参議院議員選挙2016とは、2016年6月22日公示、7月10日執行の参議院議員の選挙である。
正式名称は第24回参議院議員通常選挙だが、過去の国政選挙では「参議院議員選挙2013」「衆議院議員総選挙2014」のような表記のタグが多く用いられたり、大百科の記事名に採用されたりしたことから、当記事もそれに倣った記事名としている。
概要
55年体制黎明期以来、約60年ぶりに改憲の是非が争点となる選挙である。
国家による国民の権利の制限や軍事行動に厳しい立憲主義的制約を課す現行憲法の規定が、伝統的価値観の喪失や外交防衛上の危機を招いてきたとして、国家への制約のより緩やかな新憲法案(自由民主党憲法改正草案)が提案されており、これらを軸とした改憲案の是非が問われる選挙となる。
改憲発議には衆参両院で総議員の2/3以上の賛成を得る必要があり、与党(自由民主党・公明党)及び安倍政権による改憲に好意的な野党(おおさか維新の会・日本のこころを大切にする党・新党改革)が、非改選議席を含めて参議院の2/3以上を確保するかが最大の焦点となっている(衆議院の2/3は確保済み)。
ただし事前の選挙報道(2016年6月時点)では与党+改憲派野党による参議院の2/3確保は固いとする予想が大勢を占めていることから、次の焦点として2/3をクリアできる政党の組み合わせがどうなるかにも注目が集まっている。改憲議論のうち、国家への制約の緩和という点ではこころ党がより積極的、公明党がより消極的であることや、おおさか維新の会が地方分権規定の導入を強く求めていることなどから、2/3に達する政党の組み合わせ条件次第では、ベースとなる自由民主党憲法改正草案から一定の修正が図られる可能性もある。
さらに2017年以降は消費税増税後の選挙になり逆風が予想されること、野党の連携を阻害する効果が期待できることなどから、1986年以来30年ぶりとなる衆参同時選挙を仕掛ける可能性も高いと見られていたが、熊本地震の発生や、参院選単独でも十分な勝利が見込める情勢であることなどから、最終的には見送られた。
選挙制度に目を向けると、公示日が6月19日以降に設定された場合、満18歳以上の者に選挙権が認められる初めての選挙となる。また定数是正に伴い、複数の県を一つにまとめた合同選挙区が初めて設けられている(鳥取県+島根県、徳島県+高知県)。
党派別参議院議席数一覧
区分 | 政党名 | 非改選 | 改選 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
与党 (改憲派) |
自由民主党 | 65 | 50 | 115 | |
公明党 | 11 | 9 | 20 | ||
無所属 | 1 | 2 | 3 | ||
野党 | 改憲派 | おおさか維新の会 | 5 | 2 | 7 |
日本のこころを大切にする党 | 3 | 0 | 3 | ||
新党改革 | 0 | 1 | 1 | ||
無所属 | 2 | 1 | 3 | ||
中間派 | 日本を元気にする会 | 2 | 1 | 3 | |
無所属 | 3 | 1 | 4 | ||
反改憲派 | 民進党 | 17 | 43 | 60 | |
日本共産党 | 8 | 3 | 11 | ||
社会民主党 | 1 | 2 | 3 | ||
生活の党と山本太郎となかまたち | 1 | 2 | 3 | ||
沖縄社会大衆党 | 1 | 0 | 1 | ||
無所属 | 1 | 4 | 5 |
- 無所属議員については院内会派等に基づいて分類している。内訳は与党に井上義行・田中茂・中西健治(自民党と統一会派)、野党改憲派に平野達男(新党改革と統一会派)・松沢成文・浜田和幸(元こころ党)、中間派に会派「無所属クラブ」所属の2名・山田太郎(元気会と統一会派)・行田邦子(元みんなの党)、反改憲派に旧維新の党の5名(民主党と統一会派)。正副議長は元の所属政党に戻している。
- 総議席(242議席)に対して2/3以上の特別多数決を行うには162議席が必要となる。自民・公明両党のみで揃える場合は86議席、自公+改憲派野党で揃える場合は78議席、与党+改憲派野党3党+無所属で揃える場合は75議席が改憲派の獲得目標議席数となる。
- 逆に反改憲派が特別多数決を阻止するためには81議席が必要となり、民進・共産・社民・生活・社大の5党とその統一候補で52議席の確保が目標となる。
- 自民・公明は前回並みの議席を確保すれば2番目までの条件は自動的にクリアできる(おおさか維新の会が2議席を下回ることは考え辛いため)。またこの場合、おおさか維新の会が単独で改選5議席を獲得すれば「自公大」の3党のみで162議席に到達する(おおさか維新は大阪府・兵庫県と比例区で計5議席は射程圏内にある)。
なお国会に議席を有さない政治団体のうち、改憲派では前回に引き続き幸福実現党や維新政党・新風が、反改憲派では新党の「国民怒りの声」などが候補者擁立を進めている。
関連項目
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