッチを送り込んでいる。
第502統合戦闘航空団
アニメ『ブレイブウィッチーズ』で描かれる第502統合戦闘航空団<ブレイブウィッチーズ>(オラーシャ)には、1名のウィッチを参加させている。
第506統合戦闘航空団
小説『ノーブルウィッチーズ』シリーズで描かれる第506統合戦闘航空団<ノーブルウィッチーズ>(ガリア)には、A部隊に1名のガリア人ウィッチが配属されている(所属はブリタニア連邦)。
ガリア防衛を目的とする506JFWの結成にあたっては、ガリア政府が復興の象徴的存在となる貴族ウィッチ限定の部隊を求めて編成に介入したため、部隊編成に大きな混乱をきたした。統合戦闘航空団でありながら非貴族のリベリオンウィッチ隊がB部隊として分離したのも、この介入が大きな原因となっている。結成後も、506JFWの運営はしばしばガリアの政治状況に強い影響を受けている。
連盟空軍航空魔法音楽隊
『ルミナスウィッチーズ』の舞台である連盟空軍航空魔法音楽隊<ルミナスウィッチーズ>には、1人のウィッチを所属させている。
ワイト島分遣隊
コミック『ストライクウィッチーズ 片翼の魔女たち』で描かれるワイト島分遣隊(ブリタニア)には、1名のウィッチが参加している。
その他のウィッチ
上記した以外のウィッチとして、第503統合戦闘航空団<タイフーンウィッチーズ>(オラーシャ)にロザリー・ド・ラ・ポワプ(中尉・空軍)が派遣されている。
非ウィッチほか
アニメにおいては、『ストライクウィッチーズ劇場版』でクロステルマン家の家令ジャン=ポール・パスパルトゥ、『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow』ではパスパルトゥとパ・ド・カレーのフィリップ・ジャルダン医師が登場している。『ルミナスウィッチーズ』ではガリア軍最高司令官としてシリル・ド・ゴール将軍が登場した。
『ノーブルウィッチーズ』では、ド・ゴール将軍のほか、ガリア諜報部のクリス・キーラ少佐、新聞記者クローディア・モーリアックなどが登場している。
関連動画
関連項目
- ワールドウィッチーズ
- ストライクウィッチーズ
- ストライクウィッチーズの関連項目一覧
- ブレイブウィッチーズ
- ルミナスウィッチーズ
- ノーブルウィッチーズ
- ブリタニア連邦
- ベルギカ
- 帝政カールスラント
- ヘルウェティア連邦
- ロマーニャ公国
- ヒスパニア
- アンドラ
- 架空の国の一覧
脚注
親記事
子記事
兄弟記事
- ストライクウィッチーズ
- ストライクウィッチーズ2
- スターライトストリーム
- 扶桑皇国
- ブリタニア連邦
- 501st JFW.OA
- ストライクウィッチーズ劇場版
- ストライクウィッチーズ零
- スオムスいらん子中隊
- 帝政カールスラント
- ストライクウィッチーズ アフリカの魔女
- ストライクウィッチーズO.V.A.
- アンジェラ・サラス・ララサーバル
- ブレイブウィッチーズ
- ストライクウィッチーズ 501部隊発進しますっ!
- ストライクウィッチーズ 紅の魔女たち
- ノーブルウィッチーズ
- LNAF.OA
- ストライクウィッチーズ オーロラの魔女
- ワールドウィッチーズチャンネル
- ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches
- ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN
- ルミナスウィッチーズ
- マナイア・マタワウラ・ハト
- リベリオン合衆国
- ロマーニャ公国
- ヴェネツィア公国
- オラーシャ帝国
- スオムス
- オストマルク(ワールドウィッチーズ)
- ウィルマ・ビショップ
- コンスタンティア・カンタクジノ
- クラマース・ブレンガーム
▶もっと見る
- 0
- 0pt