ニコニコ大百科

>>802
俺をこんな変態どもと一緒にしないでもらいたい

『僕』の「蝶をあげる」発言の後の「そうかそうか～」だったから『僕』にとって蝶とはそんな簡単に譲れるものだということで『僕』はコレクター（エーミールの同志）ではないことを理解してしまったことによる失望だと解釈してたんだけどどうやら少数派らしい

僕に対する擁護やエーミールに対する否定的な人物評価でよく「いっそのことエーミールが僕を殴ったりしてれば共感もできた」って見かけるけど
要するに踏みとどまる姿勢を取ったエーミールを僕と“同程度”の辺りまで下げる願望ってことよな
僕の精神的な成長を望むんじゃなくて、相手側を下に引きずり込んで同類にして正当化することが共感を呼ぶなら、それこそエーミールが冷静な態度を取った背景もわかる
そんなことに付き合うことこそ損だもの
僕は逆に、踏みとどまったとはいえコイツぶん殴りたいという衝動に駆られて結局そのまま帰宅する結末になるという

>>810
極論になるけどある作品内において悪とされる行為を行なってしまったキャラクターに対して感情移入や共感するのもまた悪ですなんて事になったらフィクションにおける悪役ファン全体がアウトって事になりかねないし最低限そこらの線引きは弁えるべきかな

問題は「俺が共感しているものが悪いはずがない」というスタンスの人が少なくないことでは？それこそ心情的に理解出来ることとだからといって擁護出来るかどうかは別の話なんですよ。まあ個人的にはこの話の「僕」は心情的にも共感しませんが。

「僕」に共感している人は犯罪行為に共感しているんじゃなくて
罪を犯したあとの後ろめたさや罪悪感に共感していると思うんだが…

それとエーミールの心理描写がないから
主観的に描かれている「僕」と読者の心証が違うのは当然というのは理解しているよね？
文章の上では両者を平等には扱っていない（僕に偏っている）

そんな罪悪感を抱く時点で犯罪者じゃん…
子どもに誇れるよう真っ当に生きてたら罪悪感抱くことなんてないでしょ

故意であれ過失であれ後悔のない人生は稀だろう
罪の重さは違っても悪い事をした経験は苦いものだよ
親・兄弟・友達、誰ともケンカや気まずい思いをしなかったのなら幸運だ

そういうものなのか…？
さすがにケンカは何回もしたことあるけどこっちが悪いことなんてなかったからよくわからないわ
後悔はあるけど失敗したことに対する後悔（なんでこの答えを選ばなかった・なんでこんなもの買ったetc.）だから罪悪感ってわけでもないし

「許されない」という事への恐怖心は大きいものだよ
道徳的な罪への恐怖は疎外感や孤独感からいっそう深まる
特に多感な年頃の子供が感じるものは

僕は多感ではあったけど、同時にその感情のほとんどが負の感情ばかりでそういった性格があのラストに結びついてる
途中で自分からエーミールとの接点を断ち切っておいて実際はエーミールに悪い意味で取り憑いてるような感じ

いわゆる「人間感激リセット症候群」なる物を持ってる人間が、実際はリセットどころか過去の他人にやたら悪感情持って覚え続けてるのに似てる
そういう意味じゃ(わりと残当だが)あの全く報われない終わりを迎えた僕は特定の人物にも共感されるかもしれない
共感というよりも、何かしらこういう人間でも報われてもいいじゃん擁護されてもいいじゃんと思わないとやってられないという方向の方が正しいかもしれんが

エーミールを冷たく感じる人は「僕」に過剰に感情移入している
それは文章の構成上ある意味しかたのないことで
だからエーミールの視点で話を作るというのは国語的にも道徳的にも意味がある

仮にエーミールの視点で描かれていれば
エーミールや「僕」に対する他の人の反応はまた違っていただろう

誤字してた・・
人間感激→人間関係

女エーミールが良すぎて脳が破壊された

>>822
というかむしろあれだけ念入りに「僕」に感情移入させつつエーミールに悪印象を抱かせるような創りになっていながら一度も「僕」に対して共感も理解も覚えないなんて人いるんだろうか
そりゃ今でこそ自分も悪いのは主人公の方だと理解してはいるけど子どもの頃に初めてこの作品を読んだ時には(おそらく作者の意図した通り)僕に共感したしエーミールは嫌な奴に思えたぞ

その考えは僕に感情移入しまくってる人の主観だな
物語の構成は「僕」がエーミールに悪印象を“持っている”事を説明していても、物語の語りでエーミールの否定的な人格設定を語ってはいない
あくまで僕という一個人がこう思っているという一歩引いた語り方がされてる
むしろ主人公の「僕」が随所で抱く色々な事に後ろめく捉えてる心の中の葛藤や劣等感をこれでもかと説明することこそ熱心に作られてる

定期的に出てくるTSエーミールの話題はいったいなんなんだよw

>>822>>825
だからこそ国語の教材としてうってつけなんだよな。
一人称トリックの存在を子供達はこの作品で初めて知る事になる。

一人称の文章は語り手に共感しやすくなるかわりに、語り手を通した現実認識しかできないため、客観的な事実の把握が困難になる。
そういった一人称の文章の持つ特性を学ぶのにうってつけの教材。

>>825
初めて読んだ時から、なんて身勝手な言い分の主人公なのだろうとしか思わなかった
だってエーミール何も悪いことしてないもの
嫉妬以外で何か恨む理由があるのを自分が見落としているのかと何度も読み返したものだ

非の打ち所がない(まじで無い)というのは立派なムカつき野郎キャラだと思うんですけど

共感かどうかはともかく、この話をすんなり受け入れられるのは
ドラえもんを知っているからだろうか
僕をのび太に、エーミールをスネ夫と出木杉を足して割ったように、重ねて見てしまうのだ

いやもちろん、のび太は僕のような勝手に上がり込んで盗んで挙句潰すような真似はしないだろう
でも何らかのドジで壊してしまうという可能性はある、原作にもそういうのはあった
もしその時ドラえもんがいなかったら……？のび太はどうなっていたんだ……？

嫉妬とかありつつも何だかんだ存在していた友情に、取り返しのつかない亀裂が走る瞬間
そんな二人の姿を、のび太達に重ねて考えてしまうことこそがトラウマなのだ
のび太達が最悪の破滅を迎える結末、原作ではありえない結末の可能性を
僕とエーミールの顛末を通じて垣間見てしまった気分になる
それこそが、言いようのないトラウマに繋がってしまうのかもしれない

僕は果たしてエーミールに友情という前向きな感情を抱いていたのかな?
コムラサキをエーミールに“だけ”見せた目的も負の感情から生まれた動機で、そこから僕が自分の意思でエーミールから一方的に交流を避けることを決め込んでいたが、そんな人間がその相手に対して友情なんて持っていたのか
元々最初からお互い証明し合っていた友情に亀裂やすれ違いが生じるのではなく、あの結末はわりと「妥当」な流れなんじゃないだろうか

>>830>>831
まあ作品内での描写以前に読者側が持っている先入観も一因ではありそう
家が裕福で教師の息子でエリートでetc…って羅列だけすると一見して物語における典型的な悪役キャラかヘイト要因ポジションのソレだし

そうか、そうか、つまりロシアはそんな国なんだな

サイコパスじゃない限り殴ったり罵られるよりもトラウマになると思う。

主人公が良心の呵責に耐えきれず橋から身を投げるような結末だったら

エーミールはどうしただろうという意図だと思うけど
その上で意地悪な回答をするなら語り手が死んでしまったのだから少年の日の思い出が語られることもなかっただろう

>>832
描写がないから想像でしかないが、ここまで聡明なエーミールが主人公の嫉妬心に気づいていなかったとは考えにくいな。
だが彼のような人間は嫉妬を向けられることは日常茶飯事だろうし、とりあえずその時点では気づいていてもスルーしていたのだろう。

そしたら暴走してこんなことやってくれやがりましたよ、やっぱこいつと関わるんじゃなかったというのがこの話の状況ではなかろうか。

>>833
そう考えるとやっぱり嫌われやすい人間の条件って古今東西変わらないモンなんだろうかね

エーミールは長期間の労力を払って手に入れたものを失ったことを更なる努力で「諦め」ようとしてるんだよな。
もしかすると猫か何かに台無しにされたのかもしれない、と。
そこに友人が現れて予想外の一言を言うわけだ、「僕がやったのだ」と。おまけに「償わせてくれ」と続ける。

エーミールとしては失われた理由は何でも良かったんだろう。だって「諦め」ようとしていたんだから。
だから良心の呵責に苛まれて理由を告げた友人に「そうか、つまり君はそういう奴だったんだな」と。
「償いはいらない。今日、君が蝶をどのように扱うのか知れた（それだけでいい）」というのは冷淡どころか温情ですらある。